【1002】地域包括ケアシステムを支える場の設定と教育制度の仕組み

日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。

火曜日です。月曜日は、無事、乗り切れましたでしょうか。
場所によっては、大雪になる場所もあります。無事に過ぎ去れば良いですが・・・。

大雪

どちらにしても、昨日より少しでも成長する日々を送りたいですね。

昨日に続き、「地域包括ケアシステム構築のためのマネジメント戦略」という
筒井孝子さんの本を読みましたので、紹介します。

読み応えのある本です。

どの医療機関も、「地域包括ケアシステムの構築」という言葉を
無視することはできないぐらい聞き慣れた言葉です。
実際、地域を無視して、事業を考えたり、進めたりすることは、難しいですし、
あり得ないのではないでしょうか。

昨日の内容から見てみたい、という方は、こちらからどうぞ(^_^)

https://wakuwaku-kokoro.net/2021/02/post-2069/

心に残ったのは、以下の内容でした。

(引用が、100%正確でない点、紹介内容が網羅的でない点は、ご容赦ください)

1、認知症の早期診断、認知症高齢者の増加

1)認知症の早期診断のメリットについて

・現状への正しい理解
・生活が困難である疑問の解消
・心理的、社会的、教育的支援の介入が利用できる
・薬理学的治療が利用可能
・保険、社会サービスが、認知症の人のニーズに合わせて介入の仕方を調整することができる
・認知症の人、そしてその介護者や家族全体の落ち込みや心配を和らげることができる
・認知症の人たちとその介護者や家族に対して、実用的、精神的支援を行える
・前もってケアプランを立て、そのケアプランについての話し合いを始めることができる
・家族やその人の関係者の中で、積極的な認知症の人への適応ができる

これを見て思ったことは、早期に関わることで「状況がだいぶ変わる」ということですね。

もちろん、症状の程度は異なりますので、すべて、この通りとは思いませんが、
症状に対する認識を共有できれば、それだけ関わり方も、関わる人も対応を変えることが
できますので、早期診断、早期治療開始が大事なのは、
広く言えば、経営課題に取り組むときと同じですね。

2)認知症疾患を主症状とする入院患者の病床別割合の年次推移について

平成11から平成23年までの変化で、総数で見ると2万3000人増えていました。
高齢化が進むにつれて、認知症の人が増えていますね。

その中で、認知症ケアパスという概念が紹介されていたことが印象に残りました。

地域包括支援センターには、認知症初期集中支援チームがあり、地域ケア会議等を行います。
ケアマネージャーに引き継ぎ、かかりつけ医との関係性、家族、本人に対しての自宅等への訪問、
開業医の受診から急性増悪時の対応、居宅サービスや地域密着型サービスなどを活用する。
認知症の進行に合わせて、いつ、どこで、どのような医療、介護サービスを行えばよいのかを提示する。

実際、家族が認知症になったとき、どうすれば良いのか。

当事者は悩みますよね。
私も、離れて暮らしている大好きな祖母が認知症になってしまい、
兄と名前を間違えられる、など、離れて暮らしていることもあって、
なおさら分からなくなってしまっているようでした。
今では、コロナ禍もあって、会いにすらいけないので、非常にさみしい状況です。

妄想を伴う独居の軽度の認知症高齢者のためのケアの方法、
生活のあり方から具体的な費用とその方法を提示し、その対応について標準化するなど、
様々な経験値を蓄積するというプロセスを経てケアの標準化を進めていくこともできる、
と書かれてあります。

それぞれ個別に対応している暗黙知のような状態から、
パス、標準化など共通で使えるような形式知に変えていくことは、
どの業界でも求められていることですね。

ベイビーステップ

2、地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントの再検討、自助の推進

1)日本の地域包括ケアシステムにおける生活支援サービスについて

日本の地域包括ケアシステムにおける生活支援サービスとは、
すでに、ヨーロッパ諸国では、セミフォーマルな家族ケア(友人及び家族の介護者と
国家のあいだで行われる)と呼ばれるような新しいケアの種類として扱われつある。

とのことです。

世界各地で、似たような問題が起きているのだな、とあらためて思います。
それぞれの国で、なんとか対応しようとしている訳ですから、
お互いの状況、方法を共有し、研究し、より適切な形を模索するのは、極めて重要ですね。

閉鎖的な医療業界ではありますが、だいぶオープンになってきて、良い傾向ではないでしょうか。

本論に戻ります。

在宅生活を維持するためには多様な介護サービスをコーディネートして適切に提供されるように
マネジメントしなければならない。
このマネジメントをもっぱら行うことを業務として専門職を英国等では、
ケースマネージャーと呼んでいるが、日本のケアマネジャーとの大きな違いは、
彼らがマネジメントするサービスには医療サービスが必ず包含されるということである。

とあります。これも国による違いですね。

マネジメントする項目に、医療サービスが当然含まれる、とありますから、
相応の知識を持ち、相応の関係性を持って、取り組んでいる、ということと想像します。

似たような言葉であっても、役割が違う、ということを認識しておかないと
とんでもない間違いをしてしまいそうで要注意ですし、
広く世界に視野を向ければ、自分たちだけでは思いつかない解決策が見つかるかもしれません。
世界や、他業界を知ることはとても大事です。

そういう国ごとの違いもありますが、
日本で、病院や診療所においてケースマネジメントサービスを一般化していくためには、
公立、私立病院や診療所、大学病院等が実施する在宅支援の方がケアマネジャーが
行うよりは効率的である、ということも書かれています。

