【1272】地域包括ケアシステム構築とエトセトラ

~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~

ナカガミです。今日は、この5冊の本の紹介です。過去ブログで紹介した内容の引用です。

「(起業)早朝、深夜、週末の生産的な過ごし方は?」、
「(YouTube)具体的にやってみるときのポイントや注意点は?」、
「(テレワーク)実施にあたり、課題は何か。何を変えれば、実施できるか。」、
「病院におけるテレワークの実践と課題は何か?」、
「地域包括ケアシステム構築の課題は?」

といった悩み・疑問解決を目的として読んだ本です。

起業、動画配信、テレワーク、地域包括ケアシステムについて学べる内容でした。
ご紹介した情報の一つでも皆様の参考になれば幸いです。

◆藤井 孝一さんの「 【新装】週末起業 虎の巻 会社を辞めずにできる起業の練習帳」

・目標、狙い

早朝、深夜、週末の生産的な過ごし方は?

・個人的!要約

「好き」、「できる」、「時流に乗っている」、この3つが重なる部分で専門家を目指す。
もしくは、「好き」の部分を先に考えて、やることを決めてみる。

・心に残った内容、感想など

1、やってみよう。

「時間が取れない」、「お金がない」、「副業が禁止されている」、など、それらは言い訳。
もちろん、勤務時間中や、居眠りなどの支障が起きる、競合になる、会社の秘密をばらす、
会社の知的財産を利用する等は、厳禁。

そもそも、週末起業は楽しいもの。趣味みたいなものと思って取り組めば良い。
やって楽しいと思えることをやろう。

2、開始するときのポイント。

ポイントは3つ。

会社を辞めずにやること、
お金をかけずに始めること、
自分の大好きなことをすること。

これらを実践することで、仕切り直しが可能になるし、
ワクワクして寝たり休んだりする方がもったいない、と思える。

大事なのは、自分の考えや知識で、他者の問題を解決できる、
という喜びである。

決心して始める。決断力が大事。
まずは始めてみよう。始めてみれば、市場からの情報や刺激で次々とアイデアが出てくる。

3、何の専門になるかを考える。

ポイントは、2つ。「誰に」、「何を」、この2つを掛け合わせること。

・誰に、

男女、大人・子供、居住地、初級・中級・上級、独身・既婚、所得、子の有・無など、という視点。

・何を、

モノ、ネットワーク・場、知識・ノウハウ、スキル・技術という視点。

この2つの視点をを掛け合わせることで、ターゲットが絞られ、アイデアも広がっていく。
そして、「好き」、「できる」、「時流に乗っている」、この3つが重なる部分で専門家を目指す。

4、具体的に決めることと、行動すること。

ネーミングや値段付け、ロゴ、標準化(定価、価格の算出方法、営業時間など)、
収益性や市場性の見定め、インフラの整備など、いろいろ考える必要はあるが、
結局は、「行動したかどうか」である。

・ベイビーステップ

最終的には、決断力と行動力。
まずは、「誰に」、「何を」の2つを掛け合わせて、何の専門家になるかを決めてみよう。

◆イケダハヤトさんの「YouTubeでメシを食う方法。」

・目標、狙い

具体的にやってみるときのポイントや注意点は?

・個人的!要約

あれこれと広げず、明確なテーマを一つ設定し、めげずに取り組む。

・心に残った内容、感想など

1、続ければ勝てる。辞めなければ勝てる。

YouTubeリターンが欲しければリスクを取りに行く。
痛い目で見られることもあれば、無駄になることもある。
アンチは必ずある、と思おう。

2、動画撮影アプリ

オススメは、
有料なら、videoleap、
無料なら、VLLO。

まずは、無料版から始めてみるのもOK!

