【理論と実践】地域包括医療病棟入院料の施設基準(1回目)(令和6年度診療報酬改定)

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令和6年3月2日 病院経営の理論と実践 2120号

■地域包括医療病棟入院料の施設基準(1回目)(令和6年度診療報酬改定)

中神勇輝(なかがみゆうき)
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おはようございます。中神です。

【はじめに】

2月14日に、診療報酬改定の答申の発表がありました。

・急性期の厳格化と高齢者救急医療の受け入れ態勢の整備
・基本診療に対する賃上げ分の上乗せ
・負担軽減や連携を促進する取り組み・DX化の評価
・感染対策の労力を補填する加算
・生活や食事を支え、改善するための多職種の協働、地域との連携

を推進するために、新規点数の設定、既存点数の是正が加わったと感じます。

これらを踏まえて、個別改定項目を見ていく必要があります。

【本日の項目】

今回は「地域包括医療病棟入院料」、スーパー地ケアと言われる新設の点数について、
現行の地域包括ケア病棟との違いについて、施設基準の視点から確認してみたいと思います。

(1)病院の一般病棟を単位として行うものであること。

→地域包括ケア病棟は、病床単位でも申請できましたが、当該点数は病棟単位です。

(2)当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、
常時、当該病棟の入院患者の数が10又はその端数を増すごとに1以上であること。
ただし、当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に
相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、
本文の規定にかかわらず、2以上であることとする。

→夜勤スタッフはしっかり確保しましょう、ということですね。
さらに、夜勤体制の充実に加算がつく点は大きな違いですね。

(3)当該病棟において、看護職員の最小必要数の7割以上が看護師であること。

→たいてい問題ないでしょう。

(4)当該病棟に常勤の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が2名以上配置されていること。

→常勤が2名ということで、より手厚い配置が求められます。

(5)当該病棟に専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること。

→専任ですので、厳しい制約にはなりにくいですが、期待されている狙いが垣間見える要件です。

(6)入院早期からのリハビリテーションを行うにつき必要な構造設備を有していること。

→構造設備ということですが、これだけだと部屋なのか、廊下幅なのか、
具体的な内容は分かりませんが、おそらく問題にはならないだろうと想定しています。

(7)当該病棟に入院中の患者に対して、ADL 等の維持、向上及び栄養管理等に資する
必要な体制が整備されていること。

→セラピストや管理栄養士の配置を踏まえて、どのような体制が求められるのか、
もう少し情報が必要ですね。

(8)次のいずれかに該当すること。

イ 当該病棟において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰに係る評価票を用いて測定し、
  その結果、別表1の基準を満たす患者の割合が別表2のとおりであること。
ロ 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、
  当該病棟において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱに係る評価票を用いて測定し、
  その結果、別表1の基準を満たす患者の割合が別表2のとおりであること。

・別表1

基準①:当該病棟に入院している患者について、下記のいずれかに該当すること。
A得点が2点以上かつB得点が3点以上
A得点が3点以上
C得点が1点以上

基準②:新たに入棟した患者について、下記に該当すること。
入棟初日のB得点が3点以上

・別表2
       イの場合   ロの場合
基準①の割合 1割6分以上 1割5以上
基準②の割合 5割以上   5割以上

→どの病棟から転換するのか次第で、可否が分かれます。
自院の転換の可能性がある病棟の看護必要度の現状把握が必要ですね。

(9)当該病棟の入院患者の平均在院日数が21日以内であること。

→元々が急性期であれば概ね問題ない基準ですが、
地域包括ケア病棟の場合で、長めの入院が多い場合は、難しいこともあり得る基準です。

(10)当該病棟において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が8割以上であること。

→地域包括ケア病棟の基準が72.5%ですので、さらに厳しい要件です。
高齢者救急を受け入れて、ADLの維持回復等を踏まえ、自宅に戻すことが求められていますね。

(11)当該病棟において、入院患者に占める、当該保険医療機関の一般病棟から転棟したものの割合が5分未満であること。

→5分とあるので、5%です。退院患者数が100人とすると、
自院の急性期からの受け入れは、5人未満、ということですので、相当厳しい基準ですね。
地域包括ケア病棟とは全く異なる機能(ポストアキュートは認めない)ということを感じます。

以上、長くなるので、本日はここまでにします。

では、また明日(^-^)v

(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)

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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
2023年、医療経営士1級に合格!
2023年、中小企業診断士の1次試験の2次試験は突破、次は登録。
趣味は、ドラムと家庭菜園と筋トレ(HIIT最高!)と読書。