【1399】医療機関における材料費の捉え方

~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~

1399日目。医療経営の森より、中神がお届けします(^_^)

今日のテーマは「医療機関における材料費の捉え方」。

結論は、「価格交渉や共同購入の具体策も必要だが、win-winの関係性を作ることも大事」。

今日も、費用ということについて考えてみます。

月次決算をみて、まず最初に見るものは何でしょうか?

たいてい利益です。
利益とは、顧客への価値の対価でもあり、社会的責任とも言われます。
利益がなければ、その組織は永続できません。
ゴーイングコンサーンとも言われますように、企業は継続するのが前提です。
医療機関であれば、地域に医療・価値を提供し続けるためにも利益が必要です。

その利益は、収益から費用を引いたものです。
いくら大きな収益を出したとしても、それ以上に費用が増えていては利益は減りますし、赤字になります。

よって費用のコントロールは、とても重要です。

その費用の大きなものに4つあります。

人件費
材料費
薬剤費
その他費用です。

今回は、その費用の中でも、材料費について。

材料費といえば、薬剤費に並び、管理が必要な変動費です。

材料には、大きく3つあります。

一つ目は、診療報酬で、請求できる償還材料。
二つ目は、診療報酬の点数に包括されている材料(例えば、白内障の眼内レンズが水晶体再建術に含まれる)。
三つ目は、診療報酬で、請求できない材料。

診療報酬で請求できる償還材料は、費用として計上しつつも、請求できるため、収益になります。
一般的には、仕入価格に対し、利益が出るように売り値を決めますが、医療機関はそうはなりません。

また、診療報酬で請求できない材料は、そのまま医療機関のコストになります。

よって、材料費でも、償還される材料と、そうでない材料の割合がどうなっているか、ということも確認しておきたいですね。

とはいえ、仕入れ値を下げることで、利益につながる、ということに変わりはありません。

そこで、価格交渉ということになってきますが、買い手(医療機関)の交渉力と売り手(取引先)の交渉力が表れてくるところです。

例えば、手術材料。
医師の希望が個性的で、そのニーズを満たす取引先の場合、売り手が強い交渉力を持つでしょう。
特殊な医療を行うにあたっては、供給が少なくなるので、価格は高くなりがちです。
売り手としても規模の経済がきかないです。

逆に、代替のきく材料であれば、売り手の交渉力は弱まります。

そして、気になるのは、その価格、妥当なの?ということです。

購入価格は、ブラックボックス化しています。公開されていません。
その現状を打破し、価格交渉力を高めるために、地域医療連携法人で多数の医療機関が固まることも一つです。
共同購入で、安くすることも可能です。

また、第三者の業者の力を借りて価格情報を集めて、価格交渉をするのも1つです。

ただ、この価格交渉も、取引先を追い詰めて経営危機に陥らせるようなことをしては継続しません。
信頼関係は構築できません。
コロナ禍で物品不足になったときに助けてはくれないでしょう。

お互いに利益がある、そのバランスが大事です。

win-winになるような落とし所、見つけていきたいですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。
(記載内容は、所属する医療機関の発言でなく個人の意見です)