【理論と実践】病床機能報告制度における4つの機能と、それぞれの課題

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令和5年11月19日 病院経営の理論と実践 2016号

■病床機能報告制度における4つの機能と、それぞれの課題

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

病床機能報告制度における4つの機能と、それぞれの課題について考えてみましょう。

【高度急性期】

・機能

急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、
診療密度が特に高い医療を提供する機能です。

高度急性期機能に該当すると考えられる病棟の例は、
救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、
新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室などです。
中小病院では整備が難しい機能ですね。

そして、医療資源投入量について、
患者に提供される診療行為を1日当たりの診療報酬の出来高点数で換算した値が、
3000点以上です。

その他、急性期機能にも共通するのは以下の実施、対応をしているか、という視点もあります。

幅広い手術の実施
がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療
重症患者への対応
救急医療の実施
全身管理

これらの病棟機能、出来高点数、各種治療の実施・対応状況について
確認し、自院の機能を判断することになります。

病床機能報告制度では、上記の各種治療の対応状況について
レセプトデータから確認することができます。
興味がある方は自院の入力担当者に聞いてみると良いですね。

・課題

手厚い人員配置が求められるため、医療従事者が不足しやすことです。
人員の確保(地域での人材共有)も求められます。
また、重症患者が多いため、適切な後方病院を探しにくい点も課題です。
地域に適切な退院先の確保(自前、または連携)が求められるでしょう。

【急性期】

・機能

急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能です。

医療資源投入量の視点で確認すると、600点~3000点未満です。

・課題

高度急性期に同じく、医療従事者不足、医療資源の分散への対応が課題です。

【回復期】

・機能

急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能です。
特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、
ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能です。

医療資源投入量の視点で確認すると、225点~600点未満です。

・課題

急性期との連携を強化(ポストアキュート)することで、新入院患者を受け入れを積極的にすることが必要です。
また、在宅復帰や退院に関して、患者や家族の状況を踏まえて決める必要がありますが、
希望に応じた退院先の確保が困難な場合への臨機応変な対応が求められます。

【慢性期の機能】

・機能

長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能です。
長重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、
筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能です。

・課題

社会的入院への対応や、平均在院日数の短縮化に伴う病床稼働の低下への対応が昨今の課題でしょう。
医療区分とADL区分の軽度な患者が多くなると、診療報酬の評価が下がり、経営を圧迫します。
より医療の必要性が高い患者を入れていく必要が出てきますし、
そのためには、医療従事者が必要です。

全ての病棟機能に共通する課題は、医療需要と供給のギャップと言えそうですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。無事1次は通過、次は2次試験。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。