【理論と実践】救急医療管理加算の見直し(令和6年度診療報酬改定)

~病院職員が、安心して、仕事の生産性高く、充実して働ける未来の一助へ~

ご友人等へのメルマガ紹介はこちらから。
https://www.mag2.com/m/0001682907

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
令和6年2月20日 病院経営の理論と実践 2109号

■救急医療管理加算の見直し(令和6年度診療報酬改定)

中神勇輝(なかがみゆうき)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おはようございます。中神です。

【はじめに】

2月14日に、診療報酬改定の答申の発表がありました。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じます。

これらを踏まえて、個別改定項目を見ていく必要があります。

【本日の項目】

今回は、救急医療管理加算の見直しについて、確認してみたいと思います。

■基本的な考え方・具体的な内容

第1 基本的な考え方

救急医療管理加算について、入院時に重症であり緊急に入院を必要とする
患者に対する入院医療を評価する趣旨を踏まえ、要件及び評価を見直す。

第2 具体的な内容

1.救急医療管理加算について、
「経過観察が必要であるため入院させる場合」など算定の対象とならない場合を明確化する。

2.救急医療管理加算2を算定する場合のうち、
「その他の重症な状態」の割合が5割を超える保険医療機関について、評価を見直す。

3.救急医療管理加算を算定する患者の状態について詳細を把握する観点から
患者の状態の分類について見直すとともに、
診療報酬明細書の摘要欄の記載事項の定義を明確化する。

■改定案

・救急医療管理加算1の対象となる患者

「基本診療料の施設基準等別表七の三」(以下この項で「別表」という。)に
掲げる状態のうち一から十二までのいずれかの状態にあって、
医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいい、
単なる経過観察で入院させる場合や、その後の重症化リスクが高いために入院させる場合等、
入院時点で重症患者ではない患者は含まれない。

・救急医療管理加算2の対象となる患者

別表の一から十ニまでに準ずる状態又は十三の状態(以下、加算1に同じですね)

・救急医療管理加算の注1ただし書に規定する厚生労働大臣が定める施設基準

当該保険医療機関において、直近6か月間で、救急医療管理加算2を算定した患者のうち、
「基本診療料の施設基準等」の別表第七の三の十三「その他の重症な状態」
患者の割合が5割以上であること。

上記の厚生労働大臣が定める施設基準に該当する保険医療機関においては、
本文の規定にかかわらず、入院した日から起算して7日を限度として、210 点を所定点数に加算する。

・別表第七の三 救急医療管理加算に係る状態

(令和6年)

1 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態
2 意識障害又は昏睡
3 呼吸不全で重篤な状態
4 心不全で重篤な状態
5 急性薬物中毒
6 ショック
7 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
8 広範囲熱傷、顔面熱傷又は気道熱傷
9 外傷、破傷風等で重篤な状態
10 緊急手術、緊急カテーテル治療・検査又は t-PA 療法を必要とする状態
11 消化器疾患で緊急処置を必要とする重篤な状態
12 蘇生術を必要とする重篤な状態
13 その他の重症な状態

前回の「ウ」が分離して、「3」と「4」になりました。

(令和4年)

ア 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態
イ 意識障害又は昏睡
ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態
エ 急性薬物中毒
オ ショック
カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
キ 広範囲熱傷、顔面熱傷又は気道熱傷
ク 外傷、破傷風等で重篤な状態
ケ 緊急手術、緊急カテーテル治療・検査又は t-PA 療法を必要とする状態
コ 消化器疾患で緊急処置を必要とする重篤な状態
サ 蘇生術を必要とする重篤な状態
シ その他の重症な状態

【所感】

より精緻に状況を把握できるように、
「ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態」が分離しました。

また、救急医療入院と判断した根拠・定義の明確化など、
より細やかな請求が必要になってきますね。

そして、何より影響が大きいのは、
「その他の重症な状態」の割合が、50%以上の場合は、

救急医療管理加算1 1,050点
救急医療管理加算2 420点

上記点数が、210点になる、という厳しい改定です。

多くの症例を「その他」で請求していた場合は、請求対象を見直さざるを得なくなります。
救急医療係数にも影響しますので、適切に対応していく必要がありますね。

以上です。では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇病院経営の見える化について公開講座(動画)の講師をする機会を頂きました。感謝(^_^)
https://hcmi-s.net/weblesson-hcm/jmp_consult_01/  (講座)
https://healthcare-mgt.com/article/iryo/jmp_consulting01/  (紹介)

◇過去の内容、記事はこちらから是非(^-^)
https://wakuwaku-kokoro.net/

◇試験勉強や本の学びをアウトプットしているYouTubeチャンネルは、こちらです(^-^)
https://youtube.com/channel/UC_PiglYG9qTBjlJ3jt3161A

この記事を書いたのは、こんな人。
ーーーーーーーーーーーーーーー
中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の2次試験は突破、次は登録。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。