【1398】医療機関における薬剤費の捉え方
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1398日目。医療経営の森より、中神がお届けします(^_^)
今日のテーマは「薬剤費の捉え方」について。
結論は、「適正な薬剤比率を知る、外来と入院で見方は異なる」です。
今日は、費用ということについて考えてみます。
月次決算をみて、まず最初に見るものは何でしょうか?
たいてい利益です。
利益とは、顧客への価値の対価でもあり、利益を出すことは社会的責任とも言われます。
利益がなければ、その組織は永続できません。
ゴーイングコンサーンとも言われますように、企業は継続するのが前提です。
医療機関であれば、地域に医療・価値を提供し続けるためにも利益が必要です。
その利益は、収益から費用を引いたものです。
いくら大きな収益を出したとしても、それ以上に費用が増えていては利益は減りますし、赤字になります。
よって費用のコントロールは、とても重要です。
今回は、その費用の中で、薬剤費について考えてみます。
薬剤は、診療報酬の区分でいえば、投薬や注射で使われることが多いでしょう。
その他、在宅の自己注射、検査、手術、麻酔など、いろいろな場面で使われます。
薬剤は使用するまま収益になる部分も多く、いわゆる変動費と言われる項目です。
この変動費の割合が収益の何割を占めるか、ということは、予算計画や月次の経営管理にも大事な指標です。
通常の薬剤比率と、ある月の薬剤比率が大きく異なる場合は、なぜそうなったのかを考えなければいけません。
その薬剤費の特徴について、外来と入院に分けて考えてみたいと思います。
まず、外来において、多くの薬剤は使用した分だけ収益になります。
入院ではDPCなど、包括されることが多いです。
よって、外来における薬剤費の考え方と、入院における薬剤費の考え方は変わります。
まず、外来は出来高で請求できます。
診療報酬で一つ一つの薬は薬価ということで、請求額できる金額は決まっています。
仕入れ額が診療報酬より低ければ利益になります。
この利益を、薬価差益と言います。
費用として計上しますが、収益にもつながっています。
最近では、高額な薬も増えています。
外来の単価を押し上げている要因が注射や投薬の場合もあり、その点、注意が必要です。
診療行為そのもの(診察や手術など)、つまり、変動費を含まない収益と、薬剤による収益の割合はどの程度か。
分析をするにあたり、この点は確認しておく必要があります。
次に入院です。
病棟によって請求の仕方は違いますが、ここではDPCで考えてみます。
DPCでは、過剰診療になっていないかといった点が注目点です。
薬の使い過ぎ、ですね。
ただ、使用しても請求できないことが多いとはいえ、収入面を考え過ぎて過少になってもダメです。
実際、包括されるからといって必要な薬を使わない訳にはいきません。
このバランスが大事です。
出来高で計算した場合の金額と包括された金額(実際に請求できる金額)の差が大きい場合は要チェックです。
いわゆるマイナス症例です。
もちろん、そんな治療になるケースもあります。
しかし、そんなケースが多い場合は、何か問題があるかもしれません。
意図的なものか、無知によるマイナス症例かを知っておく必要があります。
薬剤費の観点からチェックが必要です。
ということで、本日のまとめです。
薬剤費を管理する上で、外来と入院は見方が違う、という点。
また、収益に対する変動比率の適正値を知り、ズレが大きければ要因を見に行く、という点。
そして、患者さん視点を忘れないこと。
チェックしていきましょう!
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。
(記載内容は、所属する医療機関の発言でなく個人の意見です)