【理論と実践】「集団思考型マインドセット」が組織を蝕む(続き)

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令和7年3月13日 医療・介護経営の理論と実践 2496号

■「集団思考型マインドセット」が組織を蝕む(続き)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

前回の記事では、「異論を唱える義務」がいかに組織を強くするかについて考察しました。

今回は第2章として、その対極にある「集団思考型マインドセット」に
ついて掘り下げます。その2回目です。

宇田左近氏と黒川清氏による著書『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』では、
日本の組織に根付いた「集団思考型マインドセット」が、
いかに組織の健全な発展を阻害しているかが鋭く分析されています。

■組織的体質の固定化

「集団思考型マインドセット」のさらなる特徴として、「無謬性への固執」があります。
間違いを認めないことが美徳とされ、改善の余地が閉ざされます。

「無謬性への固執は、企業経営において、新しい施策の導入、
たゆまざる改善の継続といったものの否定につながる。」(引用)

また、組織の形態を都合よく操作することで
問題の本質から目をそらす「形式主義」も見られます。

「組織の形態を都合よく操作することで
その場の状況の打開を図ることが是であるとされる」(引用)

これらの特徴が複合的に作用し、組織は著者が「巨大生物」と呼ぶ存在へと変貌します。

「責任ある人たちとそれに呼応する事務方と言われるスタッフの
「集団思考型マインドセット」に基づく行動は典型的な組織的体質となって現れる。」(引用)

著者はこの組織的体質を次のように整理しています。

・「結果を出すことへのコミットを避ける」ことによる組織としての「責任回避」体質
・「不確実性の下での判断の回避」「先送りをもって是とすること」による
組織全体の重要事項の「意図的先送り」体質
・「権限至上」による横展開より縦展開重視、既存業務重視の「前例踏襲」体質
・「手続き論重視と年次のヒエラルキー」で選択され加速される「不作為」の選択体質
・「無謬性への固執」による「改善の否定」と「組織の利益優先」体質
・「形式主義とその操作」による組織の形の変更で
「実質現状体制維持」をはかりその場を乗り切る体質

■民間企業における警戒すべき兆候

民間企業においてもこのような「集団思考型マインドセット」の
兆候が見られることを警告しています。

「以下のような「兆候」がある場合は、要注意だ。過去のコンサルティングの経験の中で、
このような「集団思考型組織体質」の兆しがあった場合、
そのまま放置すると、悪循環に陥り症状は悪化する場合が多かった。」(引用)

具体的な兆候として、次のような点が挙げられます。

・結果への責任回避が組織文化になっている
・不確実性を理由に重要な意思決定が先送りされている
・権限が能力より重視され、前例踏襲が美徳とされている
・手続きが結果より重視される傾向がある
・間違いを認めるよりも正当化する文化がある
・組織改革が形だけで実質は変わらない

これらの兆候が見られたら、早急に対処する必要があります。
放置すれば悪循環に陥り、組織の自浄能力は失われていきます。

「余計なことは言わない、問題が出ても自らは言い出さない、
言い出せない、前任者の責任になるようなことは言わない・・・
ということが当たり前であり、組織自体の自浄能力が次第に失われていく。」(引用)

「集団思考型マインドセット」は、気づかないうちに組織を蝕み、
イノベーションや成長を阻害します。
健全な組織文化を維持するためには、以前ご紹介した「異論を唱える義務」の文化を育て、
「集団思考型マインドセット」の兆候に常に注意を払う必要があります。

自分たちの組織に「集団思考型マインドセット」の兆候はありますでしょうか。
多かれ少なかれ、思い当たる節がある内容もあると思います。
この構造をどうすれば打開できるのか、
そのヒントが第3章で紹介されているようですので、楽しみです。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

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