【1492】外来が不採算になる理由とニーズへの対応

~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~

中神勇輝です!

1492目。「病院経営の理論と実践塾」より、日々の学びや気づきをお知らせします(^_^)

しばらく医療経営士の試験対策も兼ねて、長英一郎さん作成の医療経営士1級の予想問題集より学びをシェアします。

(以下からどうぞ。)

今日のテーマは「外来が不採算になる理由」について考えてみましょう。

外来といえば、入院に並んで、規模が大きな領域です。

その外来が不採算になってしまう理由は何でしょうか?

大きく4つ考えてみましょう。

1つに、人件費のわりに、入院と比較して1人あたりの診療報酬(単価)が低い、ということがあります。
例えば、薬だけの再診、処置だけの再診などは、診療単価が低くなります。

2つに、大学等から派遣される非常勤医師の日当(給料)が高いですが、診察する患者数が少ない、ということもあります。
ただ、これは、致し方ない面もあります。
検査や治療が多く必要となるのが紹介です。
その紹介があれば、たいてい常勤の医師が診察するでしょう。
よって、非常勤の医師が担当する患者は、経過観察や比較的軽症の方になります。
外来が込み合う中、非常勤の医師がそういった患者を診てくれるので、常勤医師は入院・手術等の治療に集中できます。
そういった観点で考えることも必要ですね。

3つに、外来の検査は出来高で請求できますが、入院の診療行為(手術など)や入院基本料には及びません。

4つに、救急外来は人件費に見合った診療報酬は得られません。
時間外加算等の診療報酬も設定されていますが、一般外来と比べて患者数も少なく、医師や看護師の人件費はより多くかかります。
(時間外手当て等の発生)

外来の特徴は以上です。

入院の特徴や体制については、以下の通りです。

入院は、外来より診療単価が高いです。
DPCなど、包括払いの場合が多いですが、術前の検査や画像は外来で行うことで、入院中の経費の削減が可能です。

入院初期は医療資源が多く必要ですが、容体が安定すれば資源投入量が減り、利益率は自然と高くなります。
入院日数を短縮し、新入院を増やす、といったことも重要です。
これにより診療単価が上がります。

上記のように、外来は、どうしても採算性が低くなります。
ただ、クリニックは利益が出ています。
外来を担う医療機関、入院を担う医療機関、役割が違います。
それぞれが持つ医療機能ごとにどの領域を担うべきか、診療報酬上でも区分されていると感じます。

もちろん救急医療は病院ならではの体制です。やめる訳にはいきません。
救急医療を行う中でも、効率化できることは効率化する、他の病院と連携して医療提供の地域でのダブりをなくすのも一つです。
(三重県松阪市の取り組みは参考になると思います)

地域に必要な医療をどのように提供すべきか、学びになる内容でした。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝と申します。今年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ピアノとドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。
(記載内容は、所属する医療機関の発言でなく個人の意見です)