【理論と実践】医療経営士1級試験対策(わが国の医療提供体制の現状をどのように評価するか。将来像をどのように展望するか)

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令和5年8月22日 病院経営の理論と実践 1927号

■ わが国の医療提供体制の現状をどのように評価するか。将来像をどのように展望するか。

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

〜今日のテーマ〜

本日の内容は、

「わが国の医療提供体制の現状をどのように評価するか。将来像をどのように展望するか」

について。

さて、試験まで、12日(今日を入れて)です。

知識等の最終確認・追い込みをかけていきたいと思います。

今回、「この国の医療のかたち 医療政策の動向と課題(尾形祐也先生 著)」より、学びをシェアします。

こちらの書籍は各項目ごとに問題提起が書かれています。
試験対策も踏まえ、所感を述べていきます。

【日本の医療提供体制の特徴】

日本の医療提供体制の特徴は4つある、と言われます。

・民間中心の医療提供体制であること
・連続的な医療提供体制であること
・資本集約的=労働集約的な医療提供体制であること
・自由放任主義であること

【民間中心の医療提供体制】

民間中心というのは、皆さんご存知の通りです。
医療法人立の割合が69%、個人立が2%で、医療法人立と個人立を合わせると、7割を超えています。

民間が中心の医療提供サービスの中、
お金の調達は、社会保険方式によって公的に行われています。

民間中心の医療提供体制であるが故に、地域における競合関係がどうしても発生します。
病床の増床や、高度医療機器の導入といった設備投資に積極的になります。
これを医療軍拡競争というように表現されています。
「なるほど」ですね。

ただし、この傾向に問題が生じています。

人口減少社会ですね。

今までは拡大路線で良かったと思います。
しかし、人口減少社会においては、縮小または機能転換に転じる必要も出るでしょう。

民間病院を中心に拡大してきたというメリットが、
今後は、デメリットに転じる可能性があります。

そして、医療計画によって病床数が抑制されたことにより、病床数が高止まりしています。
既得権益といっても良いかもしれません。
この状況を地域医療構想会議によって調整していこう、というのが昨今の動きです。

【連続的な医療提供体制】

連続的な医療提供体制とは何でしょうか。

無床のクリニックから有床クリニック、そして中小病院から大病院へ、
という流れで日本の病院は大きくなって来ています。

それぞれクリニックという状態から大きくなっていったので、
地域での全体的な調整の中、規模が拡大したのではなく、それぞれの病院の最適化(部分最適)で大きくなりました。
全体最適でない、ということです。

これは、後に続く自由放任主義と重なる部分があり、致し方ない部分があります。
近年の医療制度改革は、機能分化、標準化がどんどん進んでいます。

【資本集約的=労働集約的な医療提供体制】

日本は、一般病院の病床100床あたり医療従事者数は、医師数で見ると18.5人、看護師数で見ると86.5人です。
これは多いでしょうか?
少ないでしょうか?

外国では、3桁以上になっている国も多く、日本の医師数18.5人が、いかに少ないかが分かります。
ただし、人口1000人あたりの医師数で見ると、2.4人で、アメリカやカナダと比べても遜色ないです。(定義次第で変わるが)
つまり、医療従事者数は一定数いるが、病床数が多く、その病床数に対する医療従事者数が少ない、ということです。

多くなっている病床数に、広く薄く人員を配置しているために、
日本の医療従事者は全身全霊で患者に奉仕し、燃え尽きてしまう、ということが起きやすいということです。
また、薄く広い人員配置によって提供される医療サービスの質もまた低下してしまいがちです。
褥瘡の発生等、入院患者のQOLが犠牲になることも考えられます。

それらの状況を踏まえて、急性期への人配置を手厚くする方向で、
診療報酬改定が行われた訳ですが、それにはお金がかかります。
そのバランスが崩れ始めているのが現代であり、将来の日本の姿と言えます。

【自由放任主義】

言葉の通りですね。

医療機関の開設も、どのような診療科を標榜するのも、
医療機器の購入については、どれだけ買っても問題なし、好きなようにしてください、
という状況です。

それぞれ、診療報酬等によって評価される、利益が出る、経営できるように
規模が大きくなってきました。

【終わりに】

民間中心、連続的な医療提供体制、自由放任主義の中で、
地域医療構想、外来機能報告制度などで、地域にとっての全体最適化という視点が入ってきました。

制度に関係なく、人口動態・疾患需要の変化によって、医療機関に求められる機能は変わります。
その時に向けて、準備を始める時が来ています。

地域医療構想という縁をうまいこと使い、Win-Winの着地点を探す。

そのために医療機関同士の努力も必要ですし、行政の力も必要でしょう。

まずは、マクロ、そして、地域というミクロの現状の見える化を行い、
地域としての最適化を図っていきたものですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。