【理論と実践】国が考える生活習慣病管理の評価(令和6年度診療報酬改定)

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令和6年2月12日 病院経営の理論と実践 2101号

■国が考える生活習慣病管理の評価(令和6年度診療報酬改定)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

【はじめに】

1月26日に、診療報酬改定の短冊(個別改定項目)の発表がありました。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じます。

これらを踏まえて、個別改定項目を見ていく必要があります。

【本日の内容】

生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、
「生活習慣病管理料」について要件及び評価を見直す、とあります。

今までは、生活習慣病管理料は、検査や注射が包括される点数しかありませんでした。
令和6年の改定より、検査や注射が包括されない点数が新設されます。

病床数で制限がありますし、選べるかどうかも分かりませんが、
どちらを算定するのが良いか、答申を踏まえて考える必要がありますね。

また、生活習慣病管理料では、多職種連携が望まれます。
計画書の効率的な作成や説明などについて、効率的に、かつ質の高い医療を提供するか、
特定疾患療養管理料とは異なるオペレーションが求められます。

また、患者負担が増える可能性が高いですので、
上記のように質を高めつつ、説明する必要があります。

【主な改定内容】

■■■生活習慣病管理料(1)■■■

1 脂質異常症を主病とする場合
2 高血圧症を主病とする場合
3 糖尿病を主病とする場合

●R6年6月以降は、施設基準の届け出が必要となる。

●当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、
生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

・ただし、糖尿病を主病とする場合にあっては、
在宅自己注射指導管理料を算定しているときは算定できない。

・外来管理加算(区分番号A001の注8に掲げる医学管理)は併算定できない。

・一部を除く医学管理料、第3部検査、第6部注射及び第13部病理診断の費用は、
生活習慣病管理料(Ⅰ)に含まれるものとする。

●当該治療計画に基づき、服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での
体重や血圧の測定、飲酒及びその他療養を行うに当たっての問題点等の
生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に算定する。
当該治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護師、
薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。

●患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9
又はこれに準じた様式とする。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、
当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものである。

●下記★の2点について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスに
おける患者サマリーに、療養計画書での記載事項を入力し、
診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を残している場合は、
療養計画書の作成及び交付をしているものとみなすものとする。

★療養計画書は・・・(略)、
糖尿病の患者については血糖値及びHbA1cの値を、
高血圧症の患者については血圧の値を必ず記載すること。
なお、血液検査結果を療養計画書とは別に手交している場合
又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して
共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、
療養計画書の血液検査項目についての記載を不要とする。

★算定時、療養計画書を交付するものとするが、
当該療養計画書の内容に変更がない場合は、この限りでない。
ただし、患者又はその家族等から求めがあった場合にも交付するものと
するとともに、概ね4月に1回以上は交付するものとする。

●患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと
又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを
当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、
患者から求められた場合に適切に対応すること。

●糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、
年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導を行うこと。
また、糖尿病の患者について、歯周病の診断と治療のため、
歯科受診の推奨を行うこと。

■■■生活習慣病管理料(2) ■■■

検査等を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)を新設する。

別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関
(許可病床数が●●床未満の病院又は診療所に限る。)において、
脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)
に対して、当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に
基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月●回に限り算定する。

【所感】

特定疾患療養管理料の算定対象から「高血圧や脂質異常症、糖尿病」が除外されます。
特定疾患と生活習慣病を明確に分ける改定になります。
この影響は非常に大きいです。

趣旨は、多職種で連携して、しっかり生活習慣を改善してください、というメッセージです。

診療報酬の基本的なスタンスは、医療の質を評価するために設定されています。
その医療の質を実現にするために何が必要か、改めて考える機会になりそうです。

医師の診察と投薬だけでももちろん効果はありますが、
多職種で関わり、生活を計画的に改善していくことが求められます。

指導だけでなく、計画を立て、その実行、そして振り返り、改善、
というPDCAをしていきましょう、というメッセージですね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の2次試験は突破、次は登録。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。