【理論と実践】特養の稼働率低下の背景要因

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令和7年8月31日 医療・介護経営の理論と実践 2666号

■特養の稼働率低下の背景要因

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おはようございます。中神です。

昨日に続き、特別養護老人ホームについて話題にします。

■稼働率低下の背景要因

1)2015年介護保険制度改正による対象者の減少

稼働率低下の最も重要な要因は、2015年(平成27年)4月に実施された介護保険制度改正です。
この改正により、特養の新規入所者は原則として要介護3以上の高齢者に限定されました。
これは、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての
機能に重点化するためとされています。
要介護1・2の高齢者については、認知症、知的障害・精神障害、
虐待、単身世帯等のやむを得ない事情がある場合に限り、
特例的に入所が可能となりましたが、実質的に入所対象者の範囲が大幅に狭まりました。

2)入所者の重度化の進行

制度改正の結果として、特養の入所者の平均要介護度は着実に上昇しています。

2001年度(平成13年)の3.47から、
2018年度(平成30年)には3.95、
そして2022年度(令和4年)には4.0となっています。

現在の入所者構成を見ると、要介護4が38.72%、要介護5が30.05%を占めており、
重度者中心の施設となっています。
また、入所者の98.6%が認知症のある人で、
そのうち70.5%が認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上という状況です。

このような重度化により、
より専門的で手厚い医療・介護ニーズへの対応が求められるようになっています。

3)社会構造の変化

2040年に向けて、人口動態や家族のあり方などの社会構造の大きな変化が予測されています。
身寄りのない高齢者や低所得高齢者の増加が見込まれる一方で、
地域によっては既に特養の利用(稼働率)が減少している状況が見られます。
その他、考えられることは以下の通りです。

有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の増加による生活の場として選択肢が増加。
健康意識の向上、地域の予防活動により、元気な高齢者の増加。
リハビリ・口腔・栄養等、日常の生活レベルの向上に資する取り組みの強化。

■市町村の稼働状況に関する調査

市町村の稼働状況に関する調査では、
約半数の市町村が「基本的に全ての施設で満員」と回答している一方で、
「施設や時期によっては空きがある」と回答する市町村も存在します。
これは、地域による格差が現実に生じていることを示しており、
一律の対策ではなく、地域の実情に応じた柔軟な対応が求められていることを示唆しています。

■まとめ

特別養護老人ホームの稼働率低下は、単純な需給バランスの問題ではなく、
2015年の介護保険制度改正による構造的な変化が要因となっています。
要介護3以上への入所対象の重点化により、
申込者数そのものが減少し、結果として稼働率の低下につながっています。

今後、これらの介護の世界の変化を踏まえ、
医療・病院も変化していかなければならない、と思います。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

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