3、YouTubeでNGな行動

相互登録を呼びかける。
他人のコメント欄にリンクを貼る。
雑記なチャンネル運営。
(これは有名人でないと無理)
ニッチすぎる。
更新頻度が少ない。
(せめて週1回はアップする。週1回なら、金曜の夜が良い。土日に見られやすいと思われる。
とはいえ、最初は毎日あげるのが良い。)

4、舞台設計

背景を、テーマに合わせて作り込む。
YouTubeは舞台。
人前に出るプロと自覚し、テンションを上げていこう。

5、市場調査とテーマと対象設定と中身の構成

特化しよう!と考えている分野について、
他人の動画、その分野のチャンネルの数や中身、内容を調査してみよう。

明確なテーマがない人は、SNSでは稼げない。

書店に並んでいる本は、コンテンツのヒントになる。
なぜなら、ニーズがあり、お金になると思われて書かれ、出版されているから。

対象は、初心者の方が層が厚い。
初心者向けの内容は、ニーズが多い。

内容の書き方として、「結論から本論、本論から結論」の流れが分かりやすい。
話しやすくなるし、受け取ってもらいやすいし、作るときの生産性も高くなる。

まずは、チャンネル登録者1000人を目指してみよう。
これでトップ15%に入れる。
減私奉公の気持ち。
ユーザーの期待に応えよう。

・ベイビーステップ

少なくも、1週間に1回、動画を作ろう。

◆「いますぐ!超実践テレワーク」

・目標、狙い

実施にあたり、課題は何か。
何を変えれば、実施できるか。

・個人的!要約

情報を発信すること、受けた側は反応すること。
ポイントは、クイックレスポンス。
コミュニケーションを意識的に活発にすること。
仕事ぶりよりも、成果に目を向けること。

・心に残った内容、感想など

1、テレワークの目的

事業を継続させること。
コストダウンと効率化。
働き方改革の実現。
人材の確保、育成。

思ったこと:移動のコストは確実に減る。その時間をどれだけ有効に使うか考えたいですね。

2、リモートワークの注意点

ハードディスクにデータを保存しない。
VPNシステムを構築し、社内とつなげる。
リモートデスクトップ方式、BYOD(Bring Your Own Device)での対応を試みる。
その他、クラウドサービス、通信インフラの整備、電話・遠隔会議システムの対応など。
どちらにしても、セキュリティが超重要。

思ったこと:情報漏洩は、シャレにならない。

3、整備すべき点

制度、ルール
ネット環境
機器
セキュリティ
勤怠管理
業務管理
会議セミナー
資料の共有

できることを、できる人から、始めてみよう。

思ったこと:「とりあえずやってみる」精神は大事ですよね。

4、全員で作業できるオンラインツール

Figma、scrapbox、miro、Slack、Zoom、LINEworks、など。

思ったこと:細かいことは、各アプリの専門書、書籍を参考にしてみたい。

5、リモートワークにおいて大事なこと

マインドセットすべきは、
自ら発信しない限り、誰も自分の状況に気づいてくれない、ということ。
リモートワークでは、徹底的に情報を開示をしよう。
自己紹介、情報を見自分も仕事をオープンにする。
チェックすべきは仕事ぶりではなく、結果である。
自分で仕事のスイッチを入れる。

思ったこと:スイッチの入れ方として、個人的には、
ポモドーロ(Focus to do)のアプリで、波や川の音を入れるのはよかった。

6、環境整備

L字型デスク、モニターの大きさ、ヘッドセット、チェアなどは、こだわっていきたい。

思ったこと:L字型デスクのようなものを準備したい!

・ベイビーステップ

Slack、Googleスプレッドシートなど、自分の課での導入検討。

◆「医事業務 2020.7.15/31」

・目標、狙い

病院におけるテレワークの実践と課題は何か?

・個人的!要約

テレワークは、多様な人材が能力発揮できる。
オンラインでの活動は、採用、定着のツールになり得る。

・心に残った内容、感想など

1)society5.0

サイバー空間やフィジカル空間の融合が進む中で、どのように体制を構築していくか。
医療機関は、患者と接して医療を提供することがメインであるため、
あまり関係ないことのように思ってしまいます。

しかし、全く関係ないのか、というと、できることはいっぱいありますよね。
その「気付き」のためにも、他院で行っている事例の情報収集はもちろん、
他業界のやり方にアンテナを高くしていかなければいけない、と思います。

