【理論と実践】原価コントロールと人件費管理
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令和8年3月11日 医療・介護経営の理論と実践 2857号
■原価コントロールと人件費管理
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おはようございます。中神です。
前回は、研修の学びについて、
「予算は逆算で設計する」というテーマで共有しました。
今回は、その逆算思考を現場で実践するための、
原価コントロールと人件費管理の具体論に入ります。
この2つは、多くの病院で「削るべきコスト」として語られがちです。
でも、実は見方を変えると収益構造そのものを変える力を持っています。
■原価削減は「コストカット」ではなく「増収対策」
まず認識を変えたいのは、原価削減と増収は、
利益への貢献度という点で同等だということです。
たとえば、医療消耗品を年間50万円コストダウンできたとします。
利益率1%の病院では、50万円の利益増は収益ベースに換算すると、
5,000万円の増収と同等の効果を持ちます。
削った50万円は、そのまま利益になるからです。
一方、収益を5,000万円増やすには、相当の患者数増加や単価向上が必要です。
どちらが現実的かは、病院の状況によりますが、
少なくとも原価管理は「守り」の施策ではなく、
積極的な収益戦略の一つだという発想に切り替えることが重要です。
■DPCの入院期間の管理
さらに、DPCでのコスト管理も重要な視点です。
入院期間が長くなればなるほど、包括点数が低くなります。
その包括点数と、出来高換算した医療資源の投入量(点数)の差が
逆転するタイミングをフォローしておく必要があります。
■人件費は「率」で管理し、「採用タイミング」で制御
次に人件費です。
まず抑えるべきは、人件費率です。
病院機能で利益が出る人件費率は異なります。
その人件費率を押さえた上で、
管理の核心は「職員一人当たりの収益」の推移にあります。
単純に「人件費総額がいくらか」を見るだけでなく、
一人ひとりが生み出す収益の伸びを追うことが重要です。
前年比で一人当たり収益が下落しているなら、
それは患者数(外来・入院)を補う計画か、
または人員配置の見直しが必要なサインです。
■外来収益と人件費を連動させる
外来人件費の管理には「外来収益との連動」という考え方が有効です。
外来収益の7割程度で、人件費をカバーできるかどうか。
この目安を基準に、
外来収益の伸びに合わせて人件費が連動するような採用・配置計画を立てます。
■採用タイミングが利益を左右する
もう一つ、意外と軽視されがちなのが採用のタイミングです。
職員が退職した月、その分の人件費は減少します。
たとえば月額30万円の人件費が減れば、
その月の利益はそのまま30万円増えます。
しかし、翌月すぐに補充採用してしまえば、その利益は消えます。
必要なのは「欠員が生じたら即補充」という反射的な行動ではなく、
採用のタイミングを計画的に管理することです。
一例として、年2回(4月・10月)の定期採用にまとめることで、
欠員期間中の自然減を利益に転換できます。
もちろん医師・看護師など即時補充が必要な職種は別ですが、
採用計画を「いつでも随時」から「計画的なタイミング管理」に変えるだけで、
収益への影響は無視できないものになります。
■「現場が忙しい」は必ずしも「人を増やすべき」ではない
採用要望が現場から上がってくるとき、
その根拠を「繁忙感」だけで判断していないでしょうか。
職員一人当たりの収益が前年比で増加しており、
かつギリギリ目標値を達成しているなら、
それは増員のコストに見合った生産性が発揮されているかどうかを
試している状態です。
その判断を誤ると、増員したことで一人当たり収益が下がり、
利益が圧迫されます。
「人を増やす」判断の基準は、感覚的な忙しさではなく
一人当たり収益の伸びと採用コストの対比で行うべきです。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

