【理論と実践】外来診療と逆紹介(中医協・入院・外来医療等の調査等の資料)
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令和7年9月2日 医療・介護経営の理論と実践 2668号
■外来診療と逆紹介(中医協・入院・外来医療等の調査等の資料)
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おはようございます。中神です。
今日のテーマは、外来診療です。
外来診療は、患者さんが住み慣れた地域で生活を継続できるよう、
地域包括ケアシステムにおいて不可欠な構成要素であり、
かかりつけ医機能の強化が求められています。
外来は、日常的な診療・健康管理、
そして不調時、重症時に入院や治療につながる大切な入り口です。
■外来診療の課題
2040年までには年間約170万人が死亡する多死社会が到来し、
外来・在宅・介護連携を含めた連携体制の構築が目指されています。
単独でできることには限界があります。
一方、患者の多様化・複雑化(複数科受診、逆紹介困難など) など、
課題も指摘されています。
例えば、外来診療における「逆紹介」です。
専門的な治療を終えた患者が、住み慣れた地域のかかりつけ医などで
継続的な医療を受けられるための重要な取り組みです。
しかし、現状ではいくつかの課題が見られます。
特に特定機能病院において、逆紹介を進める上での最も大きな課題は、
「治療管理上の不安を抱える患者の理解を得ることが困難」ということです。
次に「自院の複数科を受診している患者について、
診療科間での調整が困難」ということも課題として挙げられています。
■データから見える課題
データによると、特定機能病院の外来診療料を算定する患者の中には、
悪性腫瘍の患者が約18%、指定難病の患者が約4%、
小児慢性特定疾病(悪性腫瘍を除く)の患者が約16%を占めています。
これらの患者は、継続的な医学的管理や専門的なフォローアップが必要な場合が多く、
どの患者が本来逆紹介されるべきか、
あるいは専門外来での継続的な診療が適切かについては、判断が難しいとされています。
かかりつけ医機能の強化には、診療情報の円滑なやり取りが不可欠であり、
診療情報提供料の算定回数の増加は好ましい傾向です。
しかし、「連携強化診療情報提供料(※1)」の算定が病院で大きく伸びる一方で、
診療所では伸び悩んでおり、その要因が算定要件の複雑さにあるならば、
見直しが必要であるとの意見があります。
(※1 かかりつけ医機能を持つ医療機関などから紹介された患者について、
紹介元の医療機関からの求めに応じて
診療状況を示す文書を提供した場合に算定できる診療報酬です。)
これらの課題に対応するため、
「2人主治医制」のように、病院の専門医と地域のかかりつけ医が連携しながら
共同で患者の治療管理を継続する取り組みも推進されています。
しかし、診療所においては「特に取り組んでいない」という回答が最も多い状況です。
今後、患者の特性を踏まえたより詳細なデータ分析や、
診療報酬上の要件の見直しを通じて、
逆紹介の円滑化と質の高い地域医療連携の推進が求められています。
(参考)
・令和7年度第10回 入院・外来医療等の調査・評価分科会 令和7年8月28日(木)
・中央社会保険医療協議会 総会(第 615 回)議事次第 令和7年8月 27 日(水
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。