【1052】コロナ禍で求められる変化対応と実行力(病院羅針盤20210315)

日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。

水曜日ですね。3月も、本日で終わりますね。皆様は、いかがお過ごしでしょうか。

今回、紹介するのは、

雑誌「病院羅針盤20210315」

です。(読書通算982日目)

 

今回の特集は、

「1年の総括と2021年度の展望、そして希望」

です。その他には、

「令和時代の病院経営戦略」
「当院リハビリテーション部における組織改善」
「病院と地域をつなぐ病院広報」

といった内容があります。

確認していきたいと思います(^-^)

まずは、「1年の総括と2021年度の展望、そして希望」について、3つの病院が紹介されていました。

【福井県済生会病院】「1年の総括と2021年度の展望、そして希望」

2020年度は、コロナ禍と共に歩んだ病院経営であった、ということでした。
どこも一緒ですね。
感染対策にここまで力を入れなければいけないことは、今までなかったのではないでしょうか。

コロナ禍という危機を乗り越えるために変化しなければならない、という
重要かつ緊急な対応を迫られた年度でした。

また、様々なITやデジタル技術を病院に導入した、ということが紹介されていました。
IT化推進中のメンバーが主となって、非接触化、デジタル化、バーチャル化、
DX化(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへ変革)
を進めたそうです。私含め、「大事大事」といいながらも徹底できないのが実態ですが、
やはり、推進する役割を作ることが必要ですね。

資金面では、コロナの流行が2020年度の開始前ということもあり、
投資キャッシュフローを凍結し収益源に備えた、その中でも人件費を削減しなかったようで、
資金面で適切な経営判断がなされていたのだろう、と感じます。

今後の大きな対策の方向性は、収益に対する費用構造の見直し、ということでしょう。
外来患者数の減少や病床稼働率が低下しているのは明らかですから、
現場に適した病床数や職員数、IT化やデジタル化を推進する事で、変化に対応できる組織にする必要がある。

最後、大事なのは、地域社会に必要とされているかどうか、と書かれており、
本当にそうだなと思います。

必要とされれば患者は来られますし、職員からも支持される。
地域における存在意義を確認する良い機会になる、と言えるかもしれません。

ベイビーステップ

【聖ヨゼフ病院】「1年の総括と2021年度の展望、そして希望」

外来患者数の減少について触れられていました。
(内科の患者の処方の長期化や、整形外科のリハビリテーションの一時中止等で患者数が大きく減ったこと)

ただ、以前から病棟の許可病床数をすべて稼働できるように人員を充足させたり、
新病棟を整備するなど、体制を整えてきたこともあって、入院収益は増加していたようです。
(コストもかかってはいますが)

コロナ禍という急激な変化に対し、他の増収要素があったこと(新規で新しいことを考えておくこと)は
良い結果ですよね。現状維持即是後退とも言われますが、
ほどよく新規事業を検討しておくことは必須ですね。

コロナ禍という大きな変化の中で、地域医療の提供を継続しつつ、
発熱外来や協力病院の役割を果たすということも書かれてあり、地域に貢献できる存在でありたい、
と思います。

【青和病院】「1年の総括と2021年度の展望、そして希望」

コロナによる院内の活動の変遷について紹介されていました。

会議や委員会の休止、縮小など
感染対策準備室の発足
物品確保、勤務シフト見直し、時差出勤など
各所ゾーニング、職員の移動範囲のルール化

を行ってきた、ということですね。

対応にあたって特に推進したことは、やはり感染対策、とのことです。

また、経営への影響や対応として、資金不足に備えて銀行からの借り入れを
事前に行っていたということです。

先を見る力、大事ですよね。資金不足はあってはならないことですから、
時代の先を予想し、手を打つ。

それができる人材や、変化を感じることができる経営チェック体制が必要でしょう。

【令和時代の病院経営戦略】

高齢者人口と就労人口の推移、医療福祉分野における就業者の推移に関するグラフがありました。

「これまで通り、いつでもどこでも平等に医療提供していく体制を維持するのは難しく、
少ない医療資源でより多くの患者を見ていける医療提供体制の変革が進められている」と書かれています。

この一文は、現状を的確に表現していると感じました。
これが大きな方向性であり、そのために必要な組織とはどんなものか、
どのようなICT技術を使うのか、どんな人材が必要か、ということを考えていく、ということが大事でしょう。

グループ経営のメリットは、

人であれば、経営に関する専門家の配置
物であれば、複数の事業所の統合なども視野に入れた建て替え計画
金であれば、組織が大きくなることで業者との価格交渉進みやすい、スケールメリット
情報であれば、ウェブやSNSを活用したマーケティング