実際、全員が現場業務、という訳ではありません。

時間や空間の制限なく働くことができる環境ができれば、
子育てや介護と仕事の両立ができます(つまり、仕事を辞めずに続けることができます)。

それは、多様な人材が能力を発揮できる機会を作る、ということになりますから、
お互いにとって良い環境を作ることになりますよね。

2)テレワークの形態、導入プロセス

テレワークの形態には、雇用型として、大きく3つあります。

在宅、
外でのモバイルワーク、
サテライトオフィス。

どの形態で導入するにしても、導入にはプロセスが必要ですよね。

ということで、7つの工程が紹介されていました。

(1)まずは検討。導入目的や基本方針を決定する。
(2)推進体制の構築。
(3)現状把握。
テレワークで可能な業務は何か、
対策を立てれば可能になる業務は何か、
実施困難な業務は何か、
この3つを明確にすることで、現実的なのか、そうでないのか、見えてきますね。
(4)具体的に推進する。
(5)試行する。
(6)その効果を測定する。
(7)本格導入する。

3)方向性、課題とメリット

今後、時間で働く雇用でなく、
ジョブ型雇用(各自の職務を明確にする)が進む可能性がありますね。

また、導入の課題として、
目が届かず長時間勤務になってしまうのではないか、
逆に、サボっているのでは、と心配になったり、
人事評価をどうするか、
人と関わることが無くなってしまうので、メンタルを壊す人がいないか、ということがあります。

上記のように、課題もありますが、メリットも大きいと思います。

テレワークがあるから就職しよう、ということで、職員の雇用や定着が見込めますね。
実際、働き方に幅がある方が応募しやすいです。

次に、労働基準法関連。

制度を整えるのは、大事ですよね。
本格的に導入しようとすれば、現実的な課題がいろいろ出てくると思います。

中抜け、移動時間の扱い、フレックス勤務、時間外の扱いなど、
就業規則に定めるなど、チェックする体制作りの構築。

とはいえ、リスクを恐れて何もしなければ何も変わらないので、
できることからやっていきたいですね。

4)オンライン化

コロナ禍ということで、直接的なテレワークでなくても、オンラインで取り組めることが多数あります。

(1)会議をオンライン化することで、自分のデスク、医局で参加することで、三密を避ける。

(2)遠方の人とオンラインで面接をすることができる。

(3)オンライン研修を行う。

Zoomというのは、広く知られてきました。
全てをオフライン(リアル)で行わない、という選択肢もありますよね。

例えば実際の体験は、オフライン。
それ以降の研修は、オンライン。
実技は、YouTubeで動画撮影し、視聴させるといったところも考えられます。

(4)オンライン医療相談も、紹介されていました。

顔を合わせて、受診するのが良いか相談する、ということは、患者からすると安心です。

上記、いろいろな取り組みがありますが、これらの実行には、
ハード面の整備や、マンパワーの課題もありますので、「できることから」というところでしょうか。

5)その他(広報と企画)

テレワークではないですが、「広報を、武器として使えるのは、企画部門」という記事が
心に残りました。

その理由は、下記の3つの「C」が必要だから。

クリエイト:作る
コネクト:つなげる
コミュニケート:伝える

広報に限らず、企画部門にいながら、上記の3つの取り組みができていなければ、
「何のための企画か?」と反省しなければいけない、と感じましたね。

・ベイビーステップ

日々の仕事をする中で、テレワークで「できること」、「できないこと」の仕分けをする。

◆地域包括ケアシステム構築のためのマネジメント戦略(筒井孝子さん)

読み応えのある本でした。今日と明日は、この話題で進めますね。

どの医療機関も、「地域包括ケアシステムの構築」という言葉を無視することはできないぐらい
聞き慣れた言葉です。

実際、地域を無視して、事業を考えたり、進めたりすることは、難しいですし、
あり得ないのではないでしょうか。

それでは、中身に入っていきますね。

心に残ったのは、以下の内容でした。(すべてを網羅的に紹介したり、コメントできていない点は、ご容赦ください)

ポイント

1、地域包括支援センターとケアマネジャーの役割

地域包括支援センターの役割が極めて大事、ということですね。

地域の住民、利用者、患者が抱えている課題は個人差があります。
ケアマネジャーは、その利用者の代行として、どのサービスを受けるのが良いのか、準備をする役割の方です。

