【992】不確実、不可避なクライシスに対応する体制づくり

今回で、992日です☆

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では、本日の内容です。

■本日の内容は、以下の本から

「医療経営士テキスト(上級:8)医療事故とクライシスマネジメント(1回め)」

クライシスマネジメント

です。(1日1読書963日め)

https://www.jmpshop.jp/products/list?category_id=124

試験用のテキストで通常の書籍と異なるため、ある程度、頭に入れていく必要があるので、
分割して読んでいきます(^_^)

1冊のボリュームにもよりますが、今回は、チャプター1~2章ごとにしますね。

では、読もうと思った目的、心に残った内容、感想などは、こちら(^-^)

■目標、狙い

ゴール

医療経営士1級の合格。

■個人的!要約

避けられるリスクは避ける、そのような仕組み、教育、文化の醸成が必要である。
しかし、どれだけ体制を整えても、医療事故は起きる可能性がある。
そのクライシス(起きてしまった後)に、どのように対応するか、
その体制を作ることもまた必要である。

■心に残った内容、感想など

今日から、新しいテキストを通しての学びです。

タイトルは「医療事故とクライシスマネジメント」です。

医療安全委員会などは、馴染みのある言葉ですが、どのような観点が必要か学んでいきたいと思います。

実際、医療機関といえば、様々なリスクがありますよね。
医療事故、人的ミスそのもの、また、現代医学の高度化や複雑化、国民の意識の変化、など、
大きく変わってきています。

その中で、いかに、リスクと向き合っていくか、ですね。

ポイント

1、リスクとは

そもそも、リスクとは何でしょうか。

「生命の安全や健康など、望ましくない事象を発生させる確率ないしは期待損失」とあります。

事故はなぜ起きるのか、という理由の1つとして、
「注意力が散漫」というモラルハザードがあげられています。

リスクには、
「医学的リスク、医療行動や意思決定のリスク、経済的、組織的リスク、社会的リスク」
などがあると言われています。

それらのリスクをどのようにマネジメントしていくのか。

そのためには、リスクを確認し、測定した後、どのようにコントロールするか、
という計画を立てること。
それらを実行する資源と環境を確保する、という大きなマネジメントサイクルが必要、
ということですね。

何をするにもマネジメント力は必須です。

とはいえ、そういったマネジメントをするためのコストもあります。

そのコストも、医療機関の規模や機能によって異なりますし、
リスクマネジメントの目的や資源の質量も異なる、ということから、コスト推計の難しさがある、と書かれていました。

自院にとって、リスクとは何かを突き詰めるところから始めないといけない、ということでしょう。

2、ヒヤリハットと、医療事故

次に、医療事故の背景ということで、「ヒヤリハットの実態」が紹介されてますね。

医療事故の発生状況と内容について、およそ74%が過誤、
すなわち医療従事者の何らかの過失によって引き起こされた事故であると、
2005年の医療事故調査会の公表資料に載っていたという記事がありました。

その医療事故がもたらす「患者の負担、病院の負担」の大きさは計り知れないです。

患者には、事故やミスによって身体的または精神的な障害、死に至ることもある、
という大変な悲しみを生みます。

その他、医療機関であれば、事故に遭遇した患者の健康状態を回復させるために、
追加的な診療行為、損害賠償も、その医療事故を起こしたという事実が、
その医療機関全てのスタッフに重くのしかかります。
医療事故の責任追及にかかる負担もありますから、それだけ多くのリスクが医療機関には存在しています。

書いてあるだけでも、たいへんなリスクを抱えている、という認識をすべき、と分かります。
患者にとっても、病院にとっても不幸な医療事故をふせぐことは大事なテーマと改めて思います。

3、クライシスとは

第2章は、医療機関の危機管理、「クライシスマネジメント」ですね。

ここで、クライシスとありますが、リスクと何が違うのでしょうか。

クライシスとは、「リスク管理が有効に機能しない結果としてリスクが顕在化した」、
つまり実際に起こった危機の対処法であると書かれています。

事前の準備をしていても、想像や想定を超えた事故が生じることがあります。

その事態に柔軟に対応できるよう、クライシスマネジメントをしなければいけない、
ということですね。

というのも、事前にどれだけ準備やチェックをしても、
いざ、危機的状況に陥ったときには、つい、あるべき手順や仕組みとは別のことをしてしまう可能性があります。
パニックになってしまうということですね。

その混乱を収集するか。

普段なら、そんな対応をしないのに、なぜかやってしまった、言ってしまった、
ということは日常生活でも有り得ます。

仕事に限らず、どんな時に、パニックになりやすいか、感情的になりやすいか、
考えなければいけない、と思いますね。

4、モラルハザード

危険が保険によって保護されればされるほど、人は危険に対する注意を怠り、
結果的に危険が拡大するということがあります。

経済学を勉強していると、聞く言葉です。

自分の不注意さを認識しなくならないような慎重な対応が必要、とのことですね。

5、医療におけるクライシスマネジメントの実際

リスクマネジメント、クライシスマネジメントについて、
病院も企業組織の一形態であるという認識に立つことが大事。
医療機関ならではの特性もあるが、普遍的なところもある、と書かれてあり、
つい特別視してしまう節があるので、要注意と思いました。

