【理論と実践】医療機関の経営状況悪化と賃上げへの対応
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令和7年10月1日 医療・介護経営の理論と実践 2697号
■医療機関の経営状況悪化と賃上げへの対応
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おはようございます。中神です。
2026年度の診療報酬改定に向けて、
ここ最近のトピックを振り返ってみましょう。
医療機関の厳しい経営状況や賃上げへの対応や、医療DXの推進や医師の働き方改革、
新たな地域医療構想の実現に向けた具体的な評価体系などが議論されています。
■医療機関の経営状況悪化と賃上げへの対応
医療機関の経営は、物価や人件費の高騰により極めて厳しい状況にあります。
特に病院の経営悪化は深刻で、2023年度の医業利益率は平均でマイナス0.7%でした。
診療所も例外ではなく、日医の調査では2024年度に医療法人の約4割が赤字となり、
個人立でも経常利益が約2割減少しています。
この状況を踏まえ、多くの医療関係団体が基本診療料の大幅な引き上げを強く求めています。
■主な論点・要望
1、賃上げ・処遇改善への財源確保
2024年度改定で新設されたベースアップ評価料だけでは、
他産業の賃上げ水準に追いつかず、人材流出が深刻化しているとの指摘があります。
日本医師会(日医)などは、
ベースアップ評価料の要件見直しや手続きの簡素化を求めています。
2025年度補正予算による緊急支援や、診療報酬の期中改定を求める声が、
三師会(日医・日歯・日薬)や6病院団体、介護関連団体などから相次いで上がっています。
日本病院会など6病院団体は、26年度改定で10%超の改定率が必要だと主張しています。
物価高騰、他業界の賃金との差を埋めていくためにも、
少なくとも、既存の制度の中では、経営努力では限界がある点を理解し、
制度変更を考える必要があります。
2、物価・賃金上昇に対応する仕組みの導入
物価や賃金の上昇に応じて毎年度報酬を適切にスライドさせる
「物価スライド制」の導入を求める意見も出ています。
どちらにしても、原資の確保が課題であり、
社会保障をどのように考えるか、という議論が合わせて出てくる内容です。
3、病院と診療所の経営状況の差
支払側として、2023年度の経営状況調査で、
病院が赤字、診療所が黒字だったことから、改定でめりはりをつけるべき、
という声がある一方、診療側は、診療所も厳しい状況にあり、
健全な経営ができる環境が必要だという意見もあり、難しい状況にあります。
これらを考えるにあたり、個々の経営の体制整備、
レベルアップももちろん必要ですが、
そもそも、どのような地域か、どのような診療を行なってきたのか、
という内・外の状況によって、目指せる姿は変わります。
その中、一律の診療報酬体系に無理がきているのかもしれません。
保険診療か、はたまた自費領域か、
どこに活路を見出すのか、変革の時代に入っています。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。
◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。