その準備の際に問題になるのが、実際にサービスを提供する医療機関や施設との関係性。

そのケアマネジャーが、病院の先生、看護師、その他スタッフ、クリニックの先生など、
医療機関の人たちと連携する際に、やはりハードルが高い。

同じ院内の人でさえ、相手がどんな状況か明確には分かりませんし、
分かったとしても、仕事をお願いするにしても、躊躇したりします。

私は事務系です。医師や看護師が考えていること、コメディカル部門が考えていること、
また、その知識量、こだわり、部署の状況はもちろん違いますし、どうしたって価値観もズレます。

その中、第三者の立場で、利用者の代わりに、
医療、介護、福祉など、網羅的に知識を把握し、情報を共有できるケアマネジャーがどれだけいるでしょうか。
その人に合った社会資源の活用をすることが、そんな簡単にはいかないのが現実ではないでしょうか。

病院側の立場から考えると、退院困難な症例があるのは、現状では、致し方ない面が多分にあると感じます。

2、「Integrated Care(インテグレイテッドケア)」の理論とその応用

Integration(統合)の段階(強度)について、
「連携」と「協調」と「完全な統合」があると書かれています。

ざっくり理解を申し上げますと、

「連携」とは、必要に応じて情報を得られるような状態

「協調」とは、調整においてそれぞれの立場に応じてその責任を持って実施できる状態

「完全な統合」とは、利用者に必要なオーダーメイド的にサービスを作ることができる状態

ですね。

連携だけでも、相当、素晴らしいと思います。

この患者の病気は?
退院先の候補の空き状況は?
どの程度の医療の必要度、どの程度のADLまで受けられる?
家族との関係性は?
キーパーソンは?

色々と知りたい情報があります。

そんな中、情報を共有できるだけでだいぶ、調整の進め方も変わりますし、うまくいきやすくなります。

そして、協調、完全な統合と、単なる情報を共有しているだけでなく、
自発的に動ける、しかも個別性にフィットできる動きができるとしたら、
利用者にとっては、たいへん有り難いですよね。

ただ、どこまでの統合が必要か、というと、
すべての利用者が、「完全な統合」を必要としているかというと、そうではありません。

状況によって必要とされる統合の形は変わる、ということも認識しなければなりません。

3、垂直的統合、水平的統合とその難しさ

垂直的統合とは、急性期や回復期、生活維持のケアを同一機関で行うこと。

そして、水平的統合とは、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所などがケアのために連携すること。

「Integrated Care」を構成するステークホルダーは
ケアマネジャー、保健所、利用者、コミュニティー、評価者、主任介護支援専門員、政策立案者、サービス提供者と幅広くあります。

これだけの関係者がいる中で、先述のような「統合」を図る道のりは、たいへん厳しいものです。

専門職による質の向上は、単発で見れば、利用者への支援の質を高める要素になります。

しかし、質の高いサービスを受けることができるというメリットがある反面、
それらが独立したものになり、タコツボ状態になればなるほど、
診断、薬剤の投与、内服、治療など、多様なサービスを受けるために、より多くの専門職のあいだを行き来しなければならない、
というデメリットも生じてきます。

自らの疾病の治療にあたってどのような医療サービスが適切であるかを判断する能力は多くの日本国民には備わっていません。
そのような教育は受けていませんし、学ぶ機会もありません。

ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護サービスを計画を作成するにあたって
「それぞれが提供するサービス担当者間の臨床的な統合を図らなければならない」
という役割を自覚をしていたかどうかは不明である、とあります。

極めてレベルの高い役割だと思います。

これを個人レベル、1施設レベルで行うことはハードルが高いですよね。

ここで、地域包括支援センターのことも紹介されており、
当センターの本来の目的は、「医療や公衆衛生と介護のインテグレーションの推進」とあります。
それぞれの関係機関に点在している、ケアマネジャーをマネジメントする役割も課せられているように感じます。

4、利用者の個別性とデータ化の難しさ

ケアマネジャーが第一に注目すべきは、
決められた財源の中で利用者のニーズに最も適切な対処法が提案できるかどうか、
ということが書かれています。

利用者ごとに個別性がある中で、どのような施策を行うのが良いのか、非常に難しいです。

通常の事業所で行われるサービスに加え、医療を含めたサービスを必要としている要介護高齢者は、
レベルでいうと、「完全な統合」レベル(十分なヘルスサービスの統合が必要)になります。