企業経営の目的は、「使命の達成」です。

利潤を最大化し、生産効率を高め、損失を回避を乱す。
医療において、利潤を最大化するのではなく、
経済は、あくまで持続的な医療活動を保障するためのものです。

リスクを回避して効率的な経営を実現することは、
経営目的とミッション達成につながる、ということで一緒に考えなければいけませんね。

また、クライシスマネジメントの戦略について、以下のようなことが書かれていました。

・事故が発生したとしても、組織活動停止することなくミッションを達成できる
(事故が発生しても継続して質の高い医療提供できる)
・組織の内外に対して、必要な行動や手段を講じることができる
・組織のメンバーなどに社会的な立場を保全する
・当該事項への対応、社会的にも可視化できる体制
・組織のメンバーや患者地域住民が不安になったり、治療の機会を奪われないようにする

など、あり、ここまで、体制を整えている医療機関は、どれだけあるでしょうか。
だからこそ、このような書籍等で、啓蒙されている、と思います。

医療においては、不確実性が高く、
どんなに優れたシステムを導入しても、予期せぬエラーや事故に遭遇する可能性も高い。
その中で、戦略的にクライシスマネジメントを構築しておく必要がありますね。

6、具体的に病院のクライシスマネジメント戦略をどう構築するべきか

横浜市立大学附属病の患者取り違え事故を事例として書かれていました。

先進的な医療を行うために、人的、物的に行動に組織化、情報化されているにもかかわらず、
初歩的なミスが起きた。ではなぜそのような事故が起きたのか。

事故対策委員会の中間取りまとめがあり、
その中で、患者確認、本人確認、役割と責任分担、本人確認のルールなどに不備があったこと、
呼びかけ、申し送りなどの仕組みは各自にあったが、
いくつかの物理的要因、医療者の認知や心理的要因で、実際には機能しなかったこと、
が紹介されていました。

その中で書かれていることで、たいへん興味深い内容がありました。

いろいろな過程において、看護師の個人的な能力と注意力にのみ依存したものであった、
という内容です。人ごとではない、と思いますね。
個人によっかかる仕組みというのは、まさにリスクが高いです。
注意します、といって、常に注意できれば良いですが、人間、そんな風にはできません。

対応としては、行動基準でマニュアルの整備に着手したそうですが、
ここまででは、実際に起きてしまったことに対するマネジメント(クライシスマネジメント)という観点に
至っていない、と評価されていました。

7、クライシスマネジメントの対象となる危機

4つあります。

経済的危機
社会的責任の不履行
事業継続、持続的経営の危機
医療に対する個人や社会の不安

それぞれ見ていきますと、
例えば、手術件数の減少や、本来医療を施すという社会的責任が果たせなくなること、
事業が継続できなくなること、
またそういった事故によって患者・住民、職員ともに不安が増してしまうなど、
こういったことに具体的な対応をすることが求められている、ということですね。

そのクライシスマネジメントの3つのステップは、

緊急事態への対応準備
緊急事態発生直後の対応
業務の復旧

ということについて、体制を明確化していく必要がある、とのことです。

緊急事態に備えたクライシスマネジメントには、危機管理計画の策定と、教育訓練が必要である。
教育訓練といっても、研修の形式が大事なのではなく、
参加者がどれほど自らの力で問題発見と意思決定を行えるかが重要、とあり、
これは他の分野でも同じことが言えるように感じます。

8、危機管理の基本は、マネジメントシステムの効果的な構築

これまでのリスクマネジメントの充実を送りながらも、
らのミッション、社会にとって安全で、安心できる医療システムといった両者の継続を保障するための
クライシスマネジメントの設計と構築を早急に行わなければいけない、と書かれています。

ミスを起こさないようにするのは当然ですが、
起きることが十分有り得る、と想定し、起きた時のことを考えることが大事ですね。

9、紛争解決技法

補論として、「紛争解決技法」ということが書かれています。

紛争解決とは、簡単にいえば、

「ある事柄によって発生した複数の主体の間のコンフリクトや対立を緩和、
あるいは除去して双方が共に甚大な損害を回避できるにすること」

ということで、その方法に3つある、ということであげられています。

それが、

裁判による解決
裁判外による解決ADR会議
その他

です。

「裁判」によるメリットは、

結果が後的に承認され保障されること、
裁判事例が反例として蓄積され、紛争解決の情報として社会に還元されること。

デメリットは、

コストがかかること、
時間がかかること、
どちらに責任があったか、という点に注目されて、
なぜそのような事故が起きたか、どのような支援が必要かといったことに視点がいきにくいこと。

その解決の1つとして「裁判外」による解決といったことも有効です。
簡単に言うと、お互いが納得できる着地点を見出すためのコミュニケーションをとる
ということのようですね。
その中で、メディエーター(調停者)が介在して冷静で建設的な話し合いを促すことが望ましく、
これをメディエーションと言います。

通常の業務上、直接、こういった内容を考える機会がなく、頭をだいぶ使いました。
良い機会でした。

本日は、以上です(^-^)