【理論と実践】取り替え投資の判断とキャッシュイン(既存設備の更新か、設備の取り替えか?)(中小企業診断士2次試験 事例4)
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令和5年10月29日 病院経営の理論と実践 1996号
■取り替え投資の判断とキャッシュイン(既存設備の更新か、設備の取り替えか?)
中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。
中小企業診断士二次試験に向けて、学びをシェアしています。
実際に問題を解いています。
今回は、令和3年度の事例4の第2問より、
「取り替え投資の判断とキャッシュイン(既存設備の更新か、設備の取り替えか?)」です。
1)設問
D 社はこれまで、各店舗のレジを法定耐用年数に従って 5 年ごとに更新してきた が、
現在保有しているセミセルフレジ 100 台を2022 年度期首にフルセルフレジへと
取り替えることを検討している。
また D 社は、この検討において取替投資を行わないという結論に至った場合には、
現在使用しているセミセルフレジと取得原価および 耐用期間が等しい
セミセルフレジへ 2023 年度期首に更新する予定である。
現在使用中のセミセルフレジは、2018 年度期首に 1 台につき 100 万円で購入し
有人レジから更新したもので、定額法で減価償却(耐用年数 5 年、残存価額 0 円)されており、
2022 年度期首に取り替える場合には耐用年数を 1 年残すことになる。
一方、 更新を検討しているフルセルフレジは付随費用込みで1 台当たり 210 万円の
価格であるが、耐用期間が 6 年と既存レジの耐用年数より1 年長く使用できる。
D 社はフル セルフレジに更新した場合、減価償却においては法定耐用年数に
かかわらず耐用期間に合わせて耐用年数 6 年、残存価額 0 円の定額法で処理する予定である。
また、レジ 更新に際して現在保有しているセミセルフレジは 1 台当たり
8 万円で下取りされ、フルセルフレジの代価から差し引かれることになっている。
D 社ではフルセルフレジへと更新することにより、
D 社全体で人件費が毎年 2,500 万円削減されると見込んでいる。
なお、D 社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、
利益に対する税率は 30 %である。
(設問 2 )
当該取替投資案の採否を現在価値法に従って判定せよ。
計算過程も示して、計算 結果とともに判定結果を答えよ。
なお、割引率は 6 %であり、以下の現価係数を使 用して計算すること。
1年 2年 3年 4年 5年 6年
0.943 0.890 0.840 0.792 0.747 0.705
2)公開されている設問の趣旨
設備更新投資における毎期の差額キャッシュフローを計算し、
正味現在価値を算出する能力を問う問題である。
3)初見の所感
NPV、きましたね。
キャッシュインとキャッシュアウトを正確に算出し、
現在価値に直し、投資額以上であれば投資を実行します!
さて、解いています。
4)与件文からの候補の抽出
特に無しですね。
5)考察・解答
(1)考察
必要な情報を確認します!
投資額とキャッシュフローです。
(1ー1)初期投資額
フルセルフレジ210万円の100台で、21,000万円です。
ただ、セミセルフレジが8万円で、引き取って、上記購入額から差し引いてくれますので、
800万円は戻ります。
21,000万円から800万円を引いて20,200万円ですね。
そして、キャッシュフローです。
1年目は売却損の節税分も考慮する必要があります。
人件費削減で、2,500万円のプラスです。
費用は、減価償却費1,500万円です。
(フルセルフレジ3,500万円ーセミセルフレジ2,000万円)
この費用分を引いて、税引き前利益1000万円です。
税率30%なので、税引き後利益は、700万円です。
売却損の節税分で、360万円をプラスし、
さらに、減価償却費は非現金支出費用ですので、
キャッシュとして、1,500万円をプラスです。
キャッシュは、2,560万円です。
2年目から6年目は、節税分と取り替えた場合のコストを考えずに計算すれば良い、
と考えました。
人件費削減で、2,500万円はプラスです。
減価償却費は、3,500万円(セミセルフレジは考慮しない?)とすると、
マイナス1,000万円です・・・。
うん。おかしいです。
とりあえず計算してみます。
(2)解答
(2−1)初期投資額
21,000万円ー800万円=20,200万円
(2−2)キャッシュフロー
1年目
2,500万円ー(3,500万円ー2,000万円)×(1ー0.3)+360万円+1,500万円
=2,560万円
2年目以降
2,500万円ー(3,500万円)=ー1,000万円(税引き前利益)
ー1,000万円×(1ー0.3)+3,500万円
=2,800万円(税引き後利益)
やはり、おかしいですね・・・。
断念して、答えを見ます。
6)答え合わせ
「第二次試験過去問題集(TAC)さん」を参考にしています。
(1)振り返り
セミセルフレジは、1台100万円で、100台です。
フルセルフレジを導入しない場合、発生するであろうコスト(セミセルフレジの更新費用)の
10,000万円は、キャッシュインと考えることができる、とのこと!
なるほどです。これは、1年目に参入します。
となると、1年目は、
2,500万円ー(3,500万円ー2,000万円)×(1ー0.3)+360万円+1,500万円+10,000万円
=12,560万円
さらに、この1年目で発生する「セミセルフレジを導入しないことによる
概念上のキャッシュインは、2年以降も反映します。
マジか?!でした。
2年目以降は、
2,500万円ー(3,500万円ー2,000万円)×(1ー0.3)+1,500万円
=2,200万円
となります。すっきりしました。
これを踏まえて、
1年 2年 3年 4年 5年 6年
0.943 0.890 0.840 0.792 0.747 0.705
でNPVを計算します。
1年目 0.943に、12,560万円を掛けます。
11,844.08万円です。
2年目から6年目の合算 3.974に、2,200万円を掛けます。
8,742.8万円です。
そして、フリーキャッシュフローから、初期投資額を引くと、答えが出ます。
(2)解答の修正
(11844.08万円+8742.8万円)ー20,200万円=386.88万円
取り替え投資をすべき!という結論になりますね。
7)終わりに
予定していた更新投資について、
更新を行わず別の設備に取り替え投資をした場合に、
その分はキャッシュインにする、という考え方は慣れる必要がありますね。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。結果待ち。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。