【理論と実践】「経営指標」と「KPI」〜何のために、誰に、何を見せるのか〜
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令和8年7月10日 医療・介護経営の理論と実践 2977号
■「経営指標」と「KPI」〜何のために、誰に、何を見せるのか〜
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おはようございます。中神です。
病院の経営管理に携わっていると、日々たくさんの数値に触れます。
患者数、病床稼働率、診療単価、残業時間。数字はいくらでも出てきます。
ただ、最近あらためて感じるのは、
数値を集めること自体が目的化してはいけないということです。
「何のために使うのか」「誰に報告するのか」
この枠組みをはっきりさせないと、
せっかくのレポートも”数字の羅列”で終わってしまいます。
今日は、「網羅的な経営指標」と「KPI」の違いについて、
整理してみたいと思います。
■網羅的な経営指標 〜全体を「満遍なく」見るためのもの〜
まず一つ目は、網羅的な経営指標のレポートです。
これは、全部署の状況を可視化し、押さえておきたい数値を一覧化したもの。
ポイントは「満遍なく」です。
・全部署をカバーする
・過去との比較がメイン
・抜け漏れなく、定点観測する
いわば、病院全体の健康診断のようなものです。
「先月と比べてどうか」「前年同月と比べてどうか」。
過去との比較を通じて、
異常値や変化の兆しを早期に発見する。
それがこのレポートの役割です。
ここでは、特定の指標を深掘りすることよりも、
全体をくまなく見渡せることに価値があります。
■KPI 〜経営改善の「取り組み」を映す数値〜
一方、KPIは性格がまったく違います。
KPIとは、経営改善に資する取り組みを表す数値です。
比較の対象は、過去ではなく目標です。
「今年度は、これに重点的に取り組む」という意思表示であり、
その行動変容が数値にどう反映されるかを、
月次の経営指標のレポートで追いかける、と言えます。
網羅的な指標が「健康診断」なら、KPIは治療計画の経過観察です。
「今年度はここを変える」と決めたテーマに対して、
実際に現場の行動が変わったのか。
その変化が数値に表れているのか。
目標との差分を毎月確認しながら、取り組みの手応えを測っていく。
つまりKPIは、数値そのものではなく、
その裏にある行動を見るためのものなのです。
■大事なのは「何にスポットを当てるか」
この二つを混ぜてしまうと、レポートは機能しなくなります。
網羅的な指標に「目標達成度」を求めると、全部署に無理な目標が乱立します。
逆に、KPIを何十個も並べると、「重点的に取り組む」という意味が失われ、
ただの指標一覧に逆戻りしてしまいます。
だからこそ、何にスポットを当てるか、が大事です。
全体を満遍なく見るレポートは、満遍なく。
重点テーマを追うKPIは、絞り込んで。
この使い分けができて初めて、「何のために使うのか」「誰に報告するのか」
という問いに、明確に答えられるレポートになると思います。
■おわりに
数値管理の仕組みづくりは、地味な仕事です。
でも、枠組みが曖昧なまま数字を集め続けるのと、
目的を定めて数字を見るのとでは、組織の動きがまるで変わってきます。
「この数字は、健康診断なのか。それとも治療の経過観察なのか」
そんな問いを持ちながら、レポートの設計を続けていきたいと思います。
以上です。では、また明日(^-^)v
(当該内容は、私の所属する組織とは一切関係はなく、全ての文責は私個人に属します。)
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この記事を書いたのは、こんな人。
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中神勇輝(なかがみゆうき)。地方の中小病院に勤務する医事課畑出身の企画部門所属。
中小企業診断士、医療経営士1級。
趣味は、マラソン、ドラム、家庭菜園、筋トレ(HIIT)、読書。

