【974】医療という業界の特殊性、病院毎の特殊性の中で、何を目指すのか(書籍:医療経営士テキスト(上級)病院経営戦略論(3)」所感)

皆さん、こんにちは。中神勇輝です(^_^)

今回で、974回目です☆

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では、本日の内容です。

■本日の内容は、以下の本から

「医療経営士テキスト(上級)病院経営戦略論(3回め)」

病院経営戦略論

です。(1日1読書947日め)

試験用のテキストで通常の書籍と異なるため、ある程度、頭に入れていく必要があるので、
分割して読んでいきます(^_^)

経営の基本的なスタンスを学ぶには、良い一冊です。

1冊のボリュームにもよりますが、基本的には、チャプター毎を一つの目安にしますね。

では、読もうと思った目的、心に残った内容、感想などは、こちら(^-^)

■目標、狙い

ゴール

医療経営士1級の受験に向けて。

■個人的!要約

ミッション、ビジョン、戦略からポジショニングが決まり、
リーダーシップによる事業推進、リスクマネジメントが求められる。

■心に残った内容、感想など

ポイント

今回の章は、「3、医療機関の経営戦略」です。

1)急性期医療におけるポジショニング

日本の医療機関の多くは、ケアミックス型(急性期、回復期等の機能)といったように、
機能が未分化の状態のポジショニングの病院が多いですね。

現在も、大病院でさえ地域包括ケア病棟を置いている中、
中小病院の取り得る道としては、ある意味、必然かもしれませんね。
何かに特化する、というのは勇気がいりますし、人材やハードも必要です。

中・長期的な大きなトレンドは、
病床数の縮減、スリム化と病床の効率的利用、労働集約的な提供体制の転換があり、
その中で、どのような形式を取っていくのか、を考え、「変わる」時が来ていますね。

また、病院の経営方法で、
多数の外来患者から入院につなげる、という従来の伝統的な形がありますが、
そのままでは、困難な形になってきている、とも説明されています。

病院の外来部門は、一般的に赤字部門であることは明らかである中、
入院機能、外来機能、在宅機能など、どこに、どのような未来を描いていくのか、
どのようなポジションを取るのか、選択が迫られています。

伝統的な「1病院完結型医療」から、「地域完結型病院」への転換が求められる中で、
自院が向かう方向性を、考え、そして職員に共感してもらう時代にきていますね。

2)慢性期医療におけるポジショニング

保健、医療、介護、福祉の複合的な形式、
いわゆる、「範囲の経済性」に関わる戦略が取られてきました。
しかし、その中心となる「療養病床」の扱いが大きく変わってきています。

入院医療の標準化、効率化、在院日数の短縮、
これらにより、居住型サービス、在宅医療など、

病院退院後における何らかの受け皿が相当量、必要になってきていますし、
現在、まさに問題になっていることですね。

高齢者、独居、認知症、その他、課題が多面的になっていく中で、
どのように周りとの関係性を構築していくのか。

医療や介護・福祉に加え、居住型、食事型サービス多様なニーズに
応える「+ α」のサービス展開、地域との連携が必要で、
地域の大きな問題に、自院が、どのように貢献するか、考えるときですね。

3)リーダーとは何か

「問題なのは、タスク(仕事、務め)であり、
リーダーは、タスクを達成するための召使いに過ぎない」

「リーダーのカリスマ性は問題ではない。問題なのはリーダーのミッションだ。」

ドラッカーの言葉が紹介されていました。

また、リーダーとは、「組織のミッションを達成するツール」であり、
「どのようなバリューを実現したか」が大事とも書かれています。

そして、リーダーシップとは、
一人で何かをするのでなく、常にフォロワーが存在し、
そのフォロワーの行動に対して、どういう影響を与えているか、
ということが重要、ともあります。

「リーダーの率先垂範」と、
「リーダーにスタッフがついてくる」はイコールではありません。

独りよがりになっていないか、ついてきているか、
病院の方向性を考え、徹底する際にとても大事な視点であり、
抜けがちな懸念事項であると思います。

また、医療機関経営におけるリーダーシップについても触れられています。

局による支配や、各部署がタコツボ化しやすい組織であり、
つぶしの利く職種ばかりですから、忠誠心や求心力が働きにくい構造ですから、
ますます、魅力ある組織にならなければ、良い人は集まってこない、
と感じますね。

4)顧客満足と、職員満足

大事なのは顧客満足(患者満足)ですが、
職員がやりがいを感じて嬉々として働ける職場でなければ、良い医療は提供できない、
とも言われます。

そもそも、医者や看護師が集まらない病院に患者が来るだろうか、
ということに立ち返り、考え、体制を整えていかなければいけない、と思いますね。

いわゆる、マグネットホスピタルにも通ずる発想であり、
魅力的な病院になることで、患者も職員も、集まりますよね。

(マグネットの例として、組織がフラットで分権的な組織、
人事・教育体制、プロフェッショナルなケアのモデル、十分なスタッフの確保、
他の医療機関との連携、他の職種との共同などがあります)

