【1051】データ分析の目的と集め方、見せ方(月刊保険診療202103)
日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。
火曜日ですね。3月もまもなく終わりますね。皆様は、いかがお過ごしでしょうか。
今回、紹介するのは、
雑誌「保険診療2021年3月号」
です。(読書通算981日目)
今回の特集は、
「使えるDATA分析・活用術」
ですね。非常に興味深いです。早速、見ていきましょう!
【院内改革・経営改善のためのDATA活用術】
・育てる
いつまでもデータ作成を自分でしていると、後継が育たない。(管理者の立場から)
・見せる
事務職員は直接収益を上げることができない。
医療者は行動を起こしてはじめて、改善につながる。
その行動が改善につながるか、データの見せ方、提供の仕方を心がける。
アウトプットの工夫として、毎月の経営会議に提出する指標は、
集計の結果だけでなく目標との差異やポイントのベンチマークを付与する。
数字の意味、評価を示すこと。
視せる化とは、意識させること。何が課題なのかを把握させるためのもの。
見える化とは、理解してもらうために必要なもの。
データを扱う際に大事なのは、それで、そのデータを使って何を言いたいのか、
言いたいことをを明確にする。
・聞く、集める
意図や活用目的が伝わっているかどうか。欲しいデータをもらえるかどうかは、聞き方が大事。
DPCデータなどのアウトプットだけでなく、業者等から個人的に情報収集を行うなど、自分で集める情報の方が精度が高い。
情報は誰が集めるのか、どこまで収集するのか。
その役割は、企画室であり、診療情報管理室など。
収集方法は、各病院、各電子カルテなどのシステムによる違いもある。
目的に応じたデータの精度で良い。全体像が見たいのであれば80%で充分。
にもかかわらず99%の精度がないので出せないと言われてしまっては元も子もない。
大事なのは目的や方向性を明確に持っていく。
どんなデータが必要なのかを伝えるコミュニケーションも大事です。
デジタルな情報収集も大事だが、アナログ方式での情報収集も大事である。
・・・・・・・・・
分析する人は、同じ組織に多くは必要ないかもしれません。
しかし、同じ人がずっと分析を為ているようでは、後進が育ちませんので、
ある程度の年齢がいったところで、後継を探す必要はあるでしょうね。
そういう自覚を持って分析業務をしなければいけないと自戒の思いを持ちました。
また、見せるときの心構え、集めるときの意識について、良い学びができました。
何のためのアウトプットか。目的が明確であるか。
目的に応じたデータのインプットや、アウトプットができているかを振り返ることが大事ですね。
そして、アナログな情報収集が大事ということも・・・。
定量の情報も大事ですが、感情なども含めた定性情報はかなり大事です。
このバランスを取ることがポイントでしょう!
【医療機関が活用できる全データ一覧】
この内容は、ボリュームが半端ないです。色々なデータがあるのだな、と改めて思いました。
一部紹介します。全項目ではありません。そして、多少の誤字脱字があるかもしれません。
これらについてのワンポイントの説明がまた良かったですね。
これだけだと分かりづらいと思いますし、本誌では一覧表形式で式なども掲載されているなど、
保存版として有効だろう、と思いました。また、活用方法など詳しくは本誌をご覧下さい。
・人口世帯
国税調査、人口胴体調査、将来推計人口世帯数、住民基本台帳による人口世帯数
・保健衛生
医療施設動態調査、医療施設静態調査、病院報告、病院機能報告、外来機能報告、医師・歯科医師薬剤師統計、
患者調査、受療行動調査、病院経営管理指標、地域保健医療計画、保険医療機関・保険薬局の指定一覧
・社会保険関係
社会医療診療行為別統計、医療経済実態調査、DPC導入の影響評価に関する調査、特定健康診査特定保健指導の実施状況、
NDBオープンデータ、レセプト情報特定健診等情報データベース(NDB)、診療報酬改定の結果検証に係る特別調査、SCR)
・公開データ(関連学会・非営利法人等)
病院運営実態分析調査、診療情報集積基盤、外保連試案、NCD、病院経営調査報告、
地域医療情報システム、二次医療圏データベース、地域の医療提供体制の現況、病院情報局、医療介護情報局
・マスターその他
郵便番号、二次医療圏対応表、二次医療圏郵便番号データ、電子点数表
レセプト電算処理システムマスター、ICD10対応標準病名マスター、薬価基準収載品目リスト
(院内データ)
・診療実績
入院診療単価、外来診療単価、平均在院日数、平均通院回数、病床利用率、
病床稼働率(年度目標達成のための現状モニタリング)、病床回転数、新入院患者数、手術件数
・地域連携要素
紹介率、逆紹介率、在宅復帰率または在宅復帰病床機能連携率、地域連携支援病院認可
・人的構成要素
職員平均年齢、医師平均年齢、平均勤続年数、離職率
・収益性指標
医業収支比率、医業利益率、経常利益率、総資産営業利益率、人件費率(年ごとに統計を取る、急性期は相対的に低い)、
材料費比率、経費比率、委託費比率(人件費的な要素が多い、人件費と併せて確認する)
・生産性指標