ただし、このレベルのサービスを必要とする利用者(患者)に対して、
入院時から退院、退院して地域に戻る時までの、医療・看護・介護サービスのすべてを
インテグレーションするマネジメント能力は、これまでのケアマネージャーには期待されてこなかった、
とも書かれてありました。

そのような資格要件も、研修等も行われてこなかったことも要因のように思います。
(今後は、そういった能力も求められる、ということでしょう)

また、このレベルのインテグレーション(統合)レベルは非常に高度であり、
「多様なニーズを持つ、比較的小規模の人数が対象となる」と書かれてあり、
全員が全員、ここまでのレベルを求められる訳ではない、ということですよね。

これは、大事なポイントだと思います。

その利用者の状況に応じて、担当する方々へ限りあるパワーを意図的に偏らせて、
資源を投資をするバランス感覚も必要であり、これは、他のことに共通することですね。

データに関することも書かれていました。

2021年の介護報酬の改定でも、データ化が話題になっていますね。

・「Integrated Care」をヘルスケアシステムに取り組むためには、
そのパフォーマンスを計測する方法が必要ですが、
そのためには、目指すべきアウトカムが整理されていなければ、計測すべき数値も分かりません。

・保険者の評価について、客観的に把握することが重要であるが、エビデンスが十分に示されてきませんでした。

・サービス提供に係る情報システムの整備について、日本で最も地域包括ケアシステムの
構築が推進されている自治体の地域包括支援センターでは、職員が当該自治体の住民の医療、
介護及び健康データベースにアクセスできるところもあるようです。

・戦略マネジメントとは、地域自治体のビジョンやミッションを提示し、
これに沿った形で政策目標のプライオリティ付け、目標数字の設定を行うことです。

(ビジョンとは、自らの組織や部門の目指す将来像であり、

・地域包括支援センターのビジョン

1)人づくり
2)地域づくり体制作り
3)施策との連携

とのことです。

全てを網羅的にしょうご紹介はできませんので、私のアンテナに引っ掛かったものだけですが、
病院の立場からすると、介護の関係者ともっと情報を共有したいと思いますし、
介護の方の立場からしても、医療機関とコミュニケーションを取りたいと思っていることは
間違いないです。

お互いにニーズが合致している部分はありますから、
それらを満たすことができる場の設定、システムなどを考え、実現化していけると良いです。

6、認知症の早期診断、認知症高齢者の増加

1)認知症の早期診断のメリットについて

・現状への正しい理解
・生活が困難である疑問の解消
・心理的、社会的、教育的支援の介入が利用できる
・薬理学的治療が利用可能
・保険、社会サービスが、認知症の人のニーズに合わせて介入の仕方を調整することができる
・認知症の人、そしてその介護者や家族全体の落ち込みや心配を和らげることができる
・認知症の人たちとその介護者や家族に対して、実用的、精神的支援を行える
・前もってケアプランを立て、そのケアプランについての話し合いを始めることができる
・家族やその人の関係者の中で、積極的な認知症の人への適応ができる

これを見て思ったことは、早期に関わることで「状況がだいぶ変わる」ということですね。

もちろん、症状の程度は異なりますので、すべて、この通りとは思いませんが、
症状に対する認識を共有できれば、それだけ関わり方も、関わる人も対応を変えることが
できますので、早期診断、早期治療開始が大事なのは、
広く言えば、経営課題に取り組むときと同じですね。

2)認知症疾患を主症状とする入院患者の病床別割合の年次推移について
平成11から平成23年までの変化で、総数で見ると2万3000人増えていました。
高齢化が進むにつれて、認知症の人が増えていますね。

その中で、認知症ケアパスという概念が紹介されていたことが印象に残りました。

地域包括支援センターには、認知症初期集中支援チームがあり、地域ケア会議等を行います。
ケアマネージャーに引き継ぎ、かかりつけ医との関係性、家族、本人に対しての自宅等への訪問、
開業医の受診から急性増悪時の対応、居宅サービスや地域密着型サービスなどを活用する。
認知症の進行に合わせて、いつ、どこで、どのような医療、介護サービスを行えばよいのかを提示する。

