【1333】多職種連携、質向上のためのツール

2022年1月16日

~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~

今日は、「多職種連携、質向上のためのツール」であるクリニカルパスについて。

クリニカルパスは、患者に提供する医療や介護の質を向上し、
また、医療従事者や介護従事者の連携を促進するツールです。
院内・外の関係者と話し合い、評価し、改善していくプロセスが求められます。

1、クリニカルパスとは

そもそもクリニカルパスとは何でしょうか?

一言でいうと、「診療や看護の作業工程表」ですね。

EBM(エビデンスに基づいた医療)が要請され、
診断、治療、看護のガイドラインが次々と作成されています。
求める成果は何か、その時間軸、どのようなチームで医療を行うか
といった内容で構成されますよね。

標準化した治療に対し、その成果が出ているのか、
1日ごとに病態の変化を記載し、フォローしていくことで、
標準的な治療ができているか、確認することができます。

院内だけでなく、地域連携のパスもあります。在宅や介護との連携もあります。
その場合、時間軸が長くなりますので、1日単位でなく、長いスパンで考える必要があります。

2、パスのメリット

一般的には、対象とする疾患において、

・患者数が多いか
・費用がかかるか
・リスクが高いか

この3つの視点からメリットを判断する、とのことです。
ハイボリュームの疾患だけではなく、ハイリスク、ハイコストな疾患の標準化が求められます。

では、バスをつくる最大の意義は何でしょうか?

それは、

「パスを用いた場合の、結果を評価できる」

ということです。そのためには、設定した結果が得られているかどうかをレビューする必要があります。
定型的なパスから外れたバリアンスがあるかないか、それを改善につなげていく、ということです。
普段の仕事でも、例えば、マニュアルがあるかないか、
あれば、その通りに実行したのかどうか、など、
なぜ、うまくいかなかったのかを考える材料にできますよね。

3、作成プロセスと、アウトカム評価・ピュアレビュー

自院独自のパス開発のメリットと、パスの限界を知ることが重要、ということが紹介されていました。

多職種で話し合って、診療や看護によって得られる最良の結果、アウトカムを目標とし、
これを達成するための標準的な工程を設定していく。

そして、大事なのは、一度作っても、それが絶対ではない、ということ。
レビューしていく中で、改良を加えていく、みんなで話し合って調整していく機会とすることが大事です。

医療の質を高める、ということがアウトカム評価を重要視する直接的な動機付けになります。

ピュアレビュー(相互評価)ということについても書かれてあります。
病棟など、チーム全員で共同作業をするということ、
また、お互いの業務を組織的・継続的評価するということが大事です。
病院という業界は、組織がタコツボ化しやすい傾向にあります。
パスは、お互いの業務に干渉しない、という壁を突破する、その助けになるのではないでしょうか。

質と安全と効率について、アメリカでは効率、日本では質と安全の追求に重きが置かれているようです。
どちらにしても、患者・スタッフともに幸せになる「アウトカム」が得られるパスを設定できると良いですよね。

4、指標設定、情報収集、分析

「クリニカルパスによる病院マネジメント」について。

パスの効果測定の物差しとして、臨床指標を設定する事の大事さが言われます。

ストラクチャー、プロセス、アウトカム評価という視点を持つ。
指標を設定し、その結果がどうであったかをしっかりと収集し、分析することで、改善につながっていきます。
収集と分析が大事です。

5、質の向上

クリニカルパスを何のために導入するのか。

それは、質向上のため、です。

診療の標準化の促進、診療ガイドラインの設定、クリニカルパスの作成の先に
「質の向上」というアウトカムがなければ、何のためにやっているか分かりません。

取り組みの結果を見える化し、質向上につなげることは、どの分野でも大事ですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
https://hcmi-s.net/weblesson-hcm/jmp_consult_01/  (講座)
https://healthcare-mgt.com/article/iryo/jmp_consulting01/  (紹介)

◇過去の内容、記事はこちらから是非(^-^)
https://wakuwaku-kokoro.net/

この記事を書いたのは、こんな人。
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富山県の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。