【1156】空洞化する介護保険(2)(月刊保団連2021.7より)

日々の学びや気づきを言語化し、行動を変え、未来を変える一助に。

9月に、医療経営士1級の試験があります。
受験するかどうか、7月中頃までの勉強の仕上がり具合で決めます!
しばらく、その学びをシェアしていきます。

今回は、雑誌「月刊保団連2021.7」
『空洞化する介護保険』という記事に目を奪われました。

記事を担当された方のお名前をタイトルにしていますが、
私の理解や思いも交じりながらの紹介です(ご容赦ください)。

2回に分けての後半です(後半は、より具体的な内容です)。

前回は、こちらからどうぞ。
https://wakuwaku-kokoro.net/2021/07/gakusyu-17/

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・日下部雅喜氏

介護保険からの「自立=卒業」という概念。
この概念の危険性について、書かれていました。

介護を必要としていた人が、「要支援、要介護から外れる」とは、
「自立する」ということ。

と聞くと、良いことのように聞こえます。
しかし、単なる結果だけで見ると誤ってしまう、ということがあります。

数値で言えば、
「介護保険の認定率が低くなること」=「自立率が高くなる」ということですが、
そう単純に捉えるのは勘違いであり、危険です。

例えば、市町村の悪意?ある誘導(実態よりも認定率を低く見せる)により、
受けるべき介護サービスを受けられず、「不幸せ」な「自立(※)」生活を送ることもあります。
(※実態は自立していないのに、介護認定を受けていないということで、自立しているとみなされる)

本人の状況を無視した制度運用に被害を受けた事例が多々見られる、とのことです。

上記より、ただ、「認定率が低いこと」だけをアウトカムとして、
「自立している、介護から卒業している」と捉える危険性が書かれており、大変興味深い内容でした。

・結城康博氏

2035年。
要介護者がさらに増えることで、介護の利用が増大する。
その結果、介護難民が増えることが想定される。

しかも、その介護現場の現状は、「失業者にすら敬遠される職場」

命を預かる、という責任のわりに、低賃金であったり、休日が少ない、ということが理由にあげられる。
介護人材がいなければ、「制度あっても介護サービスなし」となる。

団塊の世代が要介護者の年齢となった時、50代の労働者に親の介護が発生する。
社会的な介護システムが働かなければ、そのまま「介護離職」となり、労働力の維持にも影響する。
介護の体制を整備することは、50代の労働力を維持するための「社会投資である」という考え方をする必要がある。

会議

・相馬直子氏

ダブルケアラー。
晩産化・高齢化の同時進行。
育児と介護のダブルケアをする人のこと。
子育て支援と、高齢者支援の柔軟な連携と調整力が求められる。

ヤングケアラー。
18歳未満の子供が、本来、親がするようなケアをするような状態のことを言う。

・石川結貴氏

毒親介護。

親の介護で難しいのは、
本人が拒否することによる「介護申請ができない」という実態があること。

「病院にかかりたくない。自分は認知症ではない。介護サービスを受けたくない。」という患者本人の希望と、
介護の必要度の実態は異なる。

その結果、医師の診察を受けることができずに、介護申請ができない状態もある。
介護保険に加入できたとしても、実際にヘルパーや施設とうまくいかないこともある。

また、介護だけをする家族は支えることができない「育児・介護休業法」の制度。
介護にかかりっきりになってしまい、給与所得がなく、親の年金をあてにし、そのかわり親の介護をする。
といった事例もある。

8050問題。80代の親を50代の子供を支えきれなくなり、共倒れする。
そんな時代にどう対応していくべきか。課題は多い。

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昨日は大枠の話でしたが、今回はより具体的な話も聞かれました。

「介護からの卒業」という考え方があったこと。
そして、その考え方では対応しきれない現状がある、ということが印象的でした。

何をもって、卒業というのか。
老いていく中、介護から卒業できる、ということがあるのか。

悪化することは当然のこと。
維持することも難しい中、卒業ということ自体、滅多にないことと思われます。
卒業ではなく、復活と表現している自治体もあると書かれていました。

適切な人に適切なサービスが届けられているかどうかこそ重要。

また、卒業というのであれば、卒業先の進路として、
地域のコミュニティーはどうか、共助や公助の体制が整っているかどうか、もポイントです。
進路のことを何も考えずに、ただ卒業させるだけでは、将来がありません。
地域による違い、地域の特性、状況を見て考えていかなければいけないことですね。

単に介護認定が少ないから、自立している人が多いというように考えることは、
危険であるということが実感できる内容でした。

次です。

少子高齢化で、働く人が少なくなっていく中、介護保険を支える制度、人材をいかに確保するか。
介護保険を整備することは負担ではなく、
50代の働き手世代に働いてもらうための社会的な投資である、と捉える、
という記事は、「なるほど!」と思いました。

人材がいなければ、成り立たない将来の医療・介護業界。
他人事ではない、と感じます。

3つ目です。

ダブルケアラーや、ヤングケアラーについても、十分にあり得る話です。
晩婚化、晩産化で、子どもを産む年齢も遅くなってきています。
35歳~40歳ぐらいで生めば、自分の親も60歳~70歳。
認知症や病気も見つかるかもしれません。
その状況にぶつかったときに、どう対応するのか。
考え、準備しておかなければなりませんね。

最後、毒親の介護について。

どんな親であっても、状況によっては、介護する必要が出てきます。
その切実な事情に、差し迫るものがある記事でした。

では、また明日(^_^)v

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