実際、家族が認知症になったとき、どうすれば良いのか。

当事者は悩みますよね。
私も、離れて暮らしている大好きな祖母が認知症になってしまい、
兄と名前を間違えられる、など、離れて暮らしていることもあって、
なおさら分からなくなってしまっているようでした。
今では、コロナ禍もあって、会いにすらいけないので、非常にさみしい状況です。

妄想を伴う独居の軽度の認知症高齢者のためのケアの方法、
生活のあり方から具体的な費用とその方法を提示し、その対応について標準化するなど、
様々な経験値を蓄積するというプロセスを経てケアの標準化を進めていくこともできる、
と書かれてあります。

それぞれ個別に対応している暗黙知のような状態から、
パス、標準化など共通で使えるような形式知に変えていくことは、
どの業界でも求められていることですね。

7、地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントの再検討、自助の推進

1)日本の地域包括ケアシステムにおける生活支援サービスについて

日本の地域包括ケアシステムにおける生活支援サービスとは、
すでに、ヨーロッパ諸国では、セミフォーマルな家族ケア(友人及び家族の介護者と
国家のあいだで行われる)と呼ばれるような新しいケアの種類として扱われつある。

とのことです。

世界各地で、似たような問題が起きているのだな、とあらためて思います。
それぞれの国で、なんとか対応しようとしている訳ですから、
お互いの状況、方法を共有し、研究し、より適切な形を模索するのは、極めて重要ですね。

閉鎖的な医療業界ではありますが、だいぶオープンになってきて、良い傾向ではないでしょうか。

本論に戻ります。

在宅生活を維持するためには多様な介護サービスをコーディネートして適切に提供されるように
マネジメントしなければならない。
このマネジメントをもっぱら行うことを業務として専門職を英国等では、
ケースマネージャーと呼んでいるが、日本のケアマネジャーとの大きな違いは、
彼らがマネジメントするサービスには医療サービスが必ず包含されるということである。

とあります。これも国による違いですね。

マネジメントする項目に、医療サービスが当然含まれる、とありますから、
相応の知識を持ち、相応の関係性を持って、取り組んでいる、ということと想像します。

似たような言葉であっても、役割が違う、ということを認識しておかないと
とんでもない間違いをしてしまいそうで要注意ですし、
広く世界に視野を向ければ、自分たちだけでは思いつかない解決策が見つかるかもしれません。
世界や、他業界を知ることはとても大事です。

そういう国ごとの違いもありますが、
日本で、病院や診療所においてケースマネジメントサービスを一般化していくためには、
公立、私立病院や診療所、大学病院等が実施する在宅支援の方がケアマネジャーが
行うよりは効率的である、ということも書かれています。

現状、医療機関と介護の現場とのギャップ、壁を、介護側から乗り越えていくのは、
非常に厳しいものがあるのでしょう。

2)自助の推進

自助、これも聞いたことがある人が多いと思います。
地域包括ケアシステムを、どのように位置づけ、どのように推進するのかの検討が乏しい状況にある。

また、高齢者自身が人生の最後に向けて、できるだけ健康を保持しながら自立した生活を送る、
という人生設計に対して、提供主体である「自助」のあり方やその方法についても議論が
なされてこなかった。

「自助」という潜在的な力の向上を目指す方策、
当事者自身が担い手となることを支援する方がケアが必要な人の尊厳を守り、
自立を促進するためには効果的な結果をもたらす可能性がある。

とあります。

国や市町村が、どこまで手を出すのか。
どこに焦点をあてるかで、だいぶ変わりますよね。

その焦点の行き先が、「自助」になることによって、
どのような施策が必要となるか、地域の支えが必要になるか、家族の関わり方なども変わります。

介護保険の目的は、自立支援とも聞きます。

自立し、地域や自宅で生活できる環境と、利用者の心身の両面を長期スパンで考えていかなければ、
達成できない。しかし、達成しなければいけない道ですね。

8、ケアマネジメントサイクルとケアマネジャー

一言でまとめると、こんな感じだと思います。

「ケアマネジャーのケアマネジメントをサポートする体制が求められている」

地域差はあるのかもしれませんが、一般的な状況は、以下のように理解しました。

1)システム、場の設定

利用者本人では、必要なサービス等の給付管理が困難となり、
その代行を依頼してきた高齢者に対してサービス申請の代行(水平的統合に至る場合)が
相当困難な場合が想定される。

