【理論と実践】医療提供体制の変革:診療報酬改定の変遷とその影響

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令和7年2月25日 医療・介護経営の理論と実践 2480号

■医療提供体制の変革:診療報酬改定の変遷とその影響

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

■少子高齢化社会が迫る医療改革の必要性

日本は、世界に類を見ない速さで高齢化が進行し、
ついに、団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」に突っ込んでいます。

この人口構造の変化は、医療・介護需要の増大をもたらす一方、
支える世代の減少により持続可能性という大きな課題を突きつけられています。
こうした背景から、診療報酬改定は、単なる価格設定ではなく、
医療提供体制の構造改革を促す重要な政策手段として機能してきました。

■医療機能分化と連携の推進

平成30年度診療報酬改定では、
地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、
連携の推進が重点課題とされました。
特に医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価、
外来医療の機能分化、かかりつけ医の機能評価が進められました。

令和2年度改定では、
医師の働き方改革が重点課題となり、
長時間労働などの厳しい勤務環境改善の取り組みやICTの利活用が推進されました。

令和4年度改定では、
新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で
質の高い医療提供体制の構築が重点課題となり、
医療機関の機能に応じた評価がさらに推進されました。

■重症度、医療・看護必要度の見直し

令和6年度改定では、
一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目が大幅に見直されました。
急性期入院医療の必要性に応じた適切な評価を行う観点から、
「創傷処置」「呼吸ケア」「手術等の医学的状況」などの評価対象が厳格化されています。

これにより、本当に急性期医療が必要な患者を適切に評価し、
そうでない患者は他の病床へ移行させる誘導がさらに強化されています。

■リハビリテーション提供体制の強化

近年の改定では、超急性期から急性期、そして回復期へと、
シームレスなリハビリテーション提供体制の強化が図られています。

2024年改定では特に急性期一般入院料1におけるリハビリテーションが充実し、
「リハビリテーション、栄養、口腔連携加算」や
「急性期リハビリテーション加算」が新設されました。

これにより、急性期病院でのリハビリテーション強化が進み、
入院期間の短縮と在宅復帰率の向上が期待されています。
一方で回復期リハビリ病棟への影響も懸念されており、
超急性期・急性期でのリハビリ充実により、
回復期リハビリ病棟に入院する患者のADLが既に改善していることから、
施設基準のアウトカム達成が難しくなる可能性も指摘されています。

医療機関は、このような診療報酬改定の方向性を見据え、
自院の機能や地域における役割を明確化し、
効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に向けた経営戦略の見直しが求められています。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士(登録申請中)、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

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