【1093】予実管理のハウツー研究(現場のプロから学ぶやさしい経営管理の教科書)

日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。

今日は、

「現場のプロから学ぶやさしい経営管理の教科書」

より、内容を紹介しつつ、学びをシェアします(^_^)

読みやすい本でした。

「 」の部分が引用している内容です。そして、その所感です。

では、どうぞ。

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最適な指標とは?

まず、管理会計とは、から始まります。

「管理会計とは、会社の業績改善や経営コントロールを目的として、
その目的のために最適な指標管理を用いて管理する仕事。
最適な指標とは主に一般的なPL(損益計算書)が使われる。」

「経営層への予実差異報告 主にPL(損益計算書)を中心にまとめてレポートする。」

PLが基本ですね。月次で管理する場合、毎月PLを作成できれば良いですが、
医療機関によっては、毎月作成できていない病院もあるかもしれません。
その場合、まずそこから始めなければいけないですが、
経営状況を俯瞰的に見るデータとしては必須ですね。

次に、予算立てと見込み費用の配分です。

「現場部門から予算を集約し、本社で全社としての予算との乖離を把握。
その乖離を各部門へ配賦して現場にその予算を前提とした戦略を考えさせる。」

「主に予算時の売上比率を使って配分をし、 年間を通して固定していた。
しかしこのやり方は大きな問題がある。
予算時に各部門が極力売上を過少申告するゲームが始まる。」

など、書かれてあります。病院であれば、各診療科、各部門でしょうか。

法人全体として必要、と考える収益額があります。

その全体の予算に対し、各診療科の報告する予算(見込み)はどうか。
どの程度異なるのか。修正可能か。
確認していかなければなりません。

当院であれば、単価や患者数、その他内部・外部環境の状況に応じて
見込みを作成し、その状況を各診療科に確認することで、予算を考えました。

しかし、その数値、実績との誤差が生じますよね。

・・・異なって当然です。

今年は、コロナ禍もあって未来が見えないことに加えて、
患者数の動向も予想しにくいです。

また、会社で言えば、各事業の責任者の心理的なものを考えると、
大きく予想を立てて外れた場合には説明責任が生じます。
であれば、控えめに報告する、ということになってしまいます。

「何度現場から集約してもその見通しに精度はない。
なぜならそこには様々な心理的なプレッシャーが働くから。
説明責任があるのに博打を売って報告はできない。」

と書かれてある通りです。

では、どうするか。答えやすいような仕組みを作ってあげることが必要ですが、
その良い方法が紹介されていました。

「受注プロセス×確度のマトリックス管理

例えば受注でいえば、
実績はA、確度80%以上はB、確度79~60%はC、確度59%~40%はDといった具合。

これを受注プロセスとのマトリックスにしたピボットテーブル表をよく使っていた。
確かに確度付けは人によって主観が入るのでしばらく感覚のすり合わせが必要にはなるが、
ある程度時間が経過すれば、非常に高い精度になり、重点的にモニターしないといけない案件が
わかりやすくなるので、おすすめの管理手法。」

これは、とても面白いと思いました。

経済の状況、患者の状況の予測値を変動させることで、
予想を変えることができる仕組みであれば、資料自体も幅があるデータ解析になるのでは
ないでしょうか。

データ分析

そうして、収益の予算、見込みを算出していく訳ですが、
そもそも各事業、病院で言えば、各診療科で、何を目標とすべきか、ということがとても大事です。

「KGIはビジネスであれば例えば現在のシェア3位から1位を目指すといった目標設定がされる。
そしてそれを達成するためのアクションとして、例えば新規顧客開拓数、新商品投入数、
 お客様満足度が重要であれば、これらをKPIとして設定する。
利益といった最終目標値、つまりKGI(Key goal Indicator)を業績評価にそのまま利用するから
ビジネスの実改善でできないことを 制度の穴をついたやり方で何とか改善させようとする
不毛な発想がでてしまう。」

とありますように、利益は確かに大事ですが、そこだけを目標にしてしまうと、不具合が生じます。
行動に直結しにくい目標を行動レベルにブレイクダウンしていくことで曖昧さが消え、
実効性が伴いますね。

そして、次が、皆さん知りたいことであろう、
「そもそも経営陣が知りたいこととは何か?」ということですね。

これは、データ分析で陥りがちなところを指摘してくれている貴重な内容です。

「経営陣が知りたいたった一つのこととは?
それは予算との実績差異の詳細報告ではない。
直近の事業課題の抽出と対策案の提案です。
 なぜ重要なのか?それは経営陣にとってもっとも重要な仕事であり、
 1人で考えて決断することが難しいことだから。

