【理論と実践】病院でマイナ保険証の利用が進んだ・進んでいない事例(中医協)

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令和6年7月11日 医療・介護経営の理論と実践 2251号

■病院でマイナ保険証の利用が進んだ・進んでいない事例(中医協)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

【はじめに】

令和6年度の診療報酬・介護報酬改定対応に奔走された医療機関が多いことでしょう。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じています。
令和8年の改定に向けて、引き続き、
森(全体)を見て、木(個別項目)を見ていく必要がありますね。

【本日の内容】

本日のテーマ・内容は、「マイナ保険証の利用が進んだ・進んでいない事例(病院)」です。

中医協の議論の抜粋です。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001270658.pdf
(P166)

医療DX推進体制整備加算に係るヒアリングの結果が紹介されていました。
病院においては、以下の通りです。

1、マイナ保険証の利用が進んだ事例

1)声掛けや対応姿勢の充実

「マイナンバーカードか保険証はお持ちですか?」という、
マイナ保険証の利用を促す積極的な声掛けや、
カードリーダーにおける読み込み時の患者と職員の二人三脚の対応姿勢が利用促進の要因。

2)早期からの声かけ、ポスターの掲示

3)コンシェルジュの配置

他の支援と合わせてマイナ保険証を案内、
カードリーダーの操作もサポートすることが利用率向上に繋がっている。

(所感)

丁寧な説明や声掛けをしたら、その分、反応がある、ということが分かります。
コストがかからない対策もありますし、
できることをコツコツと取り組んでいくしかないですし、
やはり声かけは王道ですね。

2、マイナ保険証の利用が進みにくい事例

1)子ども病院

患者は全て子ども。
子どもの場合、顔認証が実施しづらく、マイナ保険証を保有していない子どもが多い。
また、公費補助(自治体による乳幼児医療無償化)との連携ができておらず、
結局公費の受給証も出すことになるため、
現状では患者にとってマイナ保検証を出してもらうことのメリットを感じづらい。

2)職員の理解

医師、事務職員にどんなメリットがあるのか理解できていないため、
窓口での声掛けが進まない。

3)説明に時間がかかる

患者へのサポート等を含めると、マイナ保険証利用の方が時間を要することもあるため、
従来の保険証を利用される傾向にある。

4)そもそも利用登録をしていない

患者の中にはそもそもマイナ保険証の利用登録をしていない人も多い。
また、マイナ保険証を使う際の情報流出が怖いといった意見も寄せられる。

5)患者側の理解

患者側の理解が乏しく、窓口で声かけをしても効果が上がらない。

(所感)

患者の理解や登録はもちろんですが、
そもそも職員の理解が得られなければ、
推進しようという行動に繋がりませんし、説明に時間をかけようと思いません。

国がなぜ進めようとしているのか、
理解する必要があると改めて思う内容ですね。

3、その他

1)公費情報との連携

公費関係(難病、透析等)についてはマイナ保険証とリンクしておらず、
紙でしか確認できない為、声かけをしても反応が薄い。

2)セキュリティ上の懸念

オンライン資格確認システムと院内の医療情報システムが連携しておらず、
職員の負担増加懸念から積極的なマイナ保険証利用の推進は行えていない。

3)経済的効果

加算の施設基準のうち、電子処方箋については、ほとんどが院内処方であり、
費用対効果を考えた際に電子処方箋の発行状況を取れるかどうかわからない。
また、人的資源への指導や投資に対して、
それに見合った経済的効果があるか検討中であり届出できない。

4)体制やシステムの未整備

加算の施設基準のうち、診察室等でマイナ保険証を利用して取得した診療情報を
活用できる体制の要件や、電子処方箋の要件について、現状のシステムは未対応。
高齢の医師が多いことから運用変更にも手間がかかり、
システム改修にも費用がかかることから、対応できず届出に至っていない。

(所感)

システムの整備が大変ですね。

レセコンとの連携がうまくいかなければ、目視からの手入力では余計に仕事が増えます。
しかし、その紐付け・システム連携にお金がかかることに躊躇します。

また、通常の保険証以外の公費を使用している患者もいる中で、
調整が難しいのも実態です。

ただでさえ、医療経営は厳しさを増す中で、
費用対効果が期待できないようでは、実行する原資を確保できません。
このあたりにいかに実効性を持たせていくか、大きな課題ですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。

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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の2次試験は突破、次は登録。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。

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