【理論と実践】エストニアの個人IDカードの医療への活用

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令和5年5月8日 病院経営の理論と実践 1821号

■エストニアの個人IDカードの医療への活用

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

〜今日のテーマ〜

エストニアのDX化(日本でいうマイナンバーカード制度)について、とあるオンラインサロン勉強会での学びをご紹介します。

「長 Osa英一郎 Eiichiro 医療経営」チャンネルにて、動画も公開されています。

■エストニアはロシアの横の国で、ITが基幹産業です。

日本でいうマイナンバーカードのようなもの(IDカード)があり、その取得は義務であり、全国民が所有しています。
同姓同名も多いため、むしろ個人番号で本人確認をしています。
免許証、保険証、パスポート、その他、多くのことを一つのカードに集約して行っています。

何点か心に残ったことを紹介します。

■国政への電子投票

電子投票の割合が50%を超える、という驚異的な国です。
個人IDカードを使って投票します。(スマホでの投票は今のところ無し)
代理投票の仕組みは現時点では無いようですが、検討されている、とのことです。

日本の病院でも、入院中の患者さんが投票を行うことがあります。
その際の投票業務では、種々の手続きが必要です。
エストニアのように、電子投票が可能であれば相当効率的にできると思いました。
日本の場合、マイナンバーカードの普及が先かもしれませんね。

■デジタル患者ポータル

個人プロファイル更新に加え、診療情報、検査結果など、多くのことを自分で確認することができます。
国からの情報もアップされるので、国民はしょっちゅうチェックしているそうです。
一本化されれば、そこだけ見ていれば良い、となるので、その点で考えると、逆に負担は小さいのかもしれません。

さて、その個人情報の扱いも、「なるほど!」でした。
まず、医療者や救急隊は、必要時、それらの情報を参照することができます。
そして、何でもかんでも閲覧可能かというと、その範囲を限定することができます。
誰が、どの範囲まで閲覧可能か、ということも細かく規定されています。
誰がアクセスしたかも分かるため、なぜ、この人が見ているのか?ということがあれば疑義も可能です。

これらの制度整備によって、透明性とプライバシーを担保しています。
高齢者等への使用促進の支援策としてキャラバン隊も出動した、ということで面白い取り組みと思いました。
「国民の理解」や「浸透」方法に、衝撃を覚えた内容でした。

■医療情報の活用

個人IDカードによる情報共有の利点について。

まず、入院時や退院時に、いろいろな書類の記載が無い、ということですね。
電子上で、情報が分かるので、わざわざ書いてもらわなくて良い、というのは、画期的です。
医療者側の立場でも、書類の多さにはうんざりしますので、患者さんは尚更でしょう。

また、行った治療プロセス等含め、医療情報の反映がスピーディーですね。
救急対応した内容について、当日中にアップロードされていました。
診療内容、処方情報など、細かい情報まで、自分で閲覧可能です。
病院での治療はもちろん、誰が救急出動して、対応したのかまで、何から何まで分かる、相当なシステムと思います。

■システム整備

これらの制度整備にはお金がかかりますが、制度構築時のお金は国が出しています。
EUの大きなバックアップがあり、構築できた、とのことです。
データベースは国が開発し、国民は、無料(?)で利用できるようです。

日本との違いは、日本はぞれぞれの病院が独自でICT基盤を構築しています。
電子カルテも無い病院もあります。
統一が難しい部分で、ITベンダーも同様に躊躇する点ですね。

これらの制度を支えるための税金は例えば、
所得税 一律20%
消費税 一律20%
ですね。低所得層には、やや辛い税制とのこと。

ざっと、こんなところが印象に残りました。
日本との違いがどこにあるのか、日本の課題の核心に触れる内容だったと思います。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。