「最近売上が低迷しているのが課題だ、
それは新製品の売り上げの伸び悩みが大きな要因になっているので、
新製品をもっと売ることが課題だと。

経営者が求めているのはそういう答えではない。
事実の裏にあるストーリーが知りたい、
もう1つ2つWHYで深堀した答えが欲しい。」

「そして経営陣はその仮説を元に打ち手を考えていきたいのだが、
経営陣にとって業績が悪くなった、あるいは予想より下回っている本質的な理由が中々わからない。
だからこそ、ここが経営管理をする人にとって最も付加価値が高い仕事になる。」

表面的な課題の抽出だけでなく、なぜ、そうなってしまっているのか、という
本質的な理由を明確にすること。

データを見ているだけでは無理でしょう。
現場にアタックすることも必要でしょう。
社会情勢を知ることも大事でしょう。

内部、外部の環境分析を行い、適切にフィードバックしていく姿勢が必要ですし、
そして、そこから、考えられる対策を立案するというプロセスが求められている、ということですね。

現場と話し合うのが良いのか、経営層からのトップダウンが良いのか、内容によって異なりますが、
「課題の重要度、緊急度」を明確にし、経営判断の手前まで提言してくれることを望んでいると思われます。

また、その内容が上層部にとって的を得ているのか、見当違いなのかは投げかけてみないと分かりません。
「バカなことを言っていると言われたくない」「失敗したくない」という思考は、
人間が陥りがちなデフォルトですから、「この感情、相変わらず来たな」ぐらいの緩さで
受け入れていったら良いだろうと思います。

では、具体的に、経営管理(コントロール)できることは何でしょうか。

ゴール

それについては、

「経営管理において 重要なポイントは、費用のコントロール。
なぜなら、自助努力でコントロールしやすいから。」

「変動費

売上の増減に応じて連動する費用。
製造会社であれば工場での生産数の増減に連動する費用も該当。

固定費

売上の増減に関係なく発生する費用。」

「重要なのは 「その費用は売上や生産数に比例しますか?」
その基準に照らして考えれば変動費や固定の区分ができる。」

固定費が高い会社というのは、今現在好調だとしても 景気が悪化した時に、
 一気に業績が悪くなるリスクがあることが分かる。」

いったん、ここまで。

費用を考えるにあたって、変動費と固定費に分けること。
そして、固定費は、リスク管理上、めちゃくちゃ重要である、ということが分かります。

では、どう管理するか。

「固定費の管理はとてもシンプルで、多少費目によって異なるが、
総じてその名前の通り、毎月フラットな推移をする。よって過去の実績と見比べて将来の見込みの
絶対値で大きく上振れや下振れしていないかを管理することが重要。

もし上振れしていた場合は一例として大きな設備投資を行う、または人員増加、
賃金ボーナス水準の上方修正等があるか確認してみる。
一方下振れしている場合は、その逆で設備の投資の縮小や売却、人員や賃金ボーナス水準の
下方修正等を確認してみる。仮にそういった事象がないにも関わらず
将来の見込みが過去と大きく乖離していると推測ができる。」

とありますように、そんなに大きく変わるものではない。
大きく変わった時に、なぜかの理由を深掘りすることが大事ですね。

次に変動費の管理についても書かれていました。

「変動費の管理は売上高比率で管理。

固定費と異なり変動費は基本的に売り上げ(または生産数)に比例する。
よって変動費の管理は固定費と見方を変えなくてはいけない。
動費は売上と比例するので常に対売上高に対する比率(%)が正常なレベルで
 推移しているかをポイントに管理する。絶対値の動きの増減にあまり意味はない。
 なぜなら売上や生産高に応じて動くからである。」

比率で見る、ということですね。

絶対額は、あまりあてになりませんので、比率の乱高下があるようであれば、
おかしなことが起きている可能性がありますので、確認しなければいけない、ということで
勉強になります。

どう捉え、どう対策を立てるか。ヒントがたくさん頂けますね。

そして、それらの数値を明らかにしたうえで、どのように説明するか、前提知識が必要か、
紹介し、最後にしたいと思います。

「最終的にPLやBSを共通言語にレポートをすることが多いのでこれらの指標において
どうインパクトがあったのかを 理解する必要がある。
誰から説明を受けた時に理解できる最低限の知識が必要。」

「上位の役職の方、あるいはそういった方へ報告する頻度が高い方は重要なスキルになる。
字を扱う人間がこういったマーケットの情報まで掴めていると非常に深く説得力がある
ビジネス分析をすることができる。」

内部情報だけでは説得力に欠けますね。
外部の情報も必要です。
知識も必要です。
視野を広く、数値を見ることが大事ですね。

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以上です。学びも多く、読みやすい本でした。
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では、また明日(^_^)v

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