現状、医療機関と介護の現場とのギャップ、壁を、介護側から乗り越えていくのは、
非常に厳しいものがあるのでしょう。

2)自助の推進

自助、これも聞いたことがある人が多いと思います。

地域包括ケアシステムを、どのように位置づけ、どのように推進するのかの検討が乏しい状況にある。

また、高齢者自身が人生の最後に向けて、できるだけ健康を保持しながら自立した生活を送る、
という人生設計に対して、提供主体である「自助」のあり方やその方法についても議論が
なされてこなかった。

自助」という潜在的な力の向上を目指す方策、
当事者自身が担い手となることを支援する方がケアが必要な人の尊厳を守り、
自立を促進するためには効果的な結果をもたらす可能性がある。

とあります。

国や市町村が、どこまで手を出すのか。
どこに焦点をあてるかで、だいぶ変わりますよね。

その焦点の行き先が、「自助」になることによって、
どのような施策が必要となるか、地域の支えが必要になるか、家族の関わり方なども変わります。

介護保険の目的は、自立支援とも聞きます。

自立し、地域や自宅で生活できる環境と、利用者の心身の両面を長期スパンで考えていかなければ、
達成できない。しかし、達成しなければいけない道ですね。

3、ケアマネジメントサイクルとケアマネジャー

一言でまとめると、こんな感じだと思います。

「ケアマネジャーのケアマネジメントをサポートする体制が求められている」

地域差はあるのかもしれませんが、一般的な状況は、以下のように理解しました。

1)システム、場の設定

利用者本人では、必要なサービス等の給付管理が困難となり、
その代行を依頼してきた高齢者に対してサービス申請の代行(水平的統合に至る場合)が
相当困難な場合が想定される。

サービス担当者会議は、多職種によるサービス調整を行うことを目的として位置づけられており、
ケアマネジャーの業務としては位置づけられていない。

保健者や国のあり方も不十分。

2)教育、標準化

ケアマネージャーという職種のあり方、研修カリキュラムの見直し、ケアプランの標準化など、
多角的な視点で議論を進めることが必要。

重症度や医療の必要性が高い利用者が増える中で介護支援専門員が身に付けておくべき知識として、
認知症、リハビリテーション、看護、福祉用具の工夫等について必修科目とする。

増加が見込まれる認知症高齢者の支援や利用者の自立支援に資するケアマネジメント力。

かいつまんだ形になりましたが、要介護高齢者が増えていく中で、
ここに書かれてあるような「高齢者に適切なケアマネジメントを提供できる」
介護支援専門員に出会えるかというと、難しいことも多いでしょう。

そのような環境を作ってこなかったのも理由だと書かれていますし、
とはいえ、上記のような教育をしたとしても、前回書いたように、医療機関との「壁」を
解消しない限り、情報共有はできないでしょうから、
場の設定と知識の充実の両方が必要ですね。

ケアマネジャー達をサポートできるマネジメント機能を整理する、システム化することで、
個人のスキルだけに頼らずに、標準化のスピードが早くなるでしょう。

4、介護技術の評価、マネジメントの階層、まとめ

1)介護技術の標準化とキャリア段位制度

・これまでの資格制度で不足していた「実際にその現場で何ができるのか」
という部分を補うため、「わかる」、「できる」の両面を評価することを目的とし、
特に「できる」という実践的スキルに重きを置いた制度。

介護技術の評価を行うことで、日々の業務の中で、介護技術が評価されることにより、
 具体的に「できていた」技術と「できていなかった」技術が客観的に把握できたという事例が
多く示された。

とあります。医療経営士のテキスト「医療品質経営」の内容に重なります。

関連が深そうな記事は以下の通りです。

https://wakuwaku-kokoro.net/2021/01/medical-management-6-2/

良いも悪いも、それぞれの方法に任せていたら、成長はありません。

ある程度のひな形があるからこそ、評価ができます。
そのひな形が間違っていれば、修正すれば良いだけです。

まずは、たたき台がなければ、意見も言えないように、
客観的にみることができる仕組みを作ることは極めて大事ですね。

2)マネジメントの階層

・セルフマネジメント対応

今後は、より患者自身の自律性を要求するセルフマネジメントが必要になってくる。

しかも、高齢者が増えることから、
短期間に、サービスの利用者に必要される専門職のスキルを統合させ、
情報を共有するプラットフォームが必要になるでしょう。

・ケースマネジメント

地域包括ケアシステムにおけるサービス内容を検討するにあたって、
個別性に突っ込まなければ解決できない状態の利用者がどれくらい、いるのか
(専門性、個別性が高いサービスがどのくらい必要なのか)
ということを明確にする必要がある。

とあります。

人口動態で判断できるのか、要介護度で判断できるのか、それ以外の要素から抽出するのか、
その需要に応じて社会資源を考えなければいけませんので、
公的機関殻の情報収集、情報共有は必須ですね。

今後、採用されるであろう在宅での生活支援を強化するモデルとして、
訪問看護、24時間定期巡回随時対応サービスなどの存在意義は大きくなるでしょうし、
また、地域包括ケアシステムの原初的なモデルとして、
佐久総合病院、公立みつぎ病院が紹介されていました。

細かい活動も機会があれば、見てみたいですね。

3)まとめ

本人の状況をケアマネジャーがコーディネートし、在宅、または施設でサービスを提供する。

チーム会議、多職種連携でスクリーニングを行い、セルフマネジメントなのか、
システムでマネジメントするのか、ケースマネジメントで対応していくのか、
そのあたりを総合的にバックアップし、統合していく形が求められる。

とあります。地域連携は、多種機関、多職種の垣根を崩す
人との交流、場の設定、システムによる共有によって成りますね。

では、また明日(^-^)v

今後ともよろしくお願いいたします!

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