CS(顧客満足)とES(従業員満足)は、
相互に矛盾するトレードオフの関係ではなく、相互補完的なもの。

職員が嬉々として働ける、魅力的な病院に患者が集まる、
上記に加えて、財務面への視点が重要ですね。

5)リスクマネジメント

そもそも医療機関におけるリスクとは何でしょうか。

リスクは、あらゆる活動につきものである、という基本的な視点が大事ですよね。
つい、保守的な考えになりがちです。

経営とはリスクを取る、ということであり、
起業家精神とは冒険家の精神力は一緒。

新たに活動しようとすれば、リスクは当然起きますよね。

大切なのは、リスクを無視したり、逃げ回ったりするのではなく、
いかに管理するか。

変化に対応するために、新たな活動を起こさざるを得なくなっていきます。

リスク管理についての考え方も大きく変わっていくでしょうし、
そのリスクマネジメントの認識を変わっていくでしょう。

リスクを恐れ、活動しない、という姿勢では、今の時代は、生き残れないですね。

その他、具体的なリスクについても書かれていました。
これは、医療機関の特徴だ、と思いましたね。

まず、価格差別化の余地が小さい(価格競争リスクは小さい)ということ。
値決めの必要がほとんどないため、重要なリスク要因から遮断されています。

その一方、改定や制度改定などの制度リスクはありますが、
意深く、政策や制度の動向をウォッチしていればある程度予測が可能
ということですから、情報収集は大事ですね。

次に、医療業界は、安定した需要がほぼコンスタントに見込める
「不況に強い産業」である、ということ。

例えば、既得権益として、営利企業からの参画は原則禁止、
医療法人は配当ができない、病床規制により新規参入は難しい、など、
実質的競争のリスクは軽減されている、と言えます。

3つめに、国際的なリスク要因からも遮断されている、ということ。
メディカルツーリズムなどもあるが、部分的なものであり、
海外展開等を行う、などのカントリーリスクに思い悩むこともありませんね。

上記の通り、相対的には大きなリスクに直面することはなかったですが、
規制緩和を基調とする医療制度改革は、経営の選択肢の拡大でもあり、
言い換えると、リスクの拡大にもなり得る、ということは、今後、着目点でしょうね。

では、リスクがあまり無いのか、ということ、そうではないですね。

医療機関が抱えるリスクは、以下の2つが大きいと感じます。

1つに、医療サービス提供に関わるリスクは大きいです。

生体にメスを入れたり、異物(注射)を注入したりなど、
それに伴う事故の発生というリスクがあります。

2つに、医療過誤といったように、「人間はミスをする存在」ですが、
そのミスが起きた場合に、取り返しがつかない結果をもたらすことも多い、
というリスクですね。

6)経営ケーススタディー

最後に、具体的な事例が紹介されてあり、
急性期病院として、思い切った差別化!と思いました。
まさに、「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」ですね。

(熊本中央病院の事例)

まず、選択と集中ですね。

短い在院日数、高機能の入院医療に特化。
地域医療における徹底した機能分化と連携。
地道な地域交流の積み重ね。

上記は、

・ミッションは、高いレベルの急性期医療入院。
・ビジョンは、地域における機能分化と連携の進展。

から来るストラテジーの明確化の賜物、と紹介されてありました。

この「独自性のあるミッション」から出る「独自戦略」とは何でしょうか。

ミッションやビジョンといっても、

「患者本位の医療で展開します」、
「患者に尽くします」、
「地域の住民の健康と福祉の増進に寄与し、地域医療を支える」

といったことは、良く聞きますが、
これでは、独自性(他との違い)が見えにくいです。
独自性があるかどうか、自院のミッションを見直してみたいですね。

医療機関独自のミッションから出発するからこそ、
医療機関独自の戦略が構築されます。
そして、その戦略を実行する思い切り、行動力こそ、肝だと思います。

そして、興味深い内容として、「値決めが経営」という言葉。

医療機関では、診療報酬という固定価格によって金額が
決まっているため、企業経営における、大事な「値決め」がないです。
そのため、病院「経営」ではなく、「運営」ともいえる、という内容ですね。

最後に、どのようなポジショニングを取るか、
「あれもこれも」するのか、「あれかこれか」の選択をするか、ということを考える、
ということ。

どういったニーズに応えるか、という、
「マーケットセグメンテーション」を考えるのは、基本のやり方。

そのターゲットとなる顧客は、患者だけ、ではなく、
例えば、急性期病院においては、
患者を紹介してくれるかかりつけ医の診療所や中小病院とも言えます。

経営とは、その組織のミッション、ビジョン、戦略、機能によって、
どのようなニーズに応えるのか、顧客は誰か、が変わります。

「植木の鉢を替えてよそへ萎縮するというのとは話が違う」
という特殊解が求められます。

他院を参考にしながらも、自院なりの「特殊解」を設計し、導入する、
融通さ、決断力、行動力が必要ですね。

■ベイビーステップ

ベイビーステップ

考え方をレベルアップすること、理想をイメージすること、実現に向けて行動すること。
これに尽きますね。

以上です(^_^)

前回の内容は、こちらまで。

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