【理論と実践】SDGs、医療機関ではどんな取り組みがあるの?

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令和5年1月29日 病院経営の理論と実践 1722号

■SDGs、医療機関ではどんな取り組みがあるの?

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

〜最近のブログのテーマ〜

・平日は、中小企業診断士関係
・土日は、医療・介護経営関係

今日は日曜日ですので、医療・介護関係です。

〜今日のテーマ〜

「SDGsの取り組み推進に向け、医療経営士が持つべき視点とは?」

「月刊医療経営士」(2023年2月号)の特集の学びや気付きをシェアします。

とても良い学びになりました。詳しく知りたい方は本紙をご覧ください。

SDGsは17個の目標があり、「誰一人取り残さない」ことを原則としています。

関連して、ソーシャルインクルージョンという考え方について紹介がありました。
生活困窮者や障害者・1人親家庭などが社会から孤立したり、排除されるという問題が先進国で起きています。
「誰一人取り残さない」というキャッチフレーズは、ここが起因である、とのことです。

医療機関は、地域のニーズに対し、適切なサービスを提供していくことが求められます。

17の目標のうち、他の医療機関や介護関係者にとって関連が深い、
取り組みが進んでいることについて知る良い機会となりました。

【目標ごとの活動と取り組み事例】

1)貧困をなくそう
2)飢餓をゼロに
3)すべての人に健康と福祉を
4)質の高い教育をみんなに
5)ジェンダー平等を実現しよう
6)安全な水とトイレを世界中に
7)エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
8)働きがいも経済成長も
9)産業と技術革新の基盤を作ろう
10)人や国の不平等をなくそう
11)住み続けられるまちづくりを
12)つくる責任、つかう責任
13)気候変動に具体的な対策を
14)海の豊かさを守ろう
15)陸の豊かさも守ろう
16)平和と公正をすべての人に
17)パートナーシップで目標を達成しよう

上記が17個の目標です。これらについての学びを箇条書きにしました。

「3)すべての人に健康と福祉を」

地域の方を身体的、精神的だけでなく、社会的に健康状態にすること、
職員が健康に働ける環境を整備することが求められること。

そもそもの多くの医療機関の取り組みの大前提であることを踏まえつつ、
ヘルスリテラシーの向上(病気になる前からの働きかけ)として、多職種での動画による情報発信。

「4)質の高い教育をみんなに」

医療経営士の資格を用いながら勉強できる環境作り。

「5)ジェンダー平等を実現しよう」

医療介護分野は、女性が多い職場であることを踏まえた施策が求められる。

制服のパンツスタイル導入、
男性への被服費の支給、
女性管理職の登用について中期計画への盛り込み。

リモートでの研修や地域ケア会議の実施、
情報共有のため、チャットツールの活用、
ファックスで届いた文章全てを自動で電子化などのICT化。

「8)働きがいも経済成長も」

ディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事の実現。

「17)パートナーシップで目標を達成しよう」

医療機関には、地域の1拠点として活動する役割がある。
発信を続けることで、自分の法人に関わるステークホルダーに周知し、理解・協力を得られる。
住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるためにできることは何か?
まちづくりに参加する、地域とのつながりを育むことが求められる。

一つの組織だけで取り組めば良いのではない。
病院や施設、地域住民、行政や企業、各種団体と手を取り合うことが大事。
積極的に情報を発信し、多様なプレイヤーとの繋がりを作ることが求められる。

医療連携のみならず、地元産業と一緒になって、地域経済を盛り上げる取り組み。
例えば、農業団体との話し合い、地元産の米の給食使用。
近くの大学との「院内で稼働させるロボット」などの共同開発。
低農薬農業を行なっている生産者との協力体制、仕入れなど、各種生産者とのネットワークの拡大。
イオンモール高岡でのイオンモールウォーキング。
ユニクロとの共同の活動。

【SDGsの推進と浸透】

・職員・個人の意識

内部環境を整えることが重要であり、取り組みを継続することにつながる。
職員の意識・行動が最も大事。

SDGsについて、医療機関・介護施設の職員にとって、
既に行なっているいう認識もあれば事実もある中、「今更感」を感じる職員もある。
そこに、この活動を推進していく難しさがある。

個人の活動の事例として、
地元の地域活動に参加したり、専門職のケア会議や勉強会に参加して、
相互理解につなげていく、ということもある。

・意識と継続性

職員を巻き込んでいくという観点から、
トップダウンだけでは、 SDGsの「継続性」という点からかけ離れてしまう可能性もある。
そうさせないためのポイントが3つ紹介されていました。

1)職員一人一人が、SDGsの理解を深め、目的を考えること。
2)組織の方向性を示すリーダーシップが不可欠であること。
(それを支える総合戦略課や企画室などの推進が必要であること。)
3)計画の進捗の開示と説明責任を果たすこと。

強力なリーダーシップという事例として、
新小山市民病院の「オンリーワンホスピタル」という経営指針について紹介があった。
当初、理事長が何を言っているのか、理解されなかったが、
事業計画に明確に盛り込み、発信を繰り返し、職員との対話を続けていく中で、
院内では行動指針になっていった、とのこと。

・はじめの一歩

特別な取り組みが必要なく、自分の組織の活動や中期計画の中で、
SDGsの17の目標に合致するものチェックし、それに沿って事業を行えば良い。

そして、ゆくゆくは、17の目標に自分の病院の事業をあてはめるだけではなく、
自分たちだけで作り上げていく目標を立てることも重要。

・経済的観点からの継続性

医療機関は、診療報酬という公定価格の中で活動をしているため、
経営的にあまり余裕がある、と言えない。
その中、どのようにコストを負担していくのか?

「誰一人取り残さない」の実現にあたり、
実施主体の本来の事業を中心として実行することが重要であり、
特別に資金を出すという取り組みだけでは、継続が難しく、持続可能、と言えない。

単なるボランティア活動に終わらせず、採算が取れるようにしていくこと。
メリットや効果がなければ、サステナブルではない。

24時間365日稼働、使い捨て資材を使い、ヒト・モノ・カネを大量に消費する医療機関において、
人命救助だから良い、というだけでは立ち行かなくなる。
サステナブルという視点で取り組むことが重要である。

・PDCAを回す組織・場の設定

病院は、労働集約型のビジネスであり、人材をいかに有効活用できるのが重要。
その職員のモチベーションを高めるようなツールになれば良い。
この活動によって、自分の病院の理念や基本方針、医療を提供する目的や使命に立ち返る、
それらを実践する旗振り役が必要。

理事長を中心とした取り組みから、有志の職員が集まり意見を出し合う場への変化。

医療機関、直接的な収入に影響があるかどうかを実行の判断基準にする傾向がある。
これからの時代、それだけでは厳しい。
とはいえ、実際に進めるとなると難しいことも多い。
そこで大事なのは、PD CAサイクルを回すこと。
自分たちが立てた目標を実行したか、効果はどうか、見直しを行うこと。

・方向性

未来志向であること、
地球規模であること、
誰一人取り残さない、の3つのキーワードで考える。

人材採用や経営評価の面からも、環境社会に配慮した活動を行っていくことが重要。
未来志向からの逆算で、世界規模の取り組みに参加していくこと。

例えば、集中的なリハビリを必要とする患者や、在宅復帰が困難な患者が増えた中、
回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟の役割が求められる。

誰一人取り残さない、という意識を持つことも求められる。
顔色が悪い、元気がない、そんな職員に声をかけ、声を拾っていく。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
名は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験予定。
(可能なら中小企業診断士も受験する予定。)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書