サービス担当者会議は、多職種によるサービス調整を行うことを目的として位置づけられており、
ケアマネジャーの業務としては位置づけられていない。

保健者や国のあり方も不十分。

2)教育、標準化

ケアマネージャーという職種のあり方、研修カリキュラムの見直し、ケアプランの標準化など、
多角的な視点で議論を進めることが必要。

重症度や医療の必要性が高い利用者が増える中で介護支援専門員が身に付けておくべき知識として、
認知症、リハビリテーション、看護、福祉用具の工夫等について必修科目とする。

増加が見込まれる認知症高齢者の支援や利用者の自立支援に資するケアマネジメント力。

かいつまんだ形になりましたが、要介護高齢者が増えていく中で、
ここに書かれてあるような「高齢者に適切なケアマネジメントを提供できる」
介護支援専門員に出会えるかというと、難しいことも多いでしょう。

そのような環境を作ってこなかったのも理由だと書かれていますし、
とはいえ、上記のような教育をしたとしても、前回書いたように、医療機関との「壁」を
解消しない限り、情報共有はできないでしょうから、
場の設定と知識の充実の両方が必要ですね。

ケアマネジャー達をサポートできるマネジメント機能を整理する、システム化することで、
個人のスキルだけに頼らずに、標準化のスピードが早くなるでしょう。

9、介護技術の評価、マネジメントの階層、まとめ

1)介護技術の標準化とキャリア段位制度

・これまでの資格制度で不足していた「実際にその現場で何ができるのか」
という部分を補うため、「わかる」、「できる」の両面を評価することを目的とし、
特に「できる」という実践的スキルに重きを置いた制度。

介護技術の評価を行うことで、日々の業務の中で、介護技術が評価されることにより、
具体的に「できていた」技術と「できていなかった」技術が客観的に把握できたという事例が
多く示された。

とあります。医療経営士のテキスト「医療品質経営」の内容に重なります。

関連が深そうな記事は以下の通りです。

良いも悪いも、それぞれの方法に任せていたら、成長はありません。

ある程度のひな形があるからこそ、評価ができます。
そのひな形が間違っていれば、修正すれば良いだけです。

まずは、たたき台がなければ、意見も言えないように、
客観的にみることができる仕組みを作ることは極めて大事ですね。

2)マネジメントの階層

・セルフマネジメント対応

今後は、より患者自身の自律性を要求するセルフマネジメントが必要になってくる。

しかも、高齢者が増えることから、
短期間に、サービスの利用者に必要される専門職のスキルを統合させ、
情報を共有するプラットフォームが必要になるでしょう。

・ケースマネジメント

地域包括ケアシステムにおけるサービス内容を検討するにあたって、
個別性に突っ込まなければ解決できない状態の利用者がどれくらい、いるのか
(専門性、個別性が高いサービスがどのくらい必要なのか)、
ということを明確にする必要がある。

とあります。

人口動態で判断できるのか、要介護度で判断できるのか、それ以外の要素から抽出するのか、
その需要に応じて社会資源を考えなければいけませんので、
公的機関殻の情報収集、情報共有は必須ですね。

今後、採用されるであろう在宅での生活支援を強化するモデルとして、
訪問看護、24時間定期巡回随時対応サービスなどの存在意義は大きくなるでしょうし、
また、地域包括ケアシステムの原初的なモデルとして、
佐久総合病院、公立みつぎ病院が紹介されていました。

細かい活動も機会があれば、見てみたいですね。

3)まとめ

本人の状況をケアマネジャーがコーディネートし、在宅、または施設でサービスを提供する。

チーム会議、多職種連携でスクリーニングを行い、セルフマネジメントなのか、
システムでマネジメントするのか、ケースマネジメントで対応していくのか、
そのあたりを総合的にバックアップし、統合していく形が求められる。

とあります。地域連携は、多種機関、多職種の垣根を崩す
人との交流、場の設定、システムによる共有によって成りますね。

以上です。では、また明日(^-^)v

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
◇過去の内容、記事はこちらから是非(^-^)