【理論と実践】短期利益計画における損益分岐点分析と1個あたり変動費(中小企業診断士2次試験 事例4)

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令和5年10月30日 病院経営の理論と実践 1997号

■短期利益計画における損益分岐点分析と1個あたり変動費

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

中小企業診断士二次試験に向けて、学びをシェアしています。

実際に問題を解いています。

今回は、令和3年度の事例4の第3問より、
「短期利益計画における損益分岐点分析と1個あたり変動費」です。

1)設問

第3問(配点 20 点)

D 社は現在、新規事業として検討している魚種 X の養殖事業について
短期の利益計画を策定している。
当該事業では、自治体からの補助金が活用されるため、
事業を実施することによるD 社の費用は、水槽等の設備や水道光熱費、人件費のほか、
稚魚の購入および餌代、薬剤などに限定される。

D 社は当面スタートアップ期間として最大年間養殖量が50,000 kg である
水槽を設置することを計画しており、
当該水槽で魚種 X を50,000 kg 生産した場合の総経費は 3,000 万円である。

また、この総経費に占める変動費の割合は 60 %、固定費の割合は 40 %と見積もられている。
D 社がわが国における魚種 X の販売実績を調査したところ、
1 kg 当たり平均 1,200 円で販売されていることが分かった。

(設問 1 )

D 社は、当該事業をスタートするに当たり、年間 1,500 万円の利益を達成したいと考えている。
この目標利益を達成するための年間販売数量を求めよ(単位:kg)。
なお、魚種 X の 1 kg 当たり販売単価は 1,200 円とし、小数点以下を切り上げて解答すること。

(設問 2 )

D 社は最適な養殖量を検討するため、D 社の顧客層に対して魚種 X の購買行動に
関するマーケティングリサーチを行った。
その結果、魚種 X の味については好評を得たものの魚種 X がわが国において
あまりなじみのないことから、それが必ずしも購買行動につながらないことが分かった。

そこで D 社は魚種 X の販売に当たり、D 社の商圏においては
販売数量に応じた適切な価格設定が重要であると判断し、下表のように目標販売数量に応じた
魚種 X の 1 kg 当たり販売単価を設定することにした。この販売計画のもとで、
年間 1,500 万円の利益を達成するための年間販売数量を計算し、a欄に答えよ(単位:kg)。
また、b欄には計算過程を示すこと。なお、最終的な解答では小数点以下を切り上げすること。

(表)魚種 X の販売計画

目標販売数量       販売単価
0 kg~20,000 kg 以下    販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,400 円で販売
20,000 kg 超~30,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,240 円で販売
30,000 kg 超~40,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,060 円で販売
40,000 kg 超~50,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 860 円で販売

注)たとえば目標販売数量が 25,000 kg である場合、
25,000 kg すべてが 1 kg 当たり 1,240 円で販売される。

2)公開されている設問の趣旨

(設問 1)

短期利益計画の策定に利用する損益分岐点分析において、
与えられた情報を用いて目標利益を達成する販売量を算出する能力を問う問題である。

(設問 2)

目標販売量に応じて販売単価の設定が異なる場合において、
与えられた条件に基づいて目標利益を達成するための
販売量を算出する能力を問う問題である。

3)初見の所感

目標利益といえば、CVP分析です。
設問2は、ややこしい印象を受けます。

4)与件文からの候補の抽出

特になし。

5)考察・解答

(1)考察

固定費と変動費率の情報が必要です。

「当該水槽で魚種 X を50,000 kg 生産した場合の総経費は 3,000 万円である。
また、この総経費に占める変動費の割合は 60 %、固定費の割合は 40 %と見積もられている。
D 社がわが国における魚種 X の販売実績を調査したところ、
1 kg 当たり平均 1,200 円で販売されていることが分かった。」

の記述から導き出せそうですね。

設問2は、販売量の見込みに応じた価格設定です。
そこまで難しくなさそうですが・・・。

(2)解答

3,000万円のコストがかかります。
そのうち、固定費が、40%なので、1,200万円です。

変動費は、60%です。
目標利益が1,500万円、
固定費が1,200万円、
変動費率が60%、あとは、CVPの式に入れるだけ・・・。

1,200万円+1,500万円/(1ー0.6)

だと、37,500万円・・・。なんかおかしいですね。

この変動費率は、50,000kgの生産時の費用から出していますので、ずれて当然です。
答えを確認してみましょう。

6)答え合わせ

「第二次試験過去問題集(TAC)さん」を参考にしています。

(1)振り返りと解答の修正

設問1です。

50,000kgにつき、1800万円の変動費です。
1 kg あたりの変動費を求める必要がありました。

1,800万円を、50,000kgで割れば良いです。
1kgあたりの変動費は、360円です。

販売単価は 1,200 円ですので、1kgあたりの限界利益は、840円です。

固定費1,200万円を超えて、利益1,500万円を出すために、
どれだけ売る必要があるでしょうか?

販売数量をX個と考えると、
840X=2700万円で、32142.86で、繰り上げで、32,143個です。

設問2です。

1kgあたりの変動費は出せました。360円です。

目標販売数量       販売単価
0 kg~20,000 kg 以下    販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,400 円で販売
20,000 kg 超~30,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,240 円で販売
30,000 kg 超~40,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 1,060 円で販売
40,000 kg 超~50,000 kg 以下 販売数量すべてを 1 kg 当たり 860 円で販売

という条件を、一つ一つ当てはめていきます。(限界利益)

(1)1400円ー360円=1,040円
(2)1,240円ー360円=880円
(3)1,060円ー360円=700円
(4)860円ー360円=500円

この条件下で、利益1,500万円と固定費1200万円を超える販売数量を計算します。

(1)1,040円=2700万円 25,962個(繰上済み)販売数量の範囲に入らず、ダメです。
(2)880円=2700万円 30,682個(繰上済み)販売数量の範囲に入らず、ダメです。
(3)700円=2700万円 38,572個(繰上済み)販売数量の範囲に入って、OKです。
(4)500円=2700万円 54,000個(繰上済み)販売数量の範囲に入らず、ダメです。

(3)の38,572個が正解ですね。

7)終わりに

1kgあたりの変動費を出す必要がありました。
色々な問題を解くのは楽しいもんですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。結果待ち。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。

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