【理論と実践】トヨタ式リーダーシップから学ぶ人材育成の極意
~医療・介護に関わる職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~
ご友人等へのメルマガ紹介はこちらから。
https://www.mag2.com/m/0001682907
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
令和7年3月23日 医療・介護経営の理論と実践 2506号
■トヨタ式リーダーシップから学ぶ人材育成の極意
中神勇輝(なかがみゆうき)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おはようございます。中神です。
今日は、「トヨタ 仕事の基本大全」(OJTソリューションズ)の学びをシェアします。
■トヨタ式リーダーシップから学ぶ人材育成の極意
医療現場においても、組織力と人材育成は成功の鍵です。
トヨタの人材育成に関する考え方は、病院経営や医療事務においても大いに参考になります。
トヨタの元会長である豊田英二の
「人間がものをつくるのだから、人をつくらねば仕事も始まらない」
という言葉にあるように、組織の力は人材の質に大きく依存しています。
■「答えを与えない」教育法
トヨタのリーダーたちは、部下に簡単に答えを与えません。
なぜなら、自分で考え出した方法こそが当事者意識を育むからです。
「部下が『ここの部分がうまくいかないんです』と相談してきたら、
『どうしたらうまくいくと思う?』とまずは質問をする。」(引用)
「人の脳は、『問い』を入力されると、自動的に『答え』を出力しようとします。
逆に、『正しい答え』を教えてしまったら、相手はそれ以上考えなくなる傾向があります。」(引用)
この考え方、問いかけは本当に大事です。
考えるトレーニングを積ませることが重要であり、病院での業務改善にも応用できます。
例えば、「会計待ち時間が長い」という問題に対して、管理者が解決策を示すのではなく、
「どうすれば待ち時間を短縮できると思う?」と現場スタッフに問いかけることで、
より実践的な改善案が生まれ、行動に移されるでしょう。
■失敗を恐れないチャレンジ精神の育成
リーダーの重要な役割の一つは、部下に安心してチャレンジさせる環境を作ることです。
トヨタでは、失敗を恐れず新しい取り組みに挑戦できる文化があります。
「新しいチャレンジには、必ず失敗がともないます。
現場を知っている人間ほど、そのことをよく知っています。
よく知っているからこそ、前に進めなくなってしまうこともあるのです。」(引用)
「リーダーはいざというときのために、保険をかけておくことです。
メンバーにチャレンジさせてみて、
それが失敗したときにすぐフォローできるようにする。」(引用)
失敗をおそれず、挑戦させる。しかし、フォローはする。
素敵です!
医療現場でも、新しい業務システムの導入や患者サービスの改善など、
チャレンジを奨励するリーダーシップが必要です。
重要なのは、失敗した時のフォロー体制をしっかり整えておくこと。
そうすることで、スタッフは安心して新しいアイデアを試すことができます。
■「見る」から「できる」までの徹底したフォロー
トヨタのリーダーたちは、教えるだけでなく、その後のフォローにも熱心です。
単に知識を伝えるだけでなく、実際に「できる」までサポートし続けます。
「『聞く→見る→体験する』ところまでやらないと、
せっかく座学で教えたこともムダになってしまうのです。」(引用)
「できていることを確認し、フォローするまでは、
本当の意味で『仕事を教えた』と胸を張ることはできないのです。」(引用)
病院事務においても、新人研修や業務指導は「教えた」で終わらせず、
実際に業務で実践できているかを確認し、
必要ならば追加のサポートを提供することが大切です。
特に医療保険制度や診療報酬請求など複雑な業務では、
このフォロー体制がミス防止と人材育成の両面で効果を発揮します。
■全体像を見せる重要性
部分的な業務を担当するスタッフであっても、
仕事の全体像を理解することでモチベーションが高まります。
「あなたがリーダーとして部下を動かしたいなら、
仕事の全体像をイメージさせることが効果的です。
たとえば、完成品のプロセスの一部を担う仕事であれば、
完成品の現物そのものを見せてあげる。」(引用)
「仕事に対する意欲を高めるという意味では、
『自分たちがつくっている製品・サービスを好きになってもらうことも大切だ』」(引用)
事務職にとっては、自分たちの事務作業が
最終的に患者さんの診療や治療にどうつながっているのか、
病院全体の中での位置づけを理解することが重要です。
例えば、正確な保険請求業務が病院経営を支え、
結果として良質な医療提供につながるという全体像を共有することで、
日々の業務に対するモチベーションが高まるでしょう。
■人材育成と組織強化の好循環
組織の強さは、リーダーだけでなく全てのメンバーの力量に依存します。
トヨタでは、優秀な人材を積極的に外に出し、
残ったメンバーにチャンスを与えるという大胆な育成方法も実践しています。
「ナンバーワンを出すとナンバー2が伸びるのです。ナンバーワンがいるときは、
ナンバー2以下が頭角をあらわすチャンスがなかっただけ。」(引用)
「外に出した優秀な人材が帰ってきたら、さらなる上のポジションを用意して、厚遇してあげる。
そうすることで、ナンバーワンの従業員を目標とする人材が次々と育ってきます。」(引用)
病院においても、優秀なスタッフを他部署や外部研修に積極的に派遣することで、
そのポジションを埋めるスタッフの成長機会を創出できます。
また、研修から戻ってきたスタッフには、さらなる成長機会を提供することで、
組織全体のレベルアップを図ることができるでしょう。
■まとめ
トヨタ式リーダーシップの本質は、答えを与えるのではなく考える力を育み、
失敗を恐れず挑戦できる環境を整え、
徹底したフォローアップで確実な成長を促すことにあります。
そして何より、部下の潜在能力を信じ、機会を与え続けることが重要です。
病院事務の現場でも、日々の業務をこなすだけでなく、
スタッフ一人ひとりの成長に時間を投資することが、長期的には組織の大きな財産となるでしょう。
リーダーの役割は指示することではなく、
メンバーが自ら考え、成長できる環境を整えることです。
トヨタの人材育成の考え方を医療現場に取り入れることで、
より強固な組織づくりと患者サービスの向上を実現できるのではないでしょうか。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。
◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
https://hcmi-s.net/weblesson-hcm/jmp_consult_01/ (講座)
https://healthcare-mgt.com/article/iryo/jmp_consulting01/ (紹介)
◇過去の内容、記事はこちらから是非(^-^)
https://wakuwaku-kokoro.net/
◇試験勉強や本の学びをアウトプットしているYouTubeチャンネルは、こちらです(^-^)
https://youtube.com/channel/UC_PiglYG9qTBjlJ3jt3161A
この記事を書いたのは、こんな人。
ーーーーーーーーーーーーーーー
中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。