【理論と実践】借入と株式発行、資金調達のあれこれ

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令和5年1月7日 病院経営の理論と実践 1700号

■借入と株式発行、資金調達のあれこれ

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

最近は、中小企業白書を通して、医療・介護業界を知る、という進め方をしています。

今日は、「過剰債務の現状とエクイティ・ファイナンスの検討」です。

医療機関も他人事ではない内容です。
建物を建てるのも、医療機器を購入するのも、資金が必要です。
その時、借入に頼ることが多いでしょう。
では、どのような状況か、内容を確認していきます。

借入過剰

感染症流行後、補助金や実質無利子の融資制度といった大規模な資金繰り支援策が講じられた。
こうした施策もあり、企業の倒産件数は低水準となった。

ただし、収益力が十分に 回復せずに借入金が増加。
債務の過剰感を持っている企業が増えている傾向である。

借入金の過剰感を感じている企業の中には、借入金の返済見通しに懸念がある。
借入れを含めた新たな資金調達を行うことが難しい状況に陥っている企業が一定数存在する様子がうかがえる。

とあります。

コロナ関連の補助金の話はよく聞きますね。
病院でも、だいぶお世話になりました。
ただし、補助金を受けられたかどうかは感染症患者への対応をしたかどうかで大きく分かれました。

補助金であれば返済は不要ですが、借入の場合は返済が必要です。
一時的な売り上げ減少の解決策として借入で乗り切った場合、想定外の借入であったことは間違いないです。
増収を狙っての借入でなく、返済の負担が増えただけですので、さらなる新規投資は行いにくくなりますね。

病院は、建築費用は、借入に頼ることが多いですので、借入の元金・利息の支払い管理は必須ですね。

エクイティ・ファイナンス(企業が新株発行を通じて、事業のために資金を調達する行為)

・成長のための資金調達の手段としてエクイティ・ファイナンスの活用意向

「成長を目指す」と回答している企業の割合に大きな差はない。
債務の過剰感とは関係なく、感染症の収束後には成長を目指したい、と考えている企業が半数以上存在する様子。

とあります。

新規投資について借入を行うことに躊躇している企業が一定数ある中、
感染症の終息後は事業成長の取り組みをしたい、と考えている企業がある、ということですね。
その事業成長の資金をどのように調達するか、が課題です。
続いて見てみましょう。

・資金調達の方法

全体において、「銀行等金融機関 からの借入(社債含む)」の回答割合が最も高い。
一方で、増資による資 金調達を実施した企業の割合は総じて低くなって いる。
また、売上規模別では、1億円以上10 億円未満の企業において、補助金を活用している企業の割合が高いことが分かる。

多くの事業者が増資による資金調達自体 を検討せずに借入れによる資金調達を選択。
「借入先に融資を前提に相談した(資金調達として、それ以外に思い当たらなかった)」
「借入先に資金調達についての相談をした結果、提案されたのが融資であっ た」
と回答した企業の割合が合わせて76%となっている。

とあります。

借入がメインですね。
増資というのは、株式を発行して資金を調達することですから、病院は関係ないです。
(医療法人とは別に、会社を立ち上げれば別ですが)

資金調達の方法について学ぶことは意外と大事ではないでしょうか?
まずは、色々な選択肢があることを学び、より良いものを選んでいきたいと思いますね。

・成長投資への資金を借入れで調達したことへの考え

全 体では、「何も問題はない」と回答した企業の割合が最も大きい。
一方、借入金の返済に向けて投資した事業から早期に利益を生み出さなければならない。
「大きなチャレンジはしにくかった」や
「希望した金額を調達することができず、当初の予定よりも小規模な取組みしかできなかった」と回答した企業の割合の合計が約4割。

とあります。

特に借入金の場合、返済が生じますから、利益を生み出す必要があります。
返済が滞ってしまっては、企業の社会的信頼も失われます。
返済リスクを跳ね返すぐらいの売り上げ増が見込めるのか?
そのために、外部・内部環境の分析、戦略への反映、事業の採算性の試算は必須ですね。

・今後増資を検討したいと考えるか

全体では、「積極的に活用したい」、「機会があれば活用を検討したい」
と回答した企業の割 合が合わせて 37%。

増資による資金調 達を検討したいと回答した企業と、その理由

全体及びいずれの売上規模においても、
「収益化までに時間がかかる新しい事業にチャレンジができる」の回答割合が最も高い。
次いで「アフターコロ ナを見据え、事業転換のための投資ができる」、
「中長期的な目線で研究開発等ができる」と回答している企業の割合が高い。

とあります。

増資のメリットは、借り入れに比べて長期的な視点で取り組みがしやすいことですね。

とはいえ、株主へのフィードバック(見返り)も必要です。
株主になるメリットを提示し続ける(取り組み状況を説明し続ける)ことも必要です。
自身のサービス(医療)について、顧客(病院なら患者さん)に対し、しっかり伝えていくことにも通じますね。

・エクイティ・ファイナンスを既に利用している企業と、感じているメリット

これを見ると「資金繰りの安定化」と回答した企業の割合が最も高くなっている。
次いで「ガバナンスの強化」や「出資元からの人材面での支援」が高い。

とあります。

単純に資金面での安定に加え、別の効果があることが印象的です。
増資することで、株主からのガバナンスも効きますし、必要時、良い意味での介入をお願いできそうです。
そういえば、銀行のコンサル部門が、病院に派遣され、経営改善を行う、という話も聞きます。
うまいこと、外部の支援を受けたいものです。

●その他

・ファンドからの出資と合わせて、人材やDX のノウハウを受け入れることで、
それまで十分に進んでいなかった業務の DX 化を急速に進め、経営改善につなげている企業の事例もある。

とあります。

自前だけで、経営改善に必要なスキルや技術を調達するのは現実的ではありません。
アウトソーシングできる部分は、外部の人材やノウハウに頼りたいものです。
そのためには、内部資源にはどんな強みがあって、どんな弱みがあるかを把握しておく必要がありますね。

・オルタナティブ・ファイナンス(補完金融)が注目され始めている。

オルタナティブ・ファイナン スには多様な形態がある。

代表的なものとしては不特定多数の個人からインターネットを通じて、
資金を集めるクラウドファンディング。

財務諸表でなく購買データ等の新たな指標を AI により分析することで、
融資の可否の判断を行うトランザクションレンディング。

従来のファクタリング(小口の売掛債権を売却し流動資金化(現金化)すること)に
かかる手続き全てインターネット上で完結させるオンライン型ファクタリング。

とあります。

企業だけでなく、医療機関の資金調達の形も変わってきます。
借入がメインであることは現実です。
しかし、投資の内容によっては、補助金やクラウドファンディングなど、別の方法を考えてみたい、と思う内容でした。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。

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