【理論と実践】外部・内部環境分析を経営戦略の策定に活かせていますか?

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令和4年12月29日 病院経営の理論と実践 1691号

■外部・内部環境分析を経営戦略の策定に活かせていますか

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

最近は、中小企業白書を通して、医療・介護業界を知る、という進め方をしています。

そして、今日は、「外部環境・ 内部環境分析を経営戦略の策定に活かせていますか?」という話です。

●外部環境分析

経営戦略を策定する上では、

・自社を取り巻く外部環境
・自社の経営資源といった内部環境

の分析を行い、自社の置かれた状況を把握することが重要である。

マクロ環境(PEST分析など)に関する情報収集・ 分析の状況では、

・いずれの項目も8割前後の企業において、情報収集を行っている。
・一方で、経営戦略に反映している割合は2割未満にとどまっている。

とあります。

情報収集までは行えても、経営戦略への落とし込みが難しい、という実態があります。
業界ならではの特殊性もありますし、自分の状況も異なります。
病院も、DPCデータなど、データは溢れていますので、分析しようとしたら何でもできます。
ほんと。

ただ、それらのデータをいかに活用するか?
定型業務の中で行うのは難しいので、やはり企画・マーケティング部門が必要ですが、
医療業界でも、たいてい重要視されていません。
そういったメンバーは医療そのものを提供する訳ではありません。
顧客は患者さんですので、求められているのものも分かりやすいです。
とはいえ、VUCAの時代です。
同じような考え方では、乗り越えられない時代になってきているでしょう。

その他の視点で見ると、
・「自社製品・サービスの市場動向」や「顧客の動向」は、経営戦略に反映していると回答した割合が3割を超えている。
・一方で、「代替製品の動向」や「潜在的な新規参入企業の動向」は、
経営戦略に反映できていると回 答した割合が他の項目と比較して低い。
こうした項目について情報収集・分析を行う必要性が薄れている、又は必要性に気付いていない可能性が考えられる。
・また、競合他社の収益性に関する情報収集の実施割合が低い。
競合他社となる企業情報の収集において一定のハードルがある可能性がうかがえる。

とあります。

先ほどにも通じますが、自分のことはまだ分析しやすいです。
しかし、他の企業がどんなことをやっているか、どんな新しい企業が来るか、は調査・想像しにくいです。

病院では、DPCデータで、他の病院がどのような医療を提供しているか、ある程度、見えます。
地域医療構想調整会議というものもあります。
国や県が進める地域包括ケアシステムの実現に向けて、
医療圏ごとに、ニーズに見合った医療・介護を提供できるように話し合いなさい、というもの。
自分の病院の技術・人材はもちろん、相手のことを知る機会を設定されていることを思うと、
チャンスなのかもしれませんね。

●内部環境分析

5つの観点から考える。

・「財務分析」
・自社の組織体制や、社内 の人材のスキルなどを把握する「組織分析」
・自社の事業の商流を理解し、強み・弱みを把握する 「バリューチェーン分析」
・経営管理の状況を把握する「マネジメント分析」
・自社の扱う製品・商 品・サービスごとの特徴を把握する「製品分析」

財務や組織の分析を行い、経営戦略に反映している企業の割合がそれぞ れ 39.3%、33.6%。
他の項目と比較して高くなっていることが分かる。
他方、バリューチェーンについては情報収集・分析を行っ ていないと回答した企業の割合が 25.3%。
自社がバリューチェーン上で担っている機能を十 分に把握できてない企業が一定数存在する。

とあります。

財務や組織等は、自分のことなので分析しやすいですが、
自分の事業は、業界内で、どのような価値を提供できているか?ということは曖昧です。

医療・介護であれば、「健康・予防・外来通院・入院治療・在宅診療・看取り」など、大きな流れがあります。
その中で、自分の法人が果たすべき役割は何か?
自身の強み等にも合致し、地域に不足している「価値」を提供できる部分にこそ、資源を使いたい、と思いますね。
それが、Win-Winの関係性に繋がっていくでしょう。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。