【理論と実践】企業価値といえば?(フリーキャッシュフローと割引率)

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令和5年9月16日 病院経営の理論と実践 1952号

■企業価値といえば?(フリーキャッシュフローと割引率)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

中小企業診断士二次試験に向けて、学びをシェアしています。

企業価値といえば?

フリーキャッシュフローと割引率です。

さあ、見ていきましょう。

【提案】

とある事業について、2,000(百万円)での売却提案がありました。
どのように意思決定をするでしょうか?

この時に必要な情報は、「企業価値」です。

「企業価値」は、
「フリーキャッシュフロー/割引率」で算出できます。

企業価値を算出し、売却額と比較して、企業価値より売却額が高ければ実行する、
そんな意思決定になります。

【フリーキャッシュフロー】

式は、「営業利益×(1ー税率)+減価償却費ー運転資本増減額ー投資額」ですね。

・営業利益は、損益計算書から算出します。
数字は、100とします。

・減価償却費は、損益計算書から算出します。
数字は、30とします。

・運転資本増減額は、営業用流動資産から営業用流動負債を引いた金額です。
正の場合、キャッシュが減ります。

貸借対照表から導かれる数値です。
項目は設問によって、指定があることが多いですね。
例えば、売上債権・棚卸資産・仕入債務です。
計算イメージは以下の通りです。

当期 220+100ー250=70
前期 250+100ー300=50

当期から前期を引くと増減が見えます。
(+)20です。
よって、フリーキャッシュフローを減らす要因になります。

・投資額は、その名の通りです。

設問や財務諸表の備考・補足は要チェックです。
例えば、減価償却費の半額を投資している、など書かれていたりします。
減価償却費は30でしたので、15とします。

・仮に数字を入れてみると、このような感じです。

100×(1ー0.4)+30ー(+20)ー15=55(単位:百万円)

【割引率】

・WACC(加重平均資本コスト)で算出してみましょう。

式は、以下の通りです。

「負債の価値/(負債の価値+株主資本の価値)×負債コスト(1ー税率)
+株主資本の価値/(負債の価値+株主資本の価値)×株主資本コスト」

・負債や株主資本の価値

貸借対照表から導かれる数値です。

まずは、負債の価値です。
設問の条件で数値が与えられることが多いです。
平均利子率とくれば、負債の部全てです。
有利子負債の利子率とくれば、例えば、短期借入金、長期借入金、など指定があります。
今回は、2500とします。

株主資本の価値は、純資産の部が多いでしょう。
500とします。

・負債コスト

債権者より調達した負債に対するコストです。
5%とします。

掛け算の項目に、(1ー税率)が入っています。

なぜ税率を引くでしょうか。
債権者に支払う利払いが法人税の対象とはならないことから、
負債による資金調達は、節税の分だけ企業価値を高めるから、だそうです。
なるほど!です。

・株主資本コスト

CAPM(Capital Asset Pricing Model)で求めます。

式は、

「リスクフリーレート+ベータ(β)×(株式市場全体の資本コストーリスクフリーレート)」

です。

βとは、全体のリターンの変動に対して、
ある特定の株式のリターンがどれだけ変動するのかを表します。

7とします。(例:1(フリーレート)+2(β)×(4(株式市場)ー1(フリーレート))

これで株主資本コストを算出するために必要な数字が揃いました。

・計算例です。

2,500/(2,500+500)×5(1ー0.4)+500/(2,500+500)×7
=3.666・・・%

【意思決定】

答えは、55(百万円)/0.0366666=1,500(百万円)。

既存の企業価値の額(1,500万円)が、売却額(2,000万円)より低いため、売却します。

企業価値の算出は押さえておきたい内容ですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。結果待ち。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。

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