【理論と実践】地域包括ケアの深化・推進:介護報酬改定の動向とその意義

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令和7年2月26日 医療・介護経営の理論と実践 2481号

■地域包括ケアの深化・推進:介護報酬改定の動向とその意義

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

■介護報酬改定が目指す地域包括ケアシステム

介護報酬改定は、高齢化社会における持続可能な
介護サービス提供体制の構築を目指し、3年に1回、見直しが行われています。

近年の改定では、「地域包括ケアシステム」の構築・深化が一貫したテーマとなっています。
これは高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、
医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制を指します。

■平成30年度介護報酬改定の主な取り組み

平成30年度改定では、改定率+0.54%のもと、
「地域包括ケアシステムの推進」
「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」
「制度の安定性・持続可能性の確保」が基本方針とされました。

特筆すべき点として、医療と介護の複合的ニーズに対応する「介護医療院」の創設、
リハビリテーションにおけるアウトカム評価の拡充、
通所介護における心身機能の維持に係るアウトカム評価の導入などが挙げられます。
これらは科学的根拠に基づく介護(科学的介護)の推進を意図したものでした。

■令和3年度改定 – コロナ禍での対応力強化

令和3年度改定(改定率+0.70%)では、
コロナ禍を背景に「感染症や災害への対応力強化」が新たな視点として加わりました。
また、「地域包括ケアシステムの推進」
「自立支援・重度化防止の取組の推進」
「介護人材の確保・介護現場の革新」
「制度の安定性・持続可能性の確保」を柱として改定が行われました。

特に注目すべきは、CHASE・VISITといったデータベースの活用による科学的介護の推進、
リハビリテーション・口腔・栄養の一体的取組の連携・強化などです。
これらは介護サービスの質の向上と効率化を同時に目指す取り組みといえます。

■令和6年度改定 – 地域包括ケアの深化と働きやすい環境づくり

令和6年度改定では、
「地域包括ケアシステムの深化・推進」
「自立支援・重度化防止に向けた対応」
「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」
「制度の安定性・持続可能性の確保」を基本的な視点として改定が実施されています。

特に認知症の方や単身高齢者、
医療ニーズが高い中重度の高齢者を含めた質の高いケアマネジメントの実現や、
医療と介護の連携強化が重視されています。
また、LIFEを活用した質の高い介護の推進など、
データに基づく科学的介護の取り組みが引き続き強化されています。

介護人材不足が深刻化する中、
処遇改善や生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取り組みも推進されており、
持続可能な介護サービス提供体制の構築に向けた改革が進められています。

介護事業者は、これらの改定動向を踏まえ、
質の高いサービス提供・効率性の向上、職場改善、
経営の安定性を両立させる戦略の再構築が求められています。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士(登録申請中)、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

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