【1120】意思決定を支援する戦略会計(管理会計&戦略会計)

日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。

今日は、「管理会計&戦略会計」(高田直芳さん)のご紹介!
(約630ページ、複数回にわたっての紹介、5回目です)

製造業中心の内容なので、医療業界と合致しにくい内容が多いですが、
医療機関に関連づけるとどうなるか、と考えながらの紹介です。
(砕いて説明してくださっているので、比較的読みやすいです)

【1番のポイント】

・事業やプロジェクトは単年度ではなく、トータル(長い期間)での正味キャッシュフローに
 善悪の価値がある。

事業を単年度で捉えるのは、片手落ちです。
単なる利益だけでも捉えるのも、片手落ちです。

初期投資が大きければ大きいほど、どの程度のスパンで、プラスに転じるのか、
複数の事業候補があるのであれば、どの事業を選択するか、
正味キャッシュフローの概念で、判断する「あたま」も持っておきたいですね。

ゴール

【3つのアクションポイント】

・埋没原価を注意深く拾い出して、差額収支分析から外すことで、最大の意思決定ができる。
・戦略会計はプロジェクトの遠大なライフサイクルを対象とする。
・在庫を持つことによるリスクは、過剰在庫や陳腐化、
 少量発注等の取り組みによるリスクは、調達コストの増加、
 があり、どちらにもメリットやリスクがある。

埋没原価(回避することができない原価)を、計算に入れることは、
プロジェクトの評価委に不要です。
(例えば、昔からある機械の費用など)

あれもこれも、と情報を付けすぎると、正確な判断ができなくなってしまいます。
余計な情報をそぎ落とし、シンプルに評価できる数値を経営層は求めていますよね。

その時には、事業のライフサイクル(どの程度の期間をもって取り組むものか)に
見合った評価をすることも大事です。

在庫云々は、サービス提供をメインとする医療機関には
そこまで関係ないかもしれませんが、
とはいえ、何かしらの在庫を持っています(手術材料や薬剤等)。

高額な手術材料や薬剤の仕様期限切れ、廃棄が積み重なると、
それなりのコストになります。せめて問題が無いかの把握はしておきたいですよね。

期限切れで有り得るのは、ある特定の患者のために購入した薬剤が、
他に使える患者がいないため、廃棄となった、など。
時には、そのようなことがあっても仕方ないですが、頻発しているようであれば、
要注意ですね。

ポイント

【個人的重要トピック】

・絶対的な価値基準は、キャッシュフロー。

・埋没原価は、回避することができない原価である。
差額収支分析では意味を持たない数値。

・保管費用と資本コストとの関係性。
発注費用や保管費用の合計額が、1番小さい数値が経済的発注量である。

・戦略会計の概要は、プロジェクトの存続、代替案、キャッシュフローを見ることである。

・プロジェクト開始時、キャッシュがマイナスとなる「問題児」、
 プラスに転じる「花形」、
 売り上げが安定する「金のなる木」、
 衰退期、キャッシュがマイナスになる「負け犬」がある。

・キャッシュインフローとキャッシュアウトフローそのものに価値観は無い。
ただの増減である。
正味キャッシュフローに、善悪の価値がある。

・あぶく銭であるキャピタルゲインを、戦略会計に持ち込まない。

・減価償却費と法人税の関係。(節税効果)
法人税で認められた限度額以上の減価償却は費用として認めない。

データ分析

キャッシュが出ていく費用と、そうでない費用があります。

キャッシュが出ていかない費用の代表例は、減価償却費でしょう。

そのために借り入れたお金を返す、という意味では別口で、出ていきますが、
タイミングは違います(^-^;

その返済開始が、借り入れ後、1年後、3年後ということもありますので、ズレます。

その他にも、商品を売ったり、買ったりしたときの後払い(売掛金、買掛金)で、
お金が入るタイミングが異なります。(病院でいえば、保険診療の入金のタイミング)

会計上の収益や費用と、手元にある資金がズレます。

それらのズレがある中で、手元にキャッシュが残っているかどうか、
ということが一番大事、ということですね。

いくら利益があっても、財産があっても、出し入れ可能なキャッシュがなくなれば
企業活動を行うことができなくなってしまいます。

医療機関であれば、診療報酬の入金のタイミングは、だいたい1~2ヶ月遅れです。
(一か月分をまとめて請求します)

季節変動、月の稼働日数などで、診療報酬の入りは多少増減しますから、
ある程度の資金の余裕を持っておくことは大事です。
どうしても、手元の資金がなくなれば、銀行からの短期借入(運転資金)を
お願いすることも考えられます。

今回、コロナ禍で当面の資金が厳しくなった医療機関も多いでしょうから、
銀行から助けてもらったところも多いでしょう。

企業活動全体としても、個別の事業やプロジェクトとしても、
キャッシュがプラスになる計画かどうか、チェックの上、取り組んでいきたいですね。

今回は以上です。では、また明日(^_^)v

テーマについて、ご要望あれば、コメントをどうぞ。

◇過去の内容、記事はこちらから是非(^-^)
https://wakuwaku-kokoro.net/

◇メルマガ登録はこちらから(^-^)
https://www.mag2.com/m/0001682907.html

◇以下は、中小企業診断士試験の受験(不合格体験)を通しての学びを電子書籍にしたものです。
リベンジ予定ですが、しばらく別の活動中。その他の書籍もあります。是非ご覧下さい。
Kindle Unlimitedで読めます(^-^)

中小企業診断士試験 不合格分析記 : ~しくじりを成功につなげる29の改善ポイント~
https://www.amazon.co.jp/dp/B086827295