などが紹介されていました。

患者の生活様式に合わせた医療提供を同じグループで全て完結して提供できれば患者情報も
組織内で共有され、情報の一元化ができ、無駄な手続きが省けるかもしれない。

とはいえ、自法人だけで全て揃えるのは、どこでもできることではありません。
志も大事ですが、資金力も必要ですから、
他医療法人グループに加わることも含めて、考えてみてもいいかもしれませんね。

【麻生飯塚病院】「当院リハビリテーション部における組織改善」

接遇に関する内容でした。

接遇の基本チェックシートの作成と、セラピスト全体の問題解決(アンケートでの結果を踏まえて)への
組織的な取り組みが功を奏し、自らの接遇の状態や、意識の改善が図られた、ということでした。

いくらチェックシートを作ったとしても、当人たちにやる気がなければ結果は出ません。
自分たちで納得して接遇の向上に取り組めたことが、目標達成率向上にもつながった、ということで、
1番の肝は「トップダウンではなく、自分たちでの気付き」でしょうね。

会議

【佐々総合病院】「病院と地域をつなぐ病院広報」

広報です。

地域の人たちに病院の本当の姿を知ってもらうために、

・可能な限りの直接的なコミュニケーション
・徹底的に地域の中に入り込む

ということを活動の2軸として行ったようです。

例えば出張講座。知っていただくためのチラシ作成、ホームページ掲載、学校等への郵送。
最近ではコロナ禍で出張講座等が難しいので、公開講座の映像をYouTubeで公開、
外来の待ち時間に見ていただく等の活用。

知っていただかないと活用はされませんし、コロナ禍でもできることを着実に実行することが大事です。

ウチの病院でも、YouTube活用したいんですよね。
コンテンツはあるので、後は、やるだけ、です。こういった他院の情報から勇気をもらえます!

あと、広報誌戦略として、地域を対象に地域を加えたということも印象的です。

地域のお店の紹介や、その地域のために頑張っている方との対談を掲載する。
広報誌を通じて、地域も知ってもらおうという考えですね。
消防署長や、小学校の校長先生や市長まで登場してくださったそうです。

巻き込むからこそ、巻き込まれる。
相手(地域)の情報を伝えようとするからこそ、こちら(自法人)の情報も伝えて欲しいという関係性ができる。
とても良い関係性、と思いました。

広報は、まだまだ病院において少数勢力です。
だからこそ、理事長や院長はじめとする病院幹部の理解と協力が必須である、ということが書かれていますので、
広報の意義や目的をしっかり知り、言語化し、共有しなければいけないと感じますね。

【病院の経営改善はこう進める】

ミドルな立場の役職者から意見の吸い上げの場を作ることが大事。結局のところ、
政策を実行し完遂まで運ぶのはミドルボトムの職員。
いかに任せるか、いかにサポートを行うか、ということが書かれていました。

サポート役は、企画の醍醐味でしょう。

ゴール

では、内容と所感はここまで。
目次(紹介してきた特集含む)は以下のようなものでした。ご興味があれば本誌をどうぞ。

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1年の総括と2021年度の展望、そして希望

◎事例1
1年の総括とポストコロナを見据えた経営
社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福井県済生会病院
事務部長 齋藤哲哉

◎事例2
医師・看護師等の大幅増により休床を減らし、収入は前年を上回る~新築・移転と同時にコロナ禍に見舞われるも逆転に向け布石~
社会福祉法人聖テレジア会 聖ヨゼフ病院 事務部長 野沢 剛

◎事例3
新型コロナウイルス感染防止に向けた対策を振り返り、今後を見据える
医療法人社団青樹会 青和病院 事務局長 森 昌秋

令和時代の病院経営戦略 ~単独経営からグループ経営の時代に~
日本M&Aセンター 医療介護支援部 加藤 隆之

リレー連載 組織活性化と経営改善の効果
当院リハビリテーション部における組織改善~接遇改善対策チームの取り組み~
株式会社麻生 飯塚病院 リハビリテーション部 作業療法士 原口 翔悟

病院と地域をつなぐ「病院広報」
隠れた受診者に会いに行く広報戦略
戸田中央医科グループ 医療法人社団時正会 佐々総合病院 広報室 三塚 和彦 ほか

連載

◎診療報酬改定を検証する(6) 長面川 さより
◎病院の経営改善は、こう進める(5) 草野 康弘
◎周年記念事業プロジェクトを通じた企画人材の育成 最終回 臼井 健太
◎病院経営の原理とコツ(22) 関塚 永一
◎ゼロから始めるDPCデータ活用(最終回) 健康保険医療情報総合研究所
◎“現場発”の人材開発(24) 西川 泰弘
◎老健~温故知新~(最終回) 山本 昌也

コラム

◎マイ・ファシリティ(14) 加藤 貴彦
職員みんなでつくり上げた新病院
◎チーム・コミュニケーション(6) 八 孝之

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では、また明日(^_^)v

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