【理論と実践】DPC制度の2024年度改定振り返りと今後の課題
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令和7年8月18日 医療・介護経営の理論と実践 2653号
■DPC制度の2024年度改定振り返りと今後の課題
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おはようございます。中神です。
今日のテーマは、DPC制度関連です。
■病床の変化
令和6年度の診療報酬改定後、
DPC制度からの退出、地域包括医療病棟等への病棟再編が進み
DPC対象病院数は減少しています。
その結果、DPC対象病院のうち、
全許可病床に占めるDPC算定病床の割合が50%未満の病院は増加傾向です。
地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟は、
特定入院料であり、DPC制度の対象病棟ではありません。
急性期一般入院料から地域包括医療病棟などへの病床転換が
加速していることを実感する結果です。
■機能評価係数2(複雑性係数)の課題
誤嚥性肺炎は、全DPC対象病院における包括範囲出来高点数(一入院あたり)が高いため、
症例比率の高い病院では、指数が高い値をとります。
「1入院あたり」という点がポイントですよね。
現行の複雑性指数は、1入院当たりの包括範囲出来高点数により評価を行っているため、
単に「平均在院日数が長い」ことにより高く評価される診断群分類が存在しています。
診療対象とする診断群分類の種類が少ない病院で、誤嚥性肺炎等の平均在院日数が長く、
1日当たり包括範囲出来高点数の小さい疾患に偏った症例構成の場合、
急性期入院医療における評価として不適当な評価となっている、との指摘がありました。
急性期の定義について、
「患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで」
と考えられています。
急性期を脱したタイミングで、適切な転棟・転院が求められます。
また、機能評価係数2の適切な評価方法の検討が課題とされています。
■再入院・再転棟ルールの問題
DPC病棟からの転棟後、再転棟までの日数の分析で、
DPC制度において一連の入院と見なされなくなる8日目の再転棟の件数が突出して多い、
という結果が出ています。
DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加し、
「再転棟」が起こりやすい状況と評価されています。
当然ですよね。
制度内で、何とか利益を出そう(運営の維持)という経営努力であり、
それを問題視されている、とすれば、
ますます赤字の病院は増えることになってしまいます。
■特別調査の主な調査結果
在院日数短縮の取り組みとして、
全DPC対象病院の約9割でクリニカルパスが採用されています。
約6割の医療機関が、パスの期間の参考として、
診断群分類点数表上の期間2、であると回答しています。
期間2は、全国平均ですので、
ここに合わせていく、というのは、妥当であり、取り組みやすい指標と言えます。
■DPC制度からの退出意向
2024年度の診療報酬改定にて、DPC対象病院は
「1カ月あたりデータ数が90以上」という基準が導入されています。
「DPC制度の安定的な運用に関する調査」における「データ数が下位25%」とは、
DPC対象病院の中で1カ月あたりのデータ数が全体の下位25%に位置する病院群を指します。
その下位25%の439医療機関のうち、約2割が退出を検討しています。
転換検討先は「地域包括医療病棟」「地域包括ケア病棟」が多くあります。
一方、急性期医療の標準化に関して、
DPC算定可能病床を有する出来高算定病院の約86%が
「現時点で参加は検討していない」と回答した、という結果も興味深いです。
理由は「DPC制度に参加する必要性を感じない」が最多です。
データ提出加算による、データの収集も進み、
医療の標準化も着実に進む土台はできてきていると思いますが、
まだまだ、課題は山積していますね。
■その他
令和8年度診療報酬改定時の届出受付期間(案)や、
DPC制度への参加等の手続きの一部改正内容について、
退出手続きの見直しなどについて、議論されています。
参考:総-1入院・外来医療等の調査・評価分科会におけるこれまでの検討状況について検討結果
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。