【理論と実践】賃上げに向けた評価の新設(令和6年度診療報酬改定の短冊を通して)

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令和6年2月4日 病院経営の理論と実践 2093号

■賃上げに向けた評価の新設(令和6年度診療報酬改定の短冊を通して)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

【はじめに】

1月26日に、診療報酬改定の短冊(個別改定項目)の発表がありました。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じます。

これらを踏まえて、個別改定項目を見ていく必要があります。

【本日の項目】

賃上げに向けた評価の新設について、確認してみます。

■基本的な考え方・具体的な内容

看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、賃上げを実施していくため、新たな評価を行う。

・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(1日につき)

外来医療又は在宅医療を実施している医療機関(医科)において、勤務する看護職員、
薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合の評価を新設する。

1 初診時
2 再診時
3 訪問診療時
など。

[施設基準](一部)

(2)主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く。以下「対象職員」という。)が
勤務していること。対象職員は別表1に示す職員であり、
専ら事務作業(医師事務作業補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として
行う事務作業を除く。)を行うものは含まれない。

(3)当該評価料を算定する場合は、令和6年度及び令和7年度において
対象職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるもの除く。)を実施しなければならない。

こちらは、外来や在宅に関わる点数への評価の新設ですが、
それ以外の点数では、以下のような点数もあります。

・ 入院ベースアップ評価料(1日につき)
・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1日につき)
・歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1日につき)
・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) ●●円
・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ) ●●円

全ての事業所、という感じですね。

◼️対象職種は、以下の通り。

(別表1)
ア 薬剤師
イ 保健師
ウ 助産師
エ 看護師
オ 准看護師
カ 看護補助者
キ 理学療法士
ク 作業療法士
ケ 視能訓練士
コ 言語聴覚士
サ 義肢装具士
シ 歯科衛生士
ス 歯科技工士
セ 歯科業務補助者
ソ 診療放射線技師
タ 診療エックス線技師
チ 臨床検査技師
ツ 衛生検査技師
テ 臨床工学技士
ト 管理栄養士
ナ 栄養士
ニ 精神保健福祉士
ヌ 社会福祉士
ネ 介護福祉士
ノ 保育士
ハ 救急救命士
ヒ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師
フ 柔道整復師
ヘ 公認心理師
ホ 診療情報管理士
マ 医師事務作業補助者
ミ その他医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く。)

【所感】

・加算の設定による原資確保と、それ以外の点数の是正の影響

賃上げしようにも原資がない、
その原資を補填すべく、様々な加算が設定されそうです。

しかし、その一方で、重症度・医療看護必要度の厳格化、
生活習慣病関係の減額、敷地内薬局併設の病院の処方せん料の是正など、
国が適切と考える機能の明確化(地域医療構想の実現)・分化の影響で、
従来あった収入(原資)が減る可能性があります。

賃上げのアクセルを踏みつつ、減収のブレーキが掛かる中で、
どの程度のベースアップができるのか、という懸念点が一つあります。
経営努力せよ、ということと思いますが、なかなかに難解でもあります。

・事務手続きの煩雑さへの対応

また、ベースアップによって生じる事務手続きが増大になることが危惧されます。
介護職員の計画書作成や実績報告について担当していますが、
事務作業がとても煩雑です。

実績報告がどのような形式でされるのかにもよりますが、
すべての病院、事業所に対し、それらの事務手続きを課せられることで、
その事務のために人を雇用しなければいけないのではないか、とさえ思います。

・専ら事務を行う職員

また、一点気になるのは、前述の通り、

「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く。以下「対象職員」という。)が
勤務していること。対象職員は別表1に示す職員であり、専ら事務作業を行うものは含まれない。」

とあります。

直接、医療を提供しない事務職への扱いの不遇さを感じる言葉であり、
管理部門として、同じく事業を支える職員として、若干のさみしさを覚えますね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の記述試験は突破、次は口述試験。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。