【理論と実践】救急搬送における高齢者の増加と、その課題
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令和5年8月8日 病院経営の理論と実践 1913号
■救急搬送における高齢者の増加と、その課題
中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。
〜今日のテーマ〜
本日の内容は、
「救急搬送における高齢者の増加と、その課題」
について。
【救急医療とは】
まず、救急医療について確認しましょう。
救急医療は、5疾病5事業の先頭に来る事業です。
正式には「救急医療等確保事業」と言われ、重要視されています。
ちなみにその他は、災害、へき地、周産期、小児医療が掲げられています。
救急の体制は、大きく3つです。
・初期救急
・2次救急
・3次救急
自分たちの病院が、どこを担っているか確認しておきたいですね。
初期救急は、在宅当番医や救急センター、
2次救急は、入院を要する症例、
3次救急は、救命救急です。
【数値から見る救急医療】
では、救急搬送の状況を確認してみましょう。
救急搬送件数は、全体で伸びています。
軽症・中等度の搬送では、小児や成人の搬送件数は減っているものの、
高齢者(65歳以上)の搬送件数が大きく増えています。
65歳以上の高齢者において、平成21年と令和元年を比較すると、
死亡で、約1万人の増加(19%増)
重症で、約5万人の増加(14%増)
中等度で、約70万人の増加(65%増)
軽傷で、約52万人の増加(62%増)です。
「この国の医療のかたち 医療政策の動向と課題」(尾形裕也氏 著)
【課題】
入院患者の高齢化が進んでいることは以前も取り上げましたが、
救急搬送においても進んでいる実態に驚きを覚えます。
高齢化が進むことで、救急搬送件数が増え、
さらに救急医療体制を逼迫する可能性が高い、ということを示唆していますね。
これらの現状を踏まえてどうするのが良いでしょうか?
まず軽傷・中等度が増える理由の一つに、
救急搬送が無料であるという、モラルハザード的な要素が挙げられます。
日本では、良識を信じ、モラルハザードが多くないだろう、
という想定のもとで制度が構築されていますが、状況が変わってきていると思います。
ケアをする家族のかたちも変わっていることも要因でしょう。
なぜ救急車を要請するのでしょうか?
この課題の解決策には、どのようなものがあるでしょうか?
救急搬送を要する疾患や状況について、啓蒙することも重要でしょう。
急変と病院の間に適切な「何か」があれば、
119番の適正性について確認できるかもしれません。
こども医療電話相談事業のように、
適切な受診を流すための情報提供・相談体制を表示することも一つです。
家族が急変したときに、どうしても焦ってしまいます。
在宅診療や訪問看護などのかかりつけ医体制をつくっておくことで、まず、そちらに相談することもできます。
その地域の医療機関の在宅医療の取り組みに大きく左右されます。
救急搬送に対し、金銭的な請求をすることで不要不急な搬送を減らす方法もあります。
ただし、必要な救急要請を控えさせてしまう可能性もあり、賛否両論があります。
【まとめ】
啓蒙活動、相談体制、金銭的な請求など、今の日本にとって、
どのような形が良いのか、医療機関の立場で何ができるのか、考えたいですね。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。