職員一人あたり医業収益、各部門別一人あたり営業収益、投薬薬品使用効率、患者1人1日あたり医薬品費、
患者1人1日あたり診療材料費、患者1人1日あたり給食材料費、入院外来収益対医薬品、患者1人1日あたり平均診療費
・安定性指標
自己資本比率(できれば10%以上、下限は5%)、流動比率、負債比率、固定比率、固定長期適合率、借入比率
・成長性指標
医業収益増加率、付加価値率増加率
・回転率指標
総資本回転率、自己資本回転率、固定資産回転率、流動資産回転率、未収金回転率、棚卸資産回転率、
買掛金回転率、医薬品回転率
・DPCデータから集計できる指標
洋式1、様式4、EF、H、様式3
・・・・・・・・・
これだけの情報が公開、または院内にあることを思うと、まだまだ知らないことが多いと感じますね。
また、そういった情報全てを知ることができるように作り込むことも大変です。
これらの情報全てにアクセスできるほど時間も余裕も無いので、取捨選択が大事、と思います。
どんな情報があるのか。
その情報項目から何を知ることができるのか。
自分が必要とする情報は何か。
という観点で、見ていかないと、どれだけ時間があっても足りません。
非常に貴重な情報だと思いますので、
あとは、経営分析の目的を明確にし、取捨選択する力ですね。
法人の課題を明確に捉える力といっても良いかもしれません。
定量、定性の視点から、問題を浮き彫りにし、経営判断に資する情報提供を行ないたいですね。
【データ分析・活用術のケーススタディ“14”】
その他、データ分析活用のケーススタディー、ということで14事例が紹介されていました。
例えば、
・紹介データと提出データを紐付けした集患対策
(紹介に対し入院率が高いのか低いのか、収益に対する影響はどうか、など、
ただ単に、「件数だけでは判断しない」ということが大事)
・NDBオープンデータを活用したジェネリック医薬品の選定
・病床機能報告データを活用した必要職員数の検
・医療の質の向上に臨床指標を活用する
・医学管理料の効率的な算定
・職員アンケート調査の結果からコーチングを導入
・機能評価係数2の適正化
・分析とモニタリングの流れを見直してデータ分析の効果を高める
(会議の目的が不明瞭。課題を整理した資料がない。大量の資料が配られて延々と説明を聞かされる、
参加人数が多すぎて発言がない、決定事項が不明確。同じ話、同じ内容の繰り返し。
課題を明確にし、優先順位を決め、状況の認識合わせ、改善方針の明示、効果のモニタリングという手順を踏む)
・損益分岐点の活用(収益を増やす、固定費を減らす、変動費を減らす)
・クリニカルパス別原価計算の活用
・働き方改革に向けたデータ分析と改善策の検討
・RPAツールの活用
・原価計算のあり方とその手法
・院内のデータ活用で看護業務の改善(疲労感やその原因を中心に調整)
・・・・・・・・・
いろいろなジャンルでのデータ活用が考えられるな、という感じです。
データをどのように作るのか。
そもそも何のために作るのか、という点が明確で無ければ時間の無駄に終わります。
活用してこそ有効です。
自己満足に終わらせてしまってもったいない、と自戒し、
目的に合ったデータ分析や経営会議等への報告をしなければいけない、と感じますね。
では、内容と所感はここまで。
目次(紹介してきた特集含む)は以下のようなものでした。ご興味があれば本誌をどうぞ。
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■特集 “使える”DATA分析・活用術
~院内改革・経営改善に使える14のDATA~
Part 1 医療機関が活用できる全データ一覧/監修・渡辺優
Part 2 【鼎談】院内改革・経営改善のためのDATA活用術/紀川収次,來島裕太,兵藤敏美
Part 3 データ分析・活用術のケーススタディ“14”/流石学,田中幸三,藤井昌弘,笹真人,澤田優香
視点 『自助・共助・公助の本質を考える*19世紀の自助から,現代のセルフヘルプと公の責任へ』/岡崎祐司
厚生関連資料/審査機関統計資料
月間NEWSダイジェスト
介護保険/医学・臨床/医療事故NEWS
めーるBOX
■ エッセイ・評論
NEWS縦断「新型コロナ論争~ハンマー&ダンス~」/武藤正樹
こうして医療機関を変えてきた!/新村浩明
プロの先読み・深読み・裏読みの技術/工藤高
■ 医事・法制度・経営管理
病院&クリニック経営100問100答「70歳までの就業機会確保の努力義務と高齢者の労務トラブル」/福間みゆき
医療事務Openフォーラム「瀬戸内医療情報ネットワーク(せとねっと)の過去から現在,未来へ」/山上峰生,萬戸聡
かがやく!事務部門/脳神経センター 大田記念病院
■ 臨床知識
カルテ・レセプトの原風景【COVID-19】新型コロナウイルス感染症と地域医療/鹿島健,武田匤弘
■ 請求事務
実践DPC請求Navi/須貝和則
パーフェクト・レセプトの探求/株式会社ソラスト・大港優太
点数算定実践講座/圓山研介
レセプト点検の“名探偵”/野中義哲
保険診療オールラウンドQA
読者相談室/杉本恵申
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