【理論と実践】事業領域・経営戦略の見直し、KPIの設定
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令和4年12月30日 病院経営の理論と実践 1692号
■事業領域・経営戦略の見直し、KPIの設定
中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。
最近は、中小企業白書を通して、医療・介護業界を知る、という進め方をしています。
今日は、「事業領域・経営戦略を見直していますか?、KPIを設定していますか?」という話です。
●事業領域の見直し
過去、見直しを経験した企業は 36.0%、と言われる。
そのきっかけは、リーマン・ショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症拡大を契機としている企業が多い。
その事業領域の見直し時に何を重視したかを確認すると?
「既存事業の技術・ノウハウがいかされる」の回答割合が最も高い。
次に「市場規模が大きい・市場規模の成長性が見込まれる」の回答割合が高くなっている。
とあります。
環境変化に対応してこそ、企業も病院も生き残れる、ということでしょう。
コロナ禍は、医療・介護業界にとっても、大きな外部環境の変化でした。
コロナ感染・陽性患患者の急増に対応したかどうかは、療機関にとって大きな分岐点になったことでしょう。
今後、少子高齢化が進みます。
医療業界にとって、どんな顧客が増えるのか、サービスが求められるのか、それに応じられる内部資源には何があるか、事業を見直す機会を持ちたい、と思いますね。
また、医療法人だけでは限界もあります。
会社を立ちあげて、シナジーが生まれる事業を展開していく、ということも考えられます。
地域から必要とされ、それに応じる柔軟さが必要ですね。
●経営戦略の運用
4つの視点から確認します。
(1)経営戦略の見直し
(2)経営計画への落とし込み
(3)経営戦略の浸透
(4)KPI による経営管理の状況
(1)経営戦略を見直している企業は、労働生産性がやや高い。
定期的な経営戦略の見直しを実施する重要性が示唆される。
(2)経営戦略を、損益計画、財務計画、営業計画、人員計画のそれぞれにどの程度落とし込んでいるか?
損益計画や営業計画に比べ、
設備投資を含んだ財務計画や従業員の採用・配置を含む人員計画に
落とし込んでいる企業の割合はやや低いことが分かる。
(3)管理職以外の従業員にまで浸透している企業が 20.0%となっている。
経営戦略の浸透度で、浸透していない企業も 20.6%と一定数存 在することが分かる。
従業員に浸透させていく上では、具体的な数値や施策を計画に落とし込み、
内容を充実させることが重要といえよう。
(4)計画が順調に進んでいるかを管理するために用いられるものとしてKPIがある。
KPI を利用している企業は 36.7%と一定数存在するものの、
利用していない企業の方が多くなっている。
従業員の多くまで KPI を認識している企業は 12.5%にとどまっている。
経営層によるKPIの確認頻度を見ると、月に1回以上確認している企業が約7割となっている。
KPIをより高い頻度で定期的に確認することで、
自社の経営目標達成に向けて PDCA サイクルを有効に回すことができ、
生産性向上・企業業績にプラスの効果が生 まれている可能性が考えられる。
とあります。
私の所属する病院でも、毎年、法人の事業計画は見直しています。
収益性(損益・財務計画)の観点や集患(営業計画)の観点は入りやすいです。
利益を出すのも、基本です。
ただ、それらの成果を出すために、人員計画も必要ですが、人の動きは何とも予想できません。
急な退職者もあります。
人心は数値のように把握できません。
組織との兼ね合いもあります。
成長度合いも分かりません。
経営戦略に落とし込んでも、計画が崩れてしまう、ということもあります。
それでも人員計画は必要な観点です。
財務への影響も大きいです。
まずは、戦略の一つとして言語化するところから始めてみたいですね。
また、それらの戦略についてトップしか知らない、という状況になっていることも多々あります。
現場スタッフは、目の前の患者さんが中心で、病院がどのような戦略を立てているか、
知らないということがあるでしょう。
その解決(浸透させる)として、大事なのが、KPI(日々の活動の具体的な行動指標)と考えます。
成果を出す鍵となる指標。つまり目標値です。
病院として成果を出して欲しい!と思っている項目を言語化することで、はじめて伝えることができます。
めちゃくちゃ大事な内容ですね。
トップは管理職へ。管理職は現場スタッフへ。
思いを言語化し、数値に載せて、理念の実現に向かいたいものです。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。
この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。