【理論と実践】「マインドセット」の罠に陥らないために

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令和7年3月16日 医療・介護経営の理論と実践 2499号

■ 「マインドセット」の罠に陥らないために

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

前回に続き、『なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか』について、心に残った内容です。
最後の第5章です!

前回までの記事では、組織における「異論を唱える義務」の重要性と、
その対極にある「集団思考型マインドセット」の問題点、
そして国会事故調という具体的事例を通じて独立性と多様性の価値について考察してきました。

今回の最終章では、私たち一人ひとりがこの「マインドセット」の罠に陥らないために
何ができるのか、その打開策について探っていきます。

■ 「異論」を当たり前にするために必要なもの

「多様性を持ったチームが既存組織から独立した環境で、
「異論を唱える義務」を負いながら活動することがいかに重要なのか、
それがいかにアウトプットの質を高め、同質性の純化による弊害を抑制できるのか」

今後の組織を考える時に、異論を唱えることが当たり前になるためには、
何が必要となるのでしょうか。

その鍵は「一人称で考える」という姿勢にあると思います。
問題を他人事として捉えるのではなく、
自分自身に関係する問題として真摯に向き合うことが、健全な「異論」の土壌となります。

第三者として客観的に眺めるだけでは、本当の問題解決にはなりません。
当事者意識を持ち、「私はどうすべきか」「私たちはどう変わるべきか」
という一人称の視点で考えることが、組織変革の第一歩となります。

■ 同質性の罠から脱却するために

振り返ってみれば、同質的な年次によるヒエラルキー優先の
「集団思考型マインドセット」の組織がいかに前例のない問題への対処が苦手であるか、
さらに問題が生じても責任の所在が明確にならない状況について、
これまで様々な事例を通じて確認してきました。

このような組織風土は一朝一夕には変わりません。
しかし、変化の兆しが全くないわけではありません。

唯一の転換の可能性は、大きな環境変化にあります。
例えば自由化、民営化といった外部の目からも変化が避けられない状況、
あるいは企業においては経営危機に直面した時です。
医療機関であれば、診療報酬の厳格化は、その一つです。

こうした非連続的な変化の際に、組織は生き残りをかけて変革を迫られます。
「これまでとは異なった組織風土、行動様式の導入の必要性が理解される。
このような非連続的な変化の際に、自らが大きく変化しないことには
外部からの信頼性も得られず組織の存在そのものが揺らいでしまう」ということです。

しかし、危機に陥ってから変化するのでは遅すぎる場合もあります。
先見性をもって組織文化を変革していくことが理想的です。
そのためには、次世代のリーダーの役割が重要になってきます。

■若い世代への期待と提言

「問題は、まだ間に合う世代の若い人たちだ。前例踏襲、年次重視から脱し、
次の世代の人たちがリーダーシップをとるべき時が来ているのではないか」

従来の価値観に縛られない若い世代が、新しい組織風土を醸成していくことが期待されています。
しかし、それは簡単なことではありません。
既存の組織文化に対して「異論」を唱えるためには、ある種の覚悟と選択肢が必要です。

「異論を唱えるためには同時に自らキャリアの選択肢を持ち続けることが重要だ。
抵抗が強く、社内指向の権力闘争に埋没する状況下でも、いざとなれば何とでもなる、と
いう覚悟があれば、正しいと思う方向に対して堂々と意見を述べることも可能となる」
ということです。

つまり、「異論」を唱えるためには、経済的・精神的な自立が必要であり、
いざというときには別の道を歩む覚悟が必要だということです。

■プロフェッショナルとしての自立

著者は最後に力強いメッセージを残しています。

「最後は組織を離れ、職能を極めたプロフェッショナルとして社外、
海外で活躍の道を求めればよい。外海は広いのだ。」

これは単に組織から逃げることを勧めているわけではありません。
むしろ、自分の価値は特定の組織に依存するものではなく、
自分自身の専門性とスキルにあるという確信を持つことの重要性を説いています。

そのような自信があれば、組織内でも堂々と「異論」を唱えることができますし、
仮に組織との相性が合わなくなったとしても、
別の場所で自分の能力を発揮する道が開けているという安心感を持つことができます。

■私たちにできること

「異論を唱える義務」の重要性と「集団思考型マインドセット」の危険性について考えてきました。
最後に、私たち一人ひとりにできることをまとめてみましょう。

一人称で考える:問題を他人事ではなく、自分自身の問題として捉える
多様性を尊重する:異なる経験や視点を持つ人々の意見に耳を傾ける
ファクトベースで議論する:個人の価値観ではなく、事実に基づいて議論する
自己成長を続ける:特定の組織に依存しない、プロフェッショナルとしての能力を磨く
選択肢を持つ:いざというときの代替案を常に考えておく

これらの姿勢を持ち続けることで、私たちは「マインドセット」の罠に陥ることなく、
健全な組織文化の構築に貢献することができるでしょう。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

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