【1391】地域に根ざした地域包括ケア病棟になっていますか?

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1391日目。医療経営の森より、中神がお届けします(^_^)

今日のテーマは「診療報酬改定で求められる中小病院の役割は何か」。

結論は、「在宅機能をしっかり持ちましょう」。

いつも通り、前振りから(^-^)

経営資源といえば、人・物・金・情報です。その経営の大きな要素になるのが収益です。
収益は、単価と患者数の掛け算です。

その単価と診療報酬は、切っても切り離せない関係があります。
診療報酬というルールの中で、医療行為1つ1つに公定価格(単価)が決まっているからです。
大変重要な要素です。

4月は、その診療報酬の改定がありますので、改定に関連した内容について触れていきます。

今日は、入院単価という括りで、「在宅患者支援病床初期加算」を中心に、地域包括ケア病棟の役割について考えてみたいと思います。

◆地域包括ケア病棟とは?

地域包括ケア病棟には3つの役割があります。

1、サブアキュート機能
在宅患者の急性増悪の患者を受け入れる

2、ポストアキュート機能
急性期の治療を終えた患者を受け入れる

3、在宅復帰支援機能
リハビリ等、在宅復帰を支援する

◆求められる在宅に対応できる力は?

この3つの機能のうち、サブアキュート機能である在宅からの受け入れを評価する点数が「在宅患者支援病床初期加算」です。

以前も同じ名前の点数がありました。その点数が高くなり、かつ細分化されました。

・在宅患者支援病床初期加算

(1)老人保健施設からの患者を受け入れた場合の初期加算:500点(5000円)
(2)介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅からの患者を受け入れた場合の初期加算:400点(4000円)

ですね。1日につき、算定できる点数ですので、非常に高いです。
ご覧の通り、特に(1)が高いです。
この点数は、ざっくりいうと、在宅系からの患者さんを受け入れた場合、とても高く評価する、という改定です。
前回が、300点でしたので、どちらにしても大きくアップしています。
在宅患者さんを診療している在宅療養支援病院への期待役割の大きさを感じます。

また、自院完結型だけで良いのか?ということで、ポストアキュート機能での点数が変わっています。

・急性期患者支援病床初期加算

「自院等の一般病棟」からの患者を受け入れた場合の初期加算:125点(1250円)
「他院の一般病棟」からの患者を受け入れた場合の初期加算:250点(2500円)

こちらも、他院からの転院か、自院からの転棟かで点数を変えています。
前回が、150点でしたので、自院からの転棟は評価を下げています。

他院からの転院(機能分化)を推進します、というメッセージですね。

◆自院だけで完結する地域包括ケア病棟は認めない。

他院から受け入れましょう。
在宅患者の急性増悪をしっかり対応しましょう。
退院支援をしましょう。
急性期、回復期、在宅と、それぞれ地域で連携してやっていきましょう、というメッセージです。

とはいえ、自院の急性期患者の後方ベッドとして重要な役割を担っているのは間違いありません。
点数が下がったからといって、活用せざるを得ないです。
活用せざるを得ない中、徐々に点数が下がっています。
まだ許容範囲かもしれません。

しかし、この微妙な変化が二年後の改定で、さらにどう変わるか、ですよね。
国の考える姿に導こうとする診療報酬改定です。
2年後は、より厳しい展開になることを見据えて、自院の持つ役割を考えていきたいですね。

◆結論です。

環境の変化に対応できる病院でなければ、追い込まれることは間違い無いでしょう。

在宅患者も対応しない、自院からの転棟のみ受け入れているような地域包括ケア病棟は消えていくでしょう。
中小病院に求められる役割を果たせる体制を作っていきなさいよと言うメッセージです。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。
(記載内容は、所属する医療機関の発言でなく個人の意見です)