【理論と実践】輸出企業と輸入企業(デリバティブ)

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令和5年9月21日 病院経営の理論と実践 1957号

■輸出企業と輸入企業(デリバティブ)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

中小企業診断士二次試験に向けて、学びをシェアしています。

今回は、事例4に関連して「デリバティブ」です。

為替予約やオプションの利用が問題になります。

ドルや円の価値は変動します。
そのリスクを回避するためにできる方法は何でしょうか?

為替予約オプションプレミアムの購入です。

これは、取引によって生じる売上や支払いの履行時期(将来時点)の、

・販売によって得られたドルを売る金額(輸出企業)
・支払い用のドルを買う金額(輸入企業)

を固定させることです。

大きく2種類のパターンがあります。

・日本国内の輸出業者
・日本国内の輸入業者

立場によって、結果が逆になりますので、しっかり理解しておきたい項目ですね。

まず輸出業者の立場で考えてみましょう。

【ドル建ての輸出の場合】

D社は、商品を売ります。
202X年1月から202X年6月までの間の売り上げは1,000ドルとします。
1月のドルの基準価値は、100円とします。

6月に精算する(手に入れた外貨を「売る」)とします。

この時に、円安(120円)だと、どうなるでしょうか?
1ドル100円が、1ドル120円になり、20円の差益です。
1,000ドルの売り上げですので、掛け算すると、120,000円が手に入ります。
20,000円の差益が生じます。

車の輸出業者は、円安の時に儲かる理由です。

逆に、円高(80円)だと、どうなるでしょうか?
1ドル100円が、1ドル80円になり、20円の差損です。
1,000ドルの売り上げですので、掛け算すると、80,000円しかもらえません。
20,000円の差損が生じます。

この差損リスクを避けるための為替予約であり、オプション購入です。

まず為替予約です。

決済時期と、その時の為替レート契約対象額面を決めます。

将来の動きを想定して、1ドル100円で契約したとします。
円安(120円)の場合、
為替予約をしてしまったばかりに、120,000円でなく、
100,000円しかもらえなくなります。
為替差益を享受できなくなります。

逆に、円高(80円)の場合、
為替予約をしたおかげで、80,000円でなく、100,000円もらえますので、
損をせずに済みます。

以上が為替予約です。

次は、オプションです。

為替予約と異なり、決めたレートを実行するかどうかは、
その履行時期に選ぶことができます。

先ほどの例で言えば、円安の場合(120円)は、
プションの権利(仮に100円)を実行せずに、その時の為替レートでドルを売れば良いです。

円高の場合(80円)は、オプションの権利を実行し、
1ドル100円でドルを売れば良いです。

と聞くと、為替予約という固定されたものより、
オプションを選択すれば良いと思いますが、そんなうまい話はありません。

このオプションは権利を購入する必要がありますので、
オプションを実行しようがしまいが、手出しが発生する点が為替予約と異なります。

上記を踏まえて、輸出業者の対応を一覧にします。

・ドル売りの為替予約

円安になった場合:為替を確定してしまうので、為替差益を享受できない。
円高になった場合:為替を確定できるので、為替差損を回避できる。

・ドルのプットオプション

円安になった場合:権利放棄で、為替差益を享受できるが、オプションプレミアムのコストが発生する。
円高になった場合:権利行使で、為替差損を回避できるが、オプションプレミアムのコストが発生する。

ポイントは、輸出企業にとって、円安が有利であること、ですね。

【ドル建ての輸入】

次は、逆の立場で考えましょう。

D社は、商品を買います。
202X年1月から202X年6月までの間の支払いは1,000ドルとします。
1月のドルの基準価値は、100円とします。

6月に精算(支払い)する(外貨を「購入」し、支払う)とします。

この時に、円安(120円)だと、どうなるでしょうか?
1ドル100円で買えたはずが、1ドル120円を出さないと交換できなくなり、20円の差損です。
1,000ドルの支払いですので、掛け算すると、120,000円の手出しです。
20,000円の差損が生じます。

逆に、円高(80円)だと、どうなるでしょうか?
1ドル100円が、1ドル80円になり、20円の差益です。
1,000ドル支払いますので、掛け算すると、80,000円の支払いで済みます。
20,000円の差益が生じます。

まず為替予約です。

円高だと、ガソリンなどが安くなるのは、仕入れ原価が安くなるからですね。

繰り返しになりますが、
この変動リスクを避けるための為替予約であり、オプション購入です。

為替予約の場合、仮に円安(120円)になったとしても、
固定(100円)にしておけば、100,000円の支払いで済むのでお得です。(為替差損の回避)

逆に円高(80円)になると、80,000円で支払えば良いはずが、
100,000円払わなければならなくなり、為替差益を享受できないデメリットがあります。

為替予約で固定するデメリットを解消するためのもう一つの方法がオプションの購入です。
デメリットはオプションの購入費用です。

上記を踏まえて、輸入業者の対応を一覧にします。

・ドル買いの為替予約

円安になった場合:為替を確定しているので、為替差損を回避できる
円高になった場合:為替を確定してしまうので、為替差益を享受できない

・ドルのコールオプション

円安になった場合:権利行使で、為替差損を回避できるが、オプションプレミアムのコストが発生する。
円高になった場合:権利放棄で、為替差益を享受できるが、オプションプレミアムのコストが発生する。

上記、押さえておきたい内容です。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属にする医療経営士2級。
は、中神勇輝。2023年、医療経営士1級を受験。結果待ち。
(2023年、中小企業診断士の1次試験は無事通過。次は2次試験)
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。