【理論と実践】日本と世界の介護保険制度(介護福祉経営士テキストを通して)

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令和6年4月17日 医療・介護経営の理論と実践 2166号

■日本と世界の介護保険制度(介護福祉経営士テキストを通して)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

先日、嫁のピアスの紛失騒ぎがありました。
その翌日、「何だろう?これは?」と、とても小さなものを見つけました。

なんとピアスでした。
前日のやりとりがなければ気にも留めなかったかもしれません。
気づきとは、お互いの交流によって生じます。
会話が仕事や生活に気付きを与え、問題を解決することがありますので、
普段から会話をすることが大事ですね。

【はじめに】

令和6年度の診療報酬・介護報酬改定対応に奔走されている医療機関が多いことでしょう。
私もその一人です。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じます。

森(全体)を見て、木(個別項目)を見ていく必要があります。

【理由・参考書】

医療介護連携が重要視されていますので、介護福祉経営について大枠を学習しています。

最近は、介護福祉経営士テキスト基礎編1ー1(第2版)
「介護福祉政策概論」を参考書に使っています。

( 最新版は、第3版です。以下のURLが最新版の購入画面です。
https://www.jmpshop.jp/products/detail/2140
「介護福祉経営士テキスト」で検索してください。 )

この学習の目標として、介護福祉経営士2級試験を考えています。
網羅的に学べるのがこういった試験・テキストの良いところです。

今回は、「日本と世界の介護保険制度」について、学習しました。
私自身の理解や補足確認した内容が混ざりますので、
正確な内容を確認したい方は、テキストをご購入ください。

【本日の内容】

1、介護保険制度の基本的な仕組み

・介護保険制度とは?

介護保険制度は、高齢者のための社会保険制度です。
保険制度を実施し、運営する主体を保険者と言います。
保険者である市町村が、介護保険の特別会計を設置し、収入と支出の管理、広報や啓蒙を行います。
資格の管理や、保険料の賦課と徴収などが業務内容です。

医事課にいた頃、市町村が発行している介護保険証を見てもイマイチ理解できていませんでしたが、
ようやく親近感が湧きました。

・被保険者とは?

介護保険料の納付義務があるものであり、保険の現物給付を受けるものです。
介護保険料のうち、第2号被保険者については、社会保険料として支払基金に納付し、
全国プールされる、という扱いです。

介護サービスの給付費の半分は保険料財源でまかなわれ、残りの半分は公費です。
高齢化の進展により、第1号被保険者(保険料の納付者)が増えると、
第2号被保険者グループの負担総額の割合が下がっていく仕組みになっています。

会社員として納付している介護保険料の行き先がわかり、面白いです。

・介護保険の給付(現物給付と現金給付など)

定率1割の自己負担以外は、保険者から介護サービス事業者に支払われます。
これを現物給付と言います。
介護保険3施設への入所や在宅サービス(通所系、訪問型、地域密着型)系が制度化されています。
また、日本では、ドイツのような家族の介護に対する現金給付はありません。

現物給付と現金給付の言葉の違いは時々出てくるので押さえておきたいですね。

・受給者の要件

受給者とは、介護保険制度による介護サービスを利用し、給付を受けるものを言います。
その大前提は、要介護状態、または要支援状態であると認定を受けることです。

第1号被保険者の場合は、理由や原因は不要です。
第2号被保険者の場合は、要介護状態や要支援状態になった理由や原因が必要で、
特定疾病が設定されています。

・他の法律による給付との調整

労災保険、医療保険、老人福祉法、生活保護法、公費負担医療との関係性が教えられています。

例えば、労災であれば労災が優先です。
介護保険と医療保険であれば、介護保険が優先されます。

第三者行為の損害賠償については、
その原因を起こしたもの(第三者)に対する損害賠償の請求権を市町村が持ちます。
不正利得や、受給権の保護についても書かれています。

保険の優先順位については実務でも必要な知識ですね。

2、 日本の介護保険制度

・日本が採用した方式

日本は、社会保険方式を採用しました。
理由は、国民の共同連帯・相互扶助に基づくという考え方が適切と評価されたからですね。
その流れから、介護サービスの利用という「受益」に応じて、原則1割を定率負担としています。

市町村が介護保険の実施運営である保険者となった理由は、
市町村が地域住民にとって最も身近な基礎的な地方自治体であるから、ということが言えます。

また、市町村が主体として介護サービス内容を決定してきた過去を振り返ると、
なかなか利用者のニーズに適切なサービスが選ばれない傾向が見られた、とのことです。
それを踏まえ、利用者とサービス提供事業者の契約に基づく仕組みにしたことで、
サービス供給量が増え、質も向上したといえます。

・専門職による介護支援の仕組みの導入

不適切で過剰なサービス量の解消が目的です。
介護認定審査会で状態区分を認定します。
その際、ケアマネージャーの役割が重要です。

要介護、要支援認定にあたっては、主治医の意見書が必要です。
ここに、かかりつけという観点が含まれている、ということですね。

介護保険におけるケアマネジャーの役割の重要性をあらためて感じますね。

・現物給付の仕組み

1割から2割の自己負担だけでサービスを受けることができる、ということです。

日本は、家族への介護手当を支給しないとしない、としたことによって、
逆に、介護の社会化が進展した、といえます。

・保険とそれ以外のサービスの混合

保険給付と、それ以外のサービスの混合を認めていることも介護保険の特徴と言えるでしょう。
保険診療の場合、混合診療は認められていません。

介護保険において、サービスの混合を認めている理由としては、
介護サービスが医療サービスと比べて理解しやすいため、
混合にしたとしても、被保険者の利益を損なう恐れが少ない、といえる、とのことです。
市町村独自のサービスもある、という点も特徴と感じました。

・予防給付

日本の特徴として、予防給付を保険の対象にしたことによって、
要支援の状態でも受けられるということがあります。
要介護状態になる前に防ぐ、という視点は重要ですよね。

・費用負担や財源構造の特徴

利用者負担(原則1割、または2割)以外の8割から9割分について、
介護保険料と公費で5割ずつ負担する仕組みになっています。
高齢化が進展するに伴い、現役世代層の負担が重くなりつつあったことについて批判があり、
第1号被保険者と第2号被保険者の負担方法について制度変更も行われています。

3、介護保険制度の国際比較

日本と他国の違いについて知ることができるので、面白いです。

要支援の有無、要介護の重度の違い、家族に対する給付の有無、
自己負担の有無、年齢による制限の有無など、いろいろな項目で比較されていました。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。

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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の2次試験は突破、次は登録。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。