【理論と実践】事業承継がつなぐ日本の経済

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令和5年6月14日 病院経営の理論と実践 1858号

■事業承継がつなぐ日本の経済

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

〜今日のテーマ〜

本日の内容は、中小企業を支える種々の融資・信用補完等の制度です。
TBCの問題集(中小企業施策)が参考図書です。

1、事業承継の施策

なぜ事業承継が課題になるのでしょうか?
中小企業が持つ能力や事業を次の世代へと「円滑」に承継していくことが日本経済にとって重要であるからです。
その際、「遺留分の制約」や「資金調達の困難性」、「相続税・贈与税負担」といった課題に対応しなければなりません。
そのための施策ですね。

承継には2つの選択肢があります。
何でしょうか。

それは親族内承継、または、親族外承継の2つですね。

まず、親族内承継から見てみましょう。

相続税負担が重いことや、相続で株式・事業用資産が分散するということが課題です。
これは経営法務でもよく出る論点です。

一つ目の「相続税負担が重い」という課題解決について、です。

会社の後継者に対し、
・特例措置として、非上場株式の課税価格の「100%」に対応する相続税の納税猶予制度があります。
・一般措置として、同じく、同株式の課税価格の「80%」に対応する相続税の納税猶予制度があります。

個人事業主の後継者に対し、
・「特定事業用宅地等」の相続税の課税価格の80%の減額措置が出ています。
・事業用資産の課税価格の100%に対応する相続税の納税猶予制度があります。

二つ目の「相続で株式・事業用資産が分散する」という課題について、です。

・後継者への株式等の集中を可能とする経営承継円滑化法(特例)、
・相続で分散した株式・資産の取得資金に係る制度融資で対応します。

では、親族外承継ではいかがでしょうか。

課題は、大きく3つあるます。

・事業承継全般の相談
・適切な後継者が見つからないこと
・後継者が事業を承継する資金を調達できないこと

などがあります。

その中で、「事業承継全般の相談」や「適切な後継者が見つからない」という課題に対しては、
「事業承継・引継ぎ支援センター」(全国47箇所)のアドバイスや支援があります。
適切な後継者探しでは、中小企業基盤整備機構が出資する「中小企業成長支援ファンド」もあります。

2、事業承継税制

後継者が経営承継円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与または相続等により取得した場合において、
その贈与税等の納税が猶予されることや、後継者の死亡等により猶予された税金が免除される制度です。

さて、大きく8個の項目に分けて考えてみましょう。

まず特例措置からです。

・事業の計画策定等は、「6年以上」の特例承継計画の提出が必要。平成30年から令和6年まで。
・適用期限は、「10年以内」の贈与・相続等。平成30年から令和9年まで。
・対象株式は、全株式。
・納税猶予割合は、100%。
・承継パターンは、複数の株主から「最大3人」の後継者まで。
・雇用確保要件は、弾力化。
・事業の継続が困難な事由が生じた場合は、免除あり。
・相続時精算課税の適用は、60歳以上の者から20歳以上の者への贈与。

次に、一般措置(これまでの措置)を見てみましょう。

・事業の計画策定等は、不要。
・適用期限は、無し。
・対象株式は、株式数の最大「3分の2」まで(特例は、100%まで)。
・納税猶予割合は、「贈与税は100%、相続税は80%」。
・承継パターンは、複数の株主から1人の後継者。
・雇用確保要件は、承継後「5年間平均で、8割の雇用維持」が必要。(特例では弾力化)
・事業の継続が困難な事由が生じた場合は、免除無し。
・相続時精算課税の適用は、60歳以上の者から20歳以上の推定相続人・孫への贈与。

3、事業承継ガイドライン

事業承継ガイドラインは、経営者の高齢化の進展等を踏まえて、事業承継の促進・支援を行うことが目的です。
その5つのステップを見ていきます。

ステップ1では、事業承継に向けた準備の「必要性を認識」します。

ステップ2では、経営状況や経営課題の「見える化」です。
ステップ3では、事業承継に向けた経営改善(磨き上げ枕)
2と3のステップを合わせて、プレ承継です。

ステップ4と5は、2つのパターンに分かれます。
・親族内・従業員への承継の場合は、「事業承継計画」を立てて、その実行です。
・社外の引き継ぎの場合は 、「M&A」の工程、M&Aの実施です。

そして、ポスト事業承継へと着地します。

4、中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン

中小企業等では、人手不足が課題です。
多様な働き手が活躍できる職場づくりや、IT設備導入による生産性が向上という課題を乗り越える、そんなガイドラインです。

見ていきます。5つのステップがあります。

ステップ1で、経営課題を見つめ直します。
ステップ2で、経営課題を解決するための方策を検討します。
業務を見直して、経営資源の融通や課題解決の対策策を考えます。

ステップ3で、求人像や人材の調達方法を明確化します。
求める人材像が明確になっていなければ、どのような人を調達するか、内部調達が良いのか、社内での育成が適切か、
ということは分かりません。
まずは自社が求める人材像をしっかり見える化しましょうということですね。

ステップ4で、求人・採用・登用・育成といった取り組みを実施します。
ヒューマンリソースマネジメントです。

ステップ5では、人材の活躍や定着に向けたフォローアップです。
採用したとしても定着しなければ意味がないですね。
定着に向けて、社員のフォローアップや職場環境の見直しを行っていくことが言及されています。

このガイドラインは、良い事例を通してポイントとなるところをまとめられたものです。
人材獲得・定着のヒントになりそうですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
https://hcmi-s.net/weblesson-hcm/jmp_consult_01/  (講座)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。