【1378】病院経営のミソ ー単価と診療区分ー(2)
~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~
1378日。がみチャンネルより、中神がお届けします(^_^)
今日は、「単価分析(診療区分)」について、昨日に続いて2回目です。
収益は、単価と患者数の掛け算です。
その大きな要素を占める単価がどのような構成になっているのか知っておくことは極めて大事です。
単価が高くなったとしても、その要因は、中身を見なければ分かりません。
例えば、高額な薬剤、手術、検査など様々な要素で変わります。
どんな要素で単価が変わったのか、診療診療区分に分けて見ることが大事です。
大きくは、以下の通りの構成です。今回は、「60 検査」からです。
10 診察
20 投薬
30 注射
40 処置
50 手術
60 検査
70 画像
80 その他
90 入院
一つ一つ見ていきましょう。
60 検査
採血などの検体検査、超音波検査などの生理検査、内視鏡、眼や耳の検査といった診療科別の特殊な検査など、色々あります。
病院の持つ機能、標榜する診療科によって行われる検査の中身や件数は変わります。
どれだけの検査や画像診断ができるのか、というのは急性期にとって大きな指標です。
検体検査であれば、院内でできる検査と、院外に出して行う検査もあります。
院内で全て対応できる病院もありますし、外注して対応する場合と、その病院の持つ機能によって分かれるでしょう。
外注の場合の注意点は、見た目は収益が増えていても、実は委託料で大きくコストがかかっていないか、ということはチェックポイントです。
必要があって行う検査ですが、その収益性もしっかり確認しておきたいところです。
生体検査は、直接利益になると考えて良いでしょう。スタッフの技術料です。
心電図、臨床検査技師が行うエコー、視能訓練士が行う眼科の検査、内視鏡の検査などもそうです。
しかるべき国家資格があって、行われる検査です。
しかし、中には、これだけ手間がかかっているのに、こんなに点数が低いのか、と思う項目もあります。
例えば、眼科の斜視検査は点数が低いです。
診療報酬の点数は、機械のコストも考慮されているからでしょうが、とはいえ、もう少し高く設定してもらえないかと思ってしまいます。
また、採血の判断料は、大きいと思います。
検査結果も判断しなければ、ただの数値です。
医師がその数値を見て判断する、今後のフォローを決める、という技術を評価されています。
これには、原材料がかかっていないため、直接利益につながります。
数ある検査の中でも、主だった検査についてはどれくらいの利益が出たのか。
委託料はどれくらいかかっているのか、機械の減価償却費はいくらか。
注目すべき検査が増えているのか、減っているのか。
など、確認しておきたいですね。
患者にとって必要なものを実施するのが大原則です。
しかし、だいたいの利益性の確認、件数の増減がどうなっているかを確認する姿勢が大事です。
増収のために、むやみやたらに検査すれば良いものではありません。
検査収益が少ないからダメ、ということでなく、本来行うべき検査が行えていない可能性は無いか、という視点が大事ですね。
医療の質、密度の高さの一つを表す単価が減っている場合、行うべき検査ができていないのかもしれない、という視点を持ちたいですし、適切な診療を行った結果、収益が伸びた、というのが健全ですよね。
平均単価の額は、医療の密度を表していると言えます。
治療を行うために、まずどんな状態かを確認する。
治療の結果、検査結果がどう変わったか診断し、必要であれば治療を施すというのが基本でしょう。
適正な検査の実施率になっているか、振り返ってみたいですね。
70 画像
画像は、診療行為の種類が多くないです。
レントゲン、CT、MRI、放射線治療など、です。
CT、MRIは点数としては高く設定されていますので、しっかりと運用することで収益は出しやすいと思います。
(どのような診療科があるか、ということも影響します)
印象としては、月次による変動が起きにくい診療区分だと思っています。
点数の種類がシンプルで、大きな変動が起きにくいです。
そのため、変動した場合にはチェックが必要ですよね。
また、稼働率が低い場合の対策も分かりやすいと思います。
院内からのオーダーを促すことと、機械の共同利用といった院外から利用してもらえる運用(地域連携)をすることです。
機械を眠らせてしまっては何も生みませんから、稼働するようにオーダーを出す、体制を整える、地域に目を向けて発信する、ということがまず取り掛かることでしょう。
80 その他
皆さんがよく知っているのは、リハビリテーションですね、精神療法や、処方箋料がこちらに該当します。
リハビリテーションは、医療、介護ともに注目されている部分ではないでしょうか。
疾患別で見ると、運動器、呼吸器、心臓、脳血管、癌などですね。
介護保険であれば、通所リハもあります。
特に、回復期を担う病院においては(地域包括ケア病棟も)件数がどう変動しているか、確認しておきたい項目です。
自院であれば手術件数の増減が、術後のリハビリの件数に影響を与えます。
他院からであれば、いかに急性期からの紹介を受けるか、という部分が注目される点でしょう。
リハビリテーション病院では、「紹介される」関係性の構築は必須ですね。
そして、リハビリは、やればやっただけ収益になる項目ですから、ある意味、シンプルです。
材料費は基本かかりませんから、稼働率が高い=利益が高くなる、となります。
1日18単位に対し、どれだけの稼働率があるか、この増減は大事なチェックポイントです。
直接の利益につながりやすい項目としてチェックしておきたい項目です。
院外処方せんの件数自体は、意図的に増減させる項目ではありませんが、多剤に対する加算・減算、一般名処方加算、特定疾患処方管理加算算などがあり、深堀りしていくと、いろいろ改善できるものが見えます。
90 入院
入院は、入院基本料や加算などです。
収益が増えたといっても、手術が増えたのか、入院が増えたのか、高額な薬が増えたのかで、大きく変わります。
その収益の中で大きな割合を占めるのが入院料です。
大きく、入院基本料と加算に分かれます。
入院基本料は、例えば、急性期一般入院料、療養病棟入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料など。
収益でも基礎の部分ですね。
どの点数を算定できるかで、収益に与える影響は非常に大きいです。
単純に言うと、1日あたりいくら、という基本の額に対し、入院日数を掛けて計算しますから、その基本の額が大きけれ大きいほど、収益は高くなります。
DPC対象病院であれば、係数という形です。
現状、その点数は、看護師の配置や重症度・看護必要度などを中心に設定されています。
その体制を整備することは、医療の質、経営の質の両面を高くすることになります。
自院の目指す機能、収益面の両方を加味して、より診療報酬の点数が高い項目を算定することは極めて重要です。
一度、届け出をして終わりではありませんので、スタッフ不足が起きていないか、など、定期的にチェックを行い、健全な運営を行う必要があります。
例えば、私が担当している「様式9」という、看護師や看護補助者の配置を確認する書類があります。
作成する手間もありますが、人員が不足がありそうであれば、現場に確認する必要もあります。
基本となる点数ですから、おろそかにもできません。
収益の大枠を占めることになる入院料。
その入院の収入を決めるのは、入院患者数ですから、非常に重要な指標になることは明確です。
まとめです。
入院患者数は、新入院患者数や平均在院日数で決まります。手術件数も関連します。
入院そのものの指標に加えて、関連する指標も併せて確認していく必要があります。
大枠で見て目星をつけて、気になる診療区分の中身を深堀りしていきましょう。
以上です。では、また明日(^-^)v
テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。
この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。
(記載内容は、所属する医療機関の発言でなく個人の意見です)