【理論と実践】「広義」の社会保険料と、「狭義」の社会保険料(介護職員等ベースアップ等支援加算)
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令和5年5月14日 病院経営の理論と実践 1827号
■「広義」の社会保険料と、「狭義」の社会保険料(介護職員等ベースアップ等支援加算)
中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。
〜今日のテーマ〜
本日の内容は、「広義」の社会保険料と、「狭義」の社会保険料について確認してみましょう。
狭義においては、
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料が入ります。
広義においては、
上記に加えて、労働保険料(雇用保険料や労災保険料)なども入ってきます。
さて、今回、このテーマを話題にした理由は、
介護職員等ベースアップ等支援加算の実績報告の時期が近づいてきたためです。
その学びをシェアします。
ベースアップ等支援加算の対象は、介護福祉士や介護士がメインです。
その名の通り、毎月の給与のベースアップをすることが目的で作られた制度です。
国からの支援加算の額に対し、職員への支給額が適切だったかどうか実績を報告します。
その加算の総額(国保連合会から支給されている金額)と、
職員に支給している金額(該当する手当の総額)を比較して、
加算の総額(国から受け取っている金額)以上に支給していればOKです。
前提として、月々のベースアップの加算額は、
例えば、常勤の介護福祉士なら9000円といったように、国から目安が示されています。
その金額を毎月支給します。
ただ、その通りに手当を支給していたしても、ズレることがあります。
その理由は、計算方法が、
「毎月、介護保険で請求している総金額に一定の掛け率で掛け算して、上記加算額を決定する」
なので、一律9000円とした場合は、ズレますよね。
月々変動する介護の総請求額が計算の項目に入っていますので・・・。
国からの加算額と職員への支給額を比較して、
職員への支給額が少ない場合は、調整(精算・追加支給)する必要があります。
その調整(精算)方法がややこしいです。
では、足りない分を追加で精算すれば良いかというと、それほど、単純でもありません。
やや面倒くさいことを説明します。
ベースアップ等支援加算の手当の支給額を計算するときに、本人に支給する分はもちろん算入します。
そして、事業主が負担する社会保険料の分(ベースアップ等支援加算によって増額した金額)も算入OKです。
例えば、20万円の加算があったとします。
19万5000円分は、職員に手当として支給しました。これでは足りません。
しかし、社会保険料の増額分は、5000円あったとします。
社会保険料の増額分と合わせて、20万円ですので、これでOK!ということです。
では、年間通した金額で考えてみましょう。
年間の総額が500万円だとします。実績を計算したところ、不足分(追加で手当が必要な分)が10万円だとします。
この精算・追加支給分(10万円)が、社会保険料の対象になるかどうか、これが争点になりました。
さて、いかがでしょうか?
結論から言うと、この臨時の精算分は、
健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料の対象にはなりますが、
社会保険料のうち、労働保険料の対象にはなりません。
さらに説明のために言い換えると、「賃金の対象にはならない」とも言えます。
賃金の対象にならない、とはどういうことでしょうか?
それに答えるために、「報酬」と「賃金」の違いについて確認しましょう。
報酬は、給与の全てです。
頂いている給与の項目で、入っていないものは無い、と考えて良いです。
ありとあらゆるものが入ります。
賃金は、労働の対価でいただく項目を指します。
労働保険料(雇用保険料や労災保険料)がかかってくる部分を指します。
つまり賃金に入らない項目は、
従業員も、事業主も労働保険料を支払わなくてもOK、ということです。
通常、「毎月」、支給するベースアップ等支援加算は、賃金に含んで計算しますが、
この場合、不足する分を「臨時的に」支給する分のため、賃金として扱わない、ということです。
上記の臨時精算分をどのように取り扱うかで、
給与計算時、従業員や事業主の労働保険料が増えるかどうか分かれますので、大事な視点です。
ただ、実績報告の際に、
通常のベースアップ等支援加算(通常は、広義の社会保険料の対象になる)と、
臨時のベースアップ等支援加算(賃金に含まないため、雇用保険料や労災保険料の対象にならない)で、
保険料の計算の対象が違う点を考慮する必要があります。
計算時は、
・職員本人への支給総額から、
・賃金に含まれない支給項目(今回でいえば、臨時支給分だが、他にもあるか?確認が必要。)を引く
といった微調整が必要になりそうと考えていますので、準備していきたいと思います。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。