【理論と実践】取り替え投資の時期変更が与える正味現在価値への影響(中小企業診断士2次試験 事例4)

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令和5年11月1日 病院経営の理論と実践 1999号

■取り替え投資の時期変更が与える正味現在価値への影響

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

中小企業診断士二次試験勉強の学びをシェアしています。

実際に問題を解いています。

今回は、令和3年度の事例4の第2問より、
「取り替え投資の時期変更が与える正味現在価値への影響」です。

1)設問

D 社はこれまで、各店舗のレジを法定耐用年数に従って 5 年ごとに更新してきた が、
現在保有しているセミセルフレジ 100 台を2022 年度期首にフルセルフレジへと
取り替えることを検討している。

また D 社は、この検討において取替投資を行わな いという結論に至った場合には、
現在使用しているセミセルフレジと取得原価および 耐用期間が等しい
セミセルフレジへ 2023 年度期首に更新する予定である。

現在使用中のセミセルフレジは、2018 年度期首に 1 台につき 100 万円で購入し
有人レジから更新したもので、定額法で減価償却(耐用年数 5 年、残存価額 0 円)されており、
2022 年度期首に取り替える場合には耐用年数を 1 年残すことになる。

一方、 更新を検討しているフルセルフレジは付随費用込みで
1 台当たり 210 万円の価格であ るが、耐用期間が 6 年と既存レジの耐用年数より
1 年長く使用できる。D 社はフル セルフレジに更新した場合、

減価償却においては法定耐用年数にかかわらず耐用期間に合わせて耐用年数 6 年、
残存価額 0 円の定額法で処理する予定である。
また、レジ 更新に際して現在保有しているセミセルフレジは 1 台当たり
8 万円で下取りされ、フルセルフレジの代価から差し引かれることになっている。

D 社ではフルセルフレジへと更新することにより、
D 社全体で人件費が毎年 2,500 万円削減されると見込んでいる。
なお、D 社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、
利益に対する税率は 30 %である。

(設問 3 )

当該取替投資案を検討する中で、D 社の主要顧客が高齢化していることや
レジが有人であることのメリットなどが話題となり、
フルセルフレジの普及を待って更新を行うべきとの意見があがった。

今回購入予定のフルセルフレジを 1 年延期した場合の影響について調べたところ、
使用期間が 1 年短くなってしまうものの基本的な性能に大きな陳腐化はなく、
人件費の削減も同等の 2,500 万円が見込まれることが分かった。

また、フルセルフレジの導入を遅らせることについて業者と交渉を行った結果、
更新を 1 年遅らせた場合には現在保有するセミセルフレジの下取り価格が
0 円となるものの、フルセルフレジを値引きしてくれることになった。

取替投資を 1 年延期し 2023 年度期首に更新する場合、
フルセルフレジが 1 台当たりいくら(付随費用込み)で
購入できれば 1 年延期しない場合より有利になるか計算し、
a欄に答えよ(単位:円)。なお、b欄には計算過程を示すこと。
ただし、更新されるフルセルフレジは耐用年数 5 年、残存価額 0 円、
定額法で減価償却する予定である。
また、最終的な解答では小数点以下を切り捨てすること。

2)公開されている設問の趣旨

(設問 3)

設備更新投資において、更新時期を遅らせるという代替案が
正味現在価値上有利となるための条件を求める能力を問う問題である。

3)初見の所感

2022年度期首に取り替える場合は、
(11844.08万円+8742.8万円)ー20,200万円=386.88万円というNVPになります。

以下参照です。
https://wakuwaku-kokoro.net/post-6353/

つまり、これを超えるNPVが出る購入価格はいくらになるか、ですね。

4)与件文からの候補の抽出

特にありません。

5)考察・解答

(1)考察

まず、旧施設の売却損による節税効果がなくなり、
むしろ、税金がかかるのか?
8万円で下取りしてくれるので、100台で、800万円です。
これは、キャッシュインと考えるのか・・・。

(2)解答

求めたい金額は、フルセルフレジの購入価格です。
項目をピックアップしていきながら、
求めたい数値、不明な点は、Xなどで考えていけば良いのでしょうが、
的確なものが思いつかず、断念。

6)答え合わせ

「第二次試験過去問題集(TAC)さん」を参考にしています。

(1)振り返り

求めたいものは何でしょうか?

(1ー1)取り替え投資の対象であるフルセルフレジの金額。

求めたい金額であるフルセルフレジの価格を「X」万円とします。
これは基本として・・・。
100台購入しますので、「100X」が、投資額です。

(1ー2)その他に必要なデータは、毎年の減価償却費。

100X÷5年=20Xです。

(1ー3)上記2点を踏まえて「差額キャッシュフロー」の計算。

2023年度期末から2027年度期末までの年々の「差額キャッシュフロー」です。

2,500万円×(1-0.3)+(20Xー2,000)×0.3=6X+(1,750ー600)=6X+1150
(CIFーCOF)×(1-税率)+非現金支出費用(減価償却費)×税率

毎年、上記のキャッシュフローが得られる、ということですね。

上記の「ー2,000万円」は、従来のセミセルフレジのままで行くと想定した場合に
発生する毎年のコスト(100万円 ×100台/5年)がかからないので、
(キャッシュインとして)10,000万円、
これを5年で割った毎年の減価償却費「2,000万円」が該当します。

(1ー4)最後、求めるのは、2023年度期首での更新が有利となるフルセルフレジ1台の価格 。

(10000 − 100X)× 0.943 +(6X+1150) ×(0.890+0.840+0.792+0.747 +0.705)>386.88

キャッシュインの10,000万円から、フルセルフレジの購入額「100X」を引き(キャッシュアウト)、
1年目の現価係数である「0.943 」をかけて、初期投資額の現在価値を計算します。
設問2では、2022年度の期首だったので、そのまま10,000万円だった(現価計数なし)のが違いですね。

そして、毎年のフリーキャッシュフローである(1ー3)の数値に、
2年目以降の現価係数(3.974)を掛けることで、
5年間のキャッシュフローを算出し、初期投資額に対し、足し算します。

(1ー5)答えが出ます。

式を計算すると、

9,430 − 94.3X+23.844X+4,570.1>386.88

− 70.456x> − 13,613.22

X<193.2159078万円
X<1,932,159.078円

端数は切り捨て、とのことですので、

X=1,932,159円

ですね。

余談ですが、2022年度期首に生じたであろう旧設備の売却損による節税効果がなくなり、
むしろ、0円の価値のものを、8万円で下取りしてくれます。

100台で、800万円のキャッシュインとならないのだろうか?
これは、気にしなくて良いのだろうか?、という感じで悩みましたが、
値引きしてくれる額も踏まえての、有利となる購入金額の算出、ということでしょう。

(2)解答の修正

考察の通りです。

7)終わりに

そもそも公式や考え方が頭に入っていて、使えないと解けない問題がたくさんありますね。

基本を押さえての応用、と改めて感じます。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